マンション管理で一番大切なことは、「良好なコミュニティー形成」とよく言われます。
逆説的な表現をすれば、ペット、騒音等の隣人トラブルの絶えないマンションは
「良好なコミュミティー形成」がなされていないことを意味します。
現状のマンション実情をみても、隣人でありながら顔も名前も分からないということがあると聞きます。こんな未熟なコミュニティーでは、マンション管理活動が活性化するはずがありません。また、どんなに懸命に、理事長が管理活動に積極的な参加を呼びかけても情けない結果が待っているだけです。
なぜ、こんなに「コミュニティー形成が大事」と、あえて叫ばなければならなくなったのでしょうか?
一言で、時代がそうしたと片付けていいものでしょうか。日本には昔、「向う三軒両隣」といって、最低近所付き合いは当然としてお互いが何かと助け合ってきた良き習慣があったのです。そこには、信頼と安心によって結ばれたコミュニティー存在してしていました。みそが無くなったといっては隣に駆け込み分けてもらい、子供をちょっとあずかってくれと頼まれれば快く自分の子供同様にかわいがるといった風情があったのです。
それが、戦後の教育だけが悪いとは言えませんが、アメリカ的思想や習慣を闇雲に導入し、今や個人主義花盛りです。日本の習慣、風習は野暮で時代遅れと言わんばかりに捨て去ってきました。個人主義的な考えで良いはずはないわけで、昨今のいろんな事件をみてもこの考え方に起因しているのではと思ってしまうほどです。まずは、自分ありきが先で、他人はどうでもよいという傾向の強い個人主義から方向転換をしないといけないのではないでしょうか。
そこで、「向う三軒両隣」の助け合い精神を思い出してもらいたいのです。
マンション管理士長沼憲治のホームページ