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社説 ラドン濃度測定器を日本全国に設置せよ

2011-10-05 12:36:08 | 社説
東日本大震災の発生前に、大気中のラドンガス濃度が昨年6月から半年間増加していたことが、東北大と神戸薬科大、福島県立医大の研究で分かった。
12日から静岡市で開催される日本地震学会で発表する。
研究グループは「今後の地震予測に寄与する可能性がある」と期待を寄せている。

東北大、神戸薬科大、福島県立医大(本間好施設長、鈴木俊幸放射線取扱主任者)の研究グループが、福島県立医大(福島市)にある非密封放射性同位元素使用施設内の排気モニターの計測データを分析することで、この施設から半径30キロ圏内の地面から大気中に出たラドンガスの濃度を調べた。

その結果、季節により規則正しい増減傾向を示す大気中のラドンガス濃度が、平成20年ごろから数値が乱れ始め、昨年6月から12月初旬まで増加。その後急激に減少し、東日本大震災発生までの約3カ月間、通常よりやや低い濃度レベルを維持した停滞期間が続いた。

一方、研究グループの東北大の長濱裕幸教授と神戸薬科大の安岡由美講師は、7年の阪神大震災が発生する前に、神戸薬科大(神戸市)で計測された大気中ラドンガス濃度変動も分析しているが、阪神大震災の際も今回の震災と同様に、地震発生の前年から、ラドン濃度に異常な増加が認められたという。

ただ、阪神大震災では、3カ月前からラドンガス濃度が増加し、増加後の停滞期間が約半月程度と短く、東日本大震災と停滞期間や変化があった期間に違いがあった。

この違いについて、長濱教授は「東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)と兵庫県南部地震(阪神大震災)の地震規模(マグニチュード)の違いではないか」とみている。

また、長濱教授は「大気中のラドンガス濃度の計測は、放射線測定をしている施設(原発周辺のモニタリングポスト、大学、病院など)でも可能だ」としたうえで、「今後大気中のラドンガス濃度を計測するモニタリングネットワークができれば、大規模な地震発生地域の予測に貢献できる」としている。