〇 個人事業者としてフリーランスで働いているシステムエンジニアです。現在、IT企業でシステム開発の仕事をしています。プロジェクトリーダーから「インボイス制度の事前準備のため、会社から登録番号(適格請求書発行事業者登録番号)の通知依頼があるようだ。登録番号はあるか」と事前に教えてくれました。免税事業者なので登録番号はありません。少し、不安です。
「インボイス制度(適格請求書等保存方式)」がスタートする2023年10月1日まで1年を切りました。同制度は、登録番号の記載がある適格請求書によって、仕入れや外注費で支払った消費税額の控除を認めるというものです。システム対応を含めてそのための準備が必要です。その1つに請求書の様式変更や取引先情報(課税事業者か免税事業者)の管理対応があります。企業は請求書発行システムや会計システムのほか、影響のあるシステム改修をしておかなければなりません。
自ら課税事業者になる選択もある。
インボイス制度は法人か個人を問わず、課税事業者であっても、登録番号を申請して取得します。免税事業者には発行されません。免税事業者が登録するには、課税事業者になる必要があります。
登録番号の発行申請は2021年10月1日から始まりました。筆者はe-Tax(国税電子申告・納税システム)で同年10月7日に申請しました。登録が完了したという通知「適格請求書発行事業者の登録通知書」を確認したところ、申請して約3週間で登録されていました。登録が開始された直後で混んでいたと思います。今はもっと早く登録できるのかもしれません。
質問者は仕事をしているIT企業に消費税も合わせて料金を請求しているはずです。課税事業者であるその企業が、登録番号のない免税事業者(質問者)に消費税を支払っても、その仕入れ税額控除ができなくなります。
当然、免税事業者との取引を嫌がります。運用面においても、事務処理は課税事業者用で統一したいはずです。次回の発注はやめようとなるかもしれません。仕事が減っては元も子もありません。先々のことも含め、課税事業者になることを検討してはいかがでしょうか。
質問者は自ら課税事業者になって登録番号を取得することができます。IT企業から通知依頼がくるそうなので、課税事業者になるのか、今のまま免税事業者でいるのかを選択する時期だといえます。課税事業者か免税事業者かの判定は、基準期間の売り上げによります。1000万円以下の場合、免税事業者に該当します。
「登録番号を教えて」という通知依頼の内容は。
適格請求書の発行事業者が法人の場合、登録番号には法人番号が利用されます。法人番号は、商号や名称、所在地から検索することが可能です。
一方、個人事業者に法人番号はありません。法人番号に当たる個人番号(マイナンバー)を利用するわけにはいきませんので、登録番号は新規に発行されます。これは、個人事業者より通知してもらわないと分かりません。
筆者にも、取引先から郵送で通知依頼が届くようになりました。2つのことが書かれています。1つは、送付元会社の登録番号のお知らせ通知です。もう1つは、相手取引先に対して登録番号を通知してほしい旨の依頼と、通知方法についての記載です。
通知手段を既にシステム化している企業もあります。指定のWebサイトにログインして表示される氏名や住所を確認し、登録番号を入力するだけです。手間もかからず簡単でした。
公表サイトで事業者の登録状況を確認できる。
国税庁の「適格請求書発行事業者公表サイト」では、誰でも事業者の登録情報を確認できます。入手した登録番号を入力するだけです。
登録番号は「T1234567890123」といった、英文字「T」と数字13桁で構成されています。公表サイトには既にTの表示があるので、数字13桁を入力することになります。法人の場合、登録番号の数字部分が法人番号と同じです。
公表サイトには「氏名又は名称」「登録年月日」「本店又は主たる事務所の所在地」「最終更新年月日」が表示されます。氏名又は名称は、会社名や個人事業者の氏名です。最終年月日は、事業者情報の登録や更新した日付になります。