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〇 Wi-Fiルーターの選び方2024年春版、新規格登場でポイントはどう変わる?

春は就学や就職、転職や転勤によって新生活を始める人が多い季節だ。新天地に移動し環境が大きく変わるために、Wi-Fiルーターが必要になる人もいるだろう。だがWi-Fiルーターの製品は多数あるうえ、形状・性能・機能・価格において差がある。さらに最新規格に対応した製品も出始めているため、いざWi-Fiルーターを選ぶ段になって戸惑ったり困ったりする人も出てくるだろう。

そこで今回は、現時点(2024年1月)におけるWi-Fiルーター選びのポイントを説明していく。

最初に確認すべきは「本当に買う必要があるのか?」

Wi-Fiルーターは「規格」「最大通信速度」「接続台数の目安」「付加機能」に注目すると製品を選びやすい。ただその前に、まずは自分のネット環境でWi-Fiルーターが本当に必要なのかを確認しよう。

Wi-Fiルーターを選ぶときは「規格」「最大通信速度」「接続台数の目安」「付加機能」を重視する。これらの情報はWi-Fiルーターのパッケージや製品仕様などに記載されている。写真はバッファロー「WSR-5400XE6」のパッケージ
画1、Wi-Fiルーターを選ぶときは「規格」「最大通信速度」「接続台数の目安」「付加機能」を重視する。これらの情報はWi-Fiルーターのパッケージや製品仕様などに記載されている。写真はバッファロー「WSR-5400XE6」のパッケージ。

1つのネット回線を複数のPCやスマホといった機器で共用するなら、Wi-Fiルーターが必要だ。だがONU(光回線の終端装置)やホームルーター、ケーブルテレビのセットトップボックスなど、インターネット回線業者から提供されるネット接続に必要な機器が、既にWi-Fiルーターの機能を搭載している場合がある。その場合、Wi-Fiルーターを新たに購入する必要はない。この機能の有無は、インターネット回線業者へ事前に確認しておく。

ただ、それらの機器がWi-Fiルーター機能を搭載していたとしても、Wi-Fiの規格がIEEE 802.11n(Wi-Fi 4)以下と古く、通信速度が低い場合は、新たにWi-Fiルーターを購入し、それらの機器へ接続することによりWi-Fiをアップグレードできる。こうした接続方法を「ブリッジ接続」と呼び、Wi-Fiルーターのルーター機能を使わず、Wi-Fiのアクセスポイント機能のみを使う。

ブリッジ接続は、Wi-Fiルーターの設定を変更することで利用できる。回線の判別機能を持つWi-Fiルーターの場合は、Wi-Fiルーター機能を持つONUやホームルーター、ケーブルテレビのセットトップボックスに接続すると自動でブリッジ接続に切り替わる。

対応規格はWi-Fi 6/6Eがお薦め。

Wi-Fiルーターを選ぶときに、まず確認したいのは対応規格だ。現在Wi-Fiの規格はWi-Fi 6やWi-Fi 7といった業界団体(Wi-Fi Alliance)による名称で規格を表し、数値が大きいほど新しい規格となる。

今Wi-Fiルーターを買うなら、Wi-Fi 6かWi-Fi 6Eに対応するWi-Fiルーターを選びたい。ともに規格名はIEEE 802.11axで、パッケージには「11ax」などと記載されることもある。Wi-Fi 6対応のWi-Fiルーターは、エントリークラスの低価格製品なら1万円以下で購入できる。Wi-Fi 6Eに対応しているのはミドルクラスの製品が中心。登場当初よりは価格が下がってきており、1万円中盤からという価格帯になっている(ともに2024年1月中旬現在)。

Wi-Fi 6やWi-Fi 6Eを生かすには、PCやスマホもWi-Fi 6やWi-Fi 6Eに対応していることが必要である。PCやスマホの現行機種は、ほとんどがWi-Fi 6かWi-Fi 6Eに対応している。Wi-Fiルーターは過去のWi-Fi規格と互換性を保っているので、Wi-Fi 6かWi-Fi 6E対応のWi-Fiルーターには、Wi-Fi 5以下にしか対応していない機器も接続可能だ。

Wi-Fi 6EはWi-Fi 6を拡張(Extended)した規格である。最大通信速度や通信の仕組みなどはWi-Fi 6と同じだが、Wi-Fi 6Eは5GHz帯と2.4GHz帯に加えて、新たに6GHz帯の周波数帯を利用できるようになっている。6GHz帯は開放されたのが2022年であり、まだ利用者が少なく、5GHz帯と2.4GHz帯と比べると混雑度が低い。そのため、同じ条件だと5GHz帯や2.4GHz帯よりも通信が高速になりやすい利点がある。

