さかのぼること、ひとつきほど前の1月下旬。
毎年楽しみにしている「土屋 土炎手(どえんて)」さんの作品展に
同じく土炎手ファンの友人と一緒におじゃましてきました。
「器ものがたり」と題された作品展が行われていたのは、住宅街にひっそりと佇む、
「納屋DE手仕事 やまもと」さんの、ステキな古民家風の展示工房。
「土炎手」さんのご主人はとても優しく柔らかな雰囲気の方で、私たちがステキな
器を手に取るのを静かに見守ってくださったり、迷っていると丁寧な説明を
してくださったりと、とても感じのいいお人柄が伝わってくるよう。
若い時は油絵を中心に造形作品を手がける作家さんだったそうで、スペインの
アンダルシアにも数年お住まいになっていたとか。
そんな経験も今の陶芸作品に生かされているような斬新な色使いや形はとても個性的、
なのに実際の生活で使うと驚くほどに使いやすく手になじむ風合いは、
「作り手」と「使い手」の対話を常に求めるという作陶への想いが溢れていて、
作品展に訪れるお客様の中でも毎年この時を楽しみに待っているという
リピーターさんがとても多い様子。
土炎手さんの創り出す個性的な器は、手にとって見るよりも実際の生活で
使ってみたほうがその味わいと良さが引き立つ感じ。
例えば色の濃いお料理には白い器、なんて概念も覆されるほどに、土炎手さんらしい
濃い色の釉薬をかけた器は、どんなお料理にもしっくりなじむのだから不思議。
そして普段のお料理が、いつもより少しおめかししておいしそうに感じるというのは、
まさに土炎手さんが大切にしている「作り手」と「使い手」の対話、ということ
なのだろうなと思う。
素直にステキだなと思えるもの、使い込むほどに味わいが増すもの、
長い時を経ても飽きないもの。
年齢を重ねると共に、そういうものを暮らしの中に取り入れたいと思うようになったし、
それが「丁寧に暮らす」ということや「自分の軸を見つける」ということに
つながるのかなと思ったり。
ため息をつきながら、あれこれ器を眺めたり触ったりすること一時間以上、
友人と一緒に、今年のお気に入りを少しずつお買い上げ。
大量生産ではないため、決して安価とは言えない土炎手さんの器だけれど、
こうして毎年少しずつお気に入りをそろえていくというのもいとうれし。
また来年の作品展が楽しみです。
今年は作品の中でも比較的シンプルなものをチョイス。
メイン料理やワンプレートごはんにも万能な平皿を二枚。
副菜やお菓子を上品に盛り付けたい、椿柄がかわいい
小さめの楕円皿も。