双極性障害と学習の記録

英語の学習記録です。

ブレイクビーツな支援

2017-05-10 22:34:36 | 日記
http://bmr.jp/feature/107943/10

より。

俺は、「おい、キックのパターンがズレてるな。メチャクチャだ」って思ってたんだけど、そのだらしのないキック・パターンの音に魅せられてしまったんだ。俺はボブ・パワーに電話して、「どうしてあのままにしたんだ?」って訊いたよ。「酔っ払いが演奏してるのを誰も気にしなかったみたいだな」ってね(笑)。すると彼は、「違う、これがまさに彼の求めていたものだ」って答えた。俺は「マジかよ?」って思った。

だから、「それじゃあ、ちょっと遊ぶか」って、お互いの知識がどれほどのものか、試し合ったのさ。彼は『Brown Sugar』用に当初“Bitch”って曲を用意してたんだけど……そうだろ! 覚えてるか?(笑) あれは最高に酔っ払いの……J・ディラの酩酊ドラムを超えたドラミング……プログラミングだったなあ。(略)ヘロヘロなのに、それで完璧だったんだ……理解するのに時間がかかったけど。1996年にヒップホップのバンドにいたわけで、(そのドラム・パターンを理解するのには)かなり抵抗があったんだ。

(略)俺は、プレミアやQティップ(Q-Tio)に「お前はまるでドラムマシンだな」、「お前は正確だな」って言われることを大きな誇りにしていた。俺は彼のためにメトロノームのように叩いていたのに、彼は「そうじゃなくて、もう少しリラックスして」なんて言ったのさ。

いいか、当時ブラック・ミュージシャンシップは正確さが命だったこと、理解しといてくれよ。ゴスペルのスキルとか、1時間で何回ドラムを叩けるかっていうのが重要だった。俺は絶頂期で、ようやくバンドで脚光を浴び始めたと思ったら、とことんまで削ぎ落としてほしいっていきなり言われたんだぜ(笑)。


精神医療の現場における援助論に重なりました。ただ「酩酊」しているだけ、ただ「正確な」だけでもなく、確かな専門性に裏付けられている、"ヘロヘロなのに、それで完璧"な支援。精神障害の当事者スタッフをしていたとき、がむしゃらに、いわば即興ジャズばかりしようとしていました。無理やり変調して、力技で「ズレ」ようとしたり。そうじゃなく、ブレイクビーツのような手法もあるのだと気付かされました。正確なリズムがベースにあってはじめて「ズレ」は心地よい揺らぎを生むのでしょう。