
◯ 落雷に強いスイッチに「防爆」無線LAN、極限環境で使えるネットワーク機器の秘密。
落雷が多い地域もネットワーク機器にとっては極限環境だ。過電流がケーブルを通じて伝わると、対策を施していないネットワーク機器はひとたまりもない。
気象庁によると石川県や福井県、新潟県など日本海側の地域は落雷の頻度が高い(図3-6)。
図3-6、日本海側では雷への備えが重要。
石川県や福井県など日本海側を中心に、雷の降る日が著しく多い地域がある。パナソニックEWネットワークスによれば、こうした地域では雷で壊れにくいネットワーク機器のニーズが強いという。
雷の発生日数が年間1位の石川県は、宮城県や北海道の4倍以上になる。こうした地域では雷サージに耐性を持つネットワーク機器で備えたい。パナソニックEWネットワークスの雷サージ耐性を強化したPoE(Power over Ethernet)*2スイッチを見てみよう。
強い電流を地面に逃がす。
PoEスイッチは、屋外に設置することも多いネットワークカメラや無線APなどに電力を供給する用途でよく使われる。屋外にある機器は落雷の標的になりやすい。
そこで同社のPoEスイッチは全てのLANポートに雷サージ回路を搭載する(図3-7)。
図3-7、雷サージの専用回路を搭載
雷への強さの秘訣が内部に搭載した雷サージ回路だ。この回路が過電流を検知し、機器の外へ安全に受け流す。写真はパナソニックEWネットワークスの「GA-ML8TCPoE+」。
この雷サージ回路は、落雷による過電流がLANケーブルを伝ってPoEスイッチに流れると検知し、過電流を基板に到達させずにアース*3から逃がす。この仕組みによって従来製品の2.5倍に相当する1万Vの電流にも耐えられるようにした。「PoEスイッチに接続するネットワークカメラや無線APなどが故障する確率も下げられる」(今西宏行商品開発部商品開発一課長)。
電流を抑え点火源にならない。
ネットワーク機器の動作がきっかけとなって周囲に被害を及ぼす極限環境もある。火花や熱で爆発が生じる環境がその1つだ。石油や化学薬品のプラント、可燃性塗料を扱う自動車の塗装工程などが当てはまる。
こうした環境でネットワークを構築するには、防爆構造の製品が必要となる。ここでの防爆とは、爆発の熱や衝撃に耐えられるという意味ではなく、爆発を起こさないことを意味する。