ただしWi-Fi 6Eの6GHz帯を利用できるのは、Wi-Fi 6E対応のWi-Fiルーターと、Wi-Fi 6Eに対応するPCやスマホを組み合わせた場合に限られる。もし、Wi-Fi 6Eに対応するPCやスマホが手元にあるなら、Wi-Fi 6Eを選ぶ手もありだ。

選ぶときは最初に対応している規格を検討する。今はWi-Fi 6かWi-Fi 6Eが主流。例えばWi-Fi 6Eに対応する「Archer AXE5400」(ティーピーリンクジャパン)は量販店で1万2000円~1万3000円台で販売されている
画2、選ぶときは最初に対応している規格を検討する。今はWi-Fi 6かWi-Fi 6Eが主流。例えばWi-Fi 6Eに対応する「Archer AXE5400」(ティーピーリンクジャパン)は量販店で1万2000円~1万3000円台で販売されている。

Wi-Fi 6やWi-Fi 6Eの後継となる、Wi-Fi 7(規格名:IEEE 802.11be)に対応するWi-Fiルーターも既に販売されている。Wi-Fi 7はWi-Fi 6やWi-Fi 6Eより速度がかなり向上するが、2024年1月中旬現在、日本でWi-Fi 7対応のPCやスマホはまだ販売されていない。2024年内に販売される予定だ。

現状でWi-Fi 7の速度を生かせるのは、Wi-Fi 7対応ルーター同士で接続したときに限られる。またWi-Fi 7対応ルーターは、Wi-Fi 6やWi-Fi 6EのWi-Fiルーターと比べると現時点ではかなり高価である。Wi-Fiルーター同士を速度重視で接続したい、あるいは先行投資をしたい人以外にはまだお薦めしにくい。

対応規格が同じでも最大通信速度には違いがある。

次にWi-Fiルーターの最大通信速度を確認する。Wi-Fiルーターのパッケージや仕様には「4803Mbps」「2402Mbps」といった速度が記載されている。数値が大きいほど、そのWi-Fiルーターは高速ということになる。

ただし、Wi-Fiルーターのパッケージや仕様に記載されている最大通信速度は、あくまでその製品が対応する規格上のものだ。接続時にその速度が出るわけではない。実際に出る速度は、Wi-Fiを利用する環境や、接続するPCやスマホの仕様によっても変わってくる。

また、最大通信速度は周波数帯によっても違う。Wi-Fi 6で主に使うのは5GHz帯、Wi-Fi 6Eで主に使うのは6GHz帯と5GHz帯なので、Wi-Fi 6対応ルーターは5GHz帯を、Wi-Fi 6E対応ルーターは6GHz帯と5GHz帯における速度を重視して製品を選びたい。

WiーFiルーターの中には、すべての周波数帯の最大通信速度を加算してパッケージに表記している製品がある。そのような数値には惑わされないように注意したい。

現在、日本国内で売っているWi-Fi 6やWi-Fi 6E対応のWi-Fiルーターの場合、5GHz帯や6GHz帯の最大通信速度は1.2Gbps(1201Mbps)、2.4Gbps(2402Mbps)、4.8Gbps(4803Mbps)の3つ。なお、Wi-Fi 6やWi-Fi 6Eに対応するほぼすべてのPCはWi-Fiの最大通信速度が2.4Gbpsであるため、PCと接続して使うのであれば最大通信速度が2.4Gbps以上のWi-Fiルーターを選ぶとよい。

接続台数が多く、常に複数台が通信しているような環境であれば、最大通信速度が4.8Gbpsの製品を選ぶと帯域に余裕ができる。逆にスマホしか接続しないのであれば、安価で購入できる最大通信速度が1.2GbpsのWi-Fiルーターを買う方法もある。

Wi-Fi 4以降はMIMO(Multiple Input Multiple Output)という仕組みを使い、複数の電波(ストリーム)を束ねることで高速通信を実現している。Wi-Fi 6やWi-Fi 6Eの場合、ストリームは最大8個まで束ねることができ、その数が多いほど高速に通信できる。またストリーム数が多いと、接続台数が多くなる環境で通信に余裕が出る。

一般的に最大通信速度が大きいWi-Fiルーターほど、ストリーム数は多くなる。接続台数が多く、常に複数台が通信しているような環境であれば、最大通信速度が4.8Gbpsの製品を選ぶと帯域に余裕ができる。逆にスマホしか接続しないのであれば、安価で購入できる最大通信速度が1.2GbpsのWi-Fiルーターを買うのもありだろう。

パッケージや製品仕様にはストリームの数も記載されているが、アンテナの数や、送受信機の数、すべての周波数帯を合わせた数など、数え方がメーカーや製品によって異なるので気を付けたい。

最大通信速度は周波数帯ごとに記載する。Wi-Fi 6対応製品は5GHz帯を、Wi-Fi 6E対応製品は6GHz帯と5GHz帯の速度を重視して製品を選ぶ。画面はNECプラットフォームズの製品紹介ページより
画3、最大通信速度は周波数帯ごとに記載する。Wi-Fi 6対応製品は5GHz帯を、Wi-Fi 6E対応製品は6GHz帯と5GHz帯の速度を重視して製品を選ぶ。画面はNECプラットフォームズの製品紹介ページより。

接続台数が多いほど高性能。

Wi-Fiルーターの性能を示すため、各社は接続台数の目安をパッケージや製品仕様などに掲示している。Wi-Fiルーターは1つのネット回線を複数のPCやスマホに分配する役割を持つが、その処理速度はWi-Fiルーターが搭載するCPUの性能に左右されやすい。そのCPU性能は、接続台数の目安である程度は分かる。目安の台数が多いと、搭載するCPUは高性能だと思ってよい。一般的に安価な機種ほど接続台数の目安の数値は少なく、高価な機種ほどその台数は多い。

そのため、予算に余裕があるなら、なるべく接続台数の目安の台数が多い上位製品を選びたい。逆にPCやスマホを1~2台しか接続しない環境であれば、あえて接続台数の目安が少ない安価な機種を選ぶ手もあるだろう。

接続台数の目安は、あくまで各メーカーが独自に提示している台数だ。メーカーによってその基準がかなり異なるため、メーカーを超えて比較するときは注意しよう。

接続台数の目安が多いほど高性能なWi-Fiルーターになる。画面はエレコムの「WRC-XE5400GS-G」の製品紹介ページより。下の方に接続台数は40台という記載がある
画4、接続台数の目安が多いほど高性能なWi-Fiルーターになる。画面はエレコムの「WRC-XE5400GS-G」の製品紹介ページより。下の方に接続台数は40台という記載がある。

FTTH回線につなぐ場合は「IPv6 IPoE」への対応に注意。

Wi-Fiルーターの付加機能で最も重視したいのは「IPv6 IPoE」への対応だ。IPv6 IPoEはFTTH回線の接続方式の1つ。従来よく使われていた「IPv4 PPPoE」という方式よりも高速に通信できる可能性が高い。またIPv6 IPoEは「回線認証」という認証方式を用いるため、Wi-FiルーターにプロバイダーのユーザーIDやパスワードを設定する必要がなく初期設定がかなり楽になる。

またIPv6 IPoEの環境下では、IPv6の通信網でIPv4の通信をする「IPv4 over IPv6」という技術を利用でき、従来のIPv4網よりも通信の高速化を狙える。つまりIPv6 IPoEは、IPv4の通信も高速になる可能性が高い。ただしIPv6 IPoEを利用するには、Wi-Fiルーターが対応していることと、プロバイダーへの申し込みが必要不可欠だ。

IPv6 IPoE対応のWi-Fiルーターには、「IPv6対応」「IPv6 IPoE対応」などの記載がある。Wi-Fiルーターの中にはIPv6の通信をそのまま通す「IPv6パススルー」という機能もあり、古い製品の場合それを「IPv6対応」と記載する製品もあるので注意したい。

広い範囲で使うならメッシュネットワーク対応を重視。

広い範囲で使うなら、メッシュネットワークへの対応も重視しよう。メッシュネットワークは、同一の環境に複数のWi-Fiルーターを設置し、電波を網(メッシュ)状に張り巡らせる仕組み。メッシュネットワークを使うにはWi-Fiルーターを複数台必要とするため費用がかさむが、その分広い範囲でWi-Fiを利用できる。

メッシュネットワークには「Wi-Fi EasyMesh」という統一規格がある。それに対応した機器同士であれば、メーカーや機種を問わずメッシュネットワークを構築できる。対応していない製品は、同一メーカーで同じ製品群でのみメッシュネットワークを構築できる。メッシュネットワークの構築を考えるのであれば、Wi-Fi EasyMeshの対応を重視して製品を選びたい。ファームウエアの更新で対応する製品もあるので、サポート情報も確認しておいた方がよい。

Wi-Fi EasyMeshに対応する製品なら、メーカーや製品を問わずメッシュネットワークを利用できる。画面はバッファローのWi-Fi EasyMesh紹介ページから。対応製品なども確認できる
画5、Wi-Fi EasyMeshに対応する製品なら、メーカーや製品を問わずメッシュネットワークを利用できる。画面はバッファローのWi-Fi EasyMesh紹介ページから。対応製品なども確認できる。

最大通信速度が1Gbpsを超えるインターネット回線を導入しているのであれば、WAN側の有線LANポートの規格も確認しておく。最大通信速度が1GbpsのGigabit Ethernet(1000BASE-T)のWi-Fiルーターだと、有線LANが原因でネットの速度が頭打ちになってしまう。WAN側の有線LANポートが最大通信速度10Gbpsの10GBASE-Tや同5Gbpsの5GBASE-T、同2.5Gbpsの2.5GBASE