徒然なるままに

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野菊の如き君なりきを観て

2012年04月09日 19時20分32秒 | 映画鑑賞
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野菊の如き君なりき

木下惠介監督
 原作 伊藤左千夫「野菊の墓」

封建的で、家柄や家長制度中心の時代。偏見と差別これが我が国の
現実の姿であった。
美しい信州の自然を背景に、
身分の違いが原因でむなしく散った少年と年上の少女と恋を描く。

秋草の いづれはあれど 露霜に 痩せし野菊の 花をあはれむ

木下恵介監督の最高傑作で、数多い「野菊の墓」の作品の中でも
一番の作品。
秋のけしきが色濃い河の流れ。そして渡し舟の客、
老いた主人公の笠智衆が若き日の恋を回想すると、
ぼんやりと水墨画のような美しい画面が白黒映画の良さも加わり
描かれていく。若き日の恋人を演ずる田中晋二、有田紀子の水郷で
のふたりの別れのシーンや民子の祝言の場面そして人力車に乗った
民子がふっと顔を上げるところは、かたくなな決意で、正夫との永
別の別れを告げる意思の現れになる。
朧月夜の中、幻のように映し出される人力車の列など素晴らしい映
像美。りんどうの花があまりにも切ない。
渡し船をおりた翁は民子が好きだった野菊の花を摘んで、
墓前に供えた。年齢的にもこれが最後だと思いながら。
大人の偏見や見栄で翻弄をされた二人だが、
ただ一人祖母だけが民子を不愍に思ったことが救いか。
去る者日々に疎し 時間が解決をし忘れ去られていくのが世の習い
老いた年まで初恋の人を思い続けられるのだろうか 
どちらにしても素晴らしい作品です。もちろん松田聖子さんの作品も良かったですよ。



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