アルバム・カバー曲2曲めは尾崎紀世彦さんの「また逢う日まで」です。Kiinaの歌唱はこちら↓
https://m.youtube.com/watch?v=MgulzyFoctc
歌詞は歌ネットより。
https://www.uta-net.com/song/147057/
1971年発売、言わずと知れた尾崎紀世彦さんの大ヒット曲であり、日本レコード大賞受賞という阿久悠さんの作詞家としての最初の勲章となった作品でもあります。
尾崎さんはそれまでほどんで無名の歌手でいらしたと思います。私の下の兄が「聴いてみろ」とテープで聴かせてくれた時、私は布施明さんが歌ってらっしゃるのかと思いました。
日本人離れした容姿とダイナミックな歌声、正確な歌唱力。「また逢う日」だけでなく、もっともっとヒット曲を連発し世界にも出てゆける方だと思っていましたが。
最後は、どこか水原弘さんを思わせるような亡くなられ方だったようですね。
阿久さんがお書きになった「愛すべき名歌たち」(岩波新書)という本で、この曲と尾崎さんのことにも触れられていました。
この年のレコード大賞の有力候補との声もある中で、尾崎さんは同じ年(再)デビューの五木ひろしさんの名前を挙げ「俺より五木の方が残るよ」と呟いたそうです。「本当は好きな歌だけ好きな時に歌いたいタイプの彼にとって、来る日も来る日も『また逢う日まで』を歌うのは苦痛だったかもしれない」と。
そう言えば、後年尾崎さんがご自分のコンサートで「また逢う日まで」を毎回違うアレンジで歌ってらっしゃることに対して、ある評論家の方が「だからあいつは駄目なんだ!」と痛烈に批判されていました。「聴衆はレコードで聴いた歌を聴きに来てるのだから、歌手はそれを安易に変えてはいけない」と言いたかったのだと思います。
「また逢う日まで」は、尾崎さんにとって勲章でもあり、一方で自分を縛りつける鎖でもあったのかもしれません。
それでも、尾崎紀世彦という名前とともに昭和を代表する名曲として「また逢う日まで」は今なお沢山の人の心に残っています。
Kiinaも「カバーさせていただきたいと以前から思っていました。大切に歌い継いでいきたい」とお話ししています。
尾崎さんの歌唱スタイルのイメージが強いだけに、「尾崎紀世彦風」ではなく自分の曲として歌いこなせるだけの高い歌唱力が求められる難曲ですが、KiinaはKiinaの「また逢う日まで」として爽やかに別れを歌っていますね。
「カバー・セレクション」にも収録されていますので、きっとKiinaご本人も満足の仕上がりだったのでしょう。