「玄海船歌」のカップリングは「北愁」です。
https://columbia.jp/artist-info/hikawa/discography/COCA-16061.html
Kiinaの歌唱はこちら↓
https://m.youtube.com/watch?v=OqyhuZjELIA
歌詞は歌ネットより。
https://www.uta-net.com/song/61734/
ギターを抱いてさすらうなら、小林旭さんでしょう(笑)と、小林旭さん大好きのKiina担当Tディレクターのサングラスが目に浮かんできます。
メロディーラインもテンポも「ギターを抱いた渡り鳥」にどこか似ているような^_^
Kiinaがインタビューで「氷川きよしでは初めて裏声を使ってみました(KIYOSHIでは使っているので)」とお話ししていましたが、裏声も含めて本来の美声がとことん楽しめる素敵な一曲だと思います。
それにしても、「北愁」という漢字二文字を見ただけで、多くの人は北海道の大地をイメージ出来ますね。「北愁」とは言うけれど「南愁」とは言わない。言葉って不思議ですね。
この作品も作詞は松井由利夫先生なのですが、ちょうど「玄海船歌」リリースのタイミングでKiinaが表紙と巻頭インタビューを飾った「歌の手帖」2008年4月号と次の5月号巻末に松井先生が特集されていました。
ご存じの方も多いと思いますが、松井先生は旧東京第二師範学校(現東京学芸大)を出られて長く国語の教師をされていました。
ご自身の作品を「戯れ歌」「言葉遊び」と称されながらも、「品の良い流行歌」にこだわり続けて詩を紡いでこられたのは、日本語の美しさに通暁しているという確固とした土台がおありだったからだろうと思います。
そんな松井先生が「幸せな作詞家人生だった」とお話しされる中で、「賞なんかいただかなくても、近年では氷川きよしクンという清々しい青年に出会えた。作家として本当に楽しい仕事をさせてもらっている」とKiinaのお名前を挙げてくださいました。
インタビューの後半では、「箱根八里の半次郎」と「大井追っかけ音次郎」を例に出され、「古い符丁に生きる場所を与えてやると、一気に言葉が新鮮に聞こえてくることがある。氷川君という場所を得て、古い文化や符丁たちも輝く場所を得たということ」
「言葉を生かしてくれる触媒に出会えた時、初めて歌はヒットするもの。氷川君に出会えたことは作詞家の僕にとって本当にラッキーだった」
と、繰り返しKiinaのお名前を出してくださいました。
「出会えたことの幸運」は、Kiinaにとっても言えることですね。
デビュー曲もその後の沢山の楽曲も、松井先生が手がけてくださっていなかったら、演歌歌手としての氷川きよし君はまったく違った道をたどっていたでしょう。
この年だったか、川口でのコンサートを観に来てくださっていた松井先生ご夫妻をホールの外でお見かけし、くるみさんとふたりでお声をかけさせていただきました。
もちろん「きよしくんをよろしくお願いします」。これしかありません。
気さくに応えてくださった先生の、控えめでお優しくてダンディな素敵なお姿が忘れられません。
このロングインタビューの翌年、松井先生はご病気で亡くなられました。
先生の謙虚な中に一本筋の通ったお人柄が偲ばれる「歌の手帖」の記事、大事な保存版です。