「歌声を味わい尽くす」の本題とは少し違った話になりますが。
写真家の山岸伸さんの写真展が、この年の5月末に西新宿のギャラリーで開かれました。
https://photolife.jp.omsystem.com/archive/3226.html
山岸さんは主にアイドルのポートレートを撮られる方ですが、その傍らライフワークとしてプライベートで撮り続けた人たちを「瞬間の顔」と題して1年に一度写真展を開いていらっしゃいました。
この年の「瞬間の顔」の中にKIINA.の写真もあったのです。
仕事で撮る写真ではないので、間に対価は挟まれません。すべて一度写真を撮らせてもらった方からの紹介という繋がりです。例えば鳥羽一郎さんは弟の山川豊さんを紹介されていました。
KIINA.を紹介したのは、現在日本コロムビアの親会社になっている「フェイス」の社長さんということでした。
5月某日、西新宿のフォトギャラリーへ写真展を観に行きました。この年の目玉はアナウンサーの安住さん、俳優の片岡愛之助さん、そしてKIINA.だったと思います。
ひっきりなしの来客への応対にお忙しい山岸さん。ほんの一瞬来客が途切れた隙に私がKIINA.のファンで訪れたことを告げました。
山岸さんは亡き長良会長との繋がりを嬉しそうにお話ししてくださいました。
「ある仕事上のトラブルがあって、それは自分のミスではなかったのだが、長良さんに説明に行った。話を聞いて,一言『わかった』と言ってくれた。そこからもう自分はこの業界で怖いものはなくなった」
まさかこんなところで、そんな貴重な「芸能界のドン」証言を伺えるとは思ってもみませんでした。
高かったけれど、KIINA.のポートレートの載った写真集を買い求め、カラーコピーした物をフレームに入れて飾っています。
ここ数年のKIINA.のポートレートはほとんどが下村先生の撮影で、その中で山岸さんの撮影された白いスーツのKIINA.だけがまとっている空気感が明らかに違うのですが、それもまた面白いかなと。
山岸さんの写真集を持っている人間しか飾れない写真というレア感も味わいながら、毎日眺めています。(著作権の関係で写真をご紹介出来ません)
さて、アルバム11曲めは「星空のメモリーズ」です。KIINA.の歌唱はこちら↓
歌詞は歌ネットより。
作詞はかず翼先生、作曲は水森先生、編曲は石倉重信先生です。
人生の途中で振り返って、自分の歩んできた道を確かめてみる。うまくいったことも、いかなかったことも全て愛しい思い出として抱きしめてまた未来へ歩んでいこう。
水森先生は「詞がとても良かったので」と、一日で曲を作られたそうです。レコーディングした音源を聴かれた時に「今までの作曲家人生の中で、3本の指に入る楽曲になった」とおっしゃったそうです。先生自画自賛(笑)。
確かに、例えば和田アキ子さんや横山剣さんが歌ってもおかしくないソウルミュージックっぽい雰囲気とどこか昭和歌謡っぽさが絶妙にミックスされた、不思議な懐かしさと温かさのある楽曲に仕上がっています。
水森先生は「3本の指に入る仕上がり」とおっしゃいましたが、失礼ながらこの曲を水森先生ご自身が歌われても作品の良さは伝わらなかったと思います。
KIINA.の声の持つ明るさ、伸びやかさがあって初めて伝えられる曲の世界観なのだということは、実は水森先生ご自身が一番分かってらっしゃるのではないのかなと、そんな気もしています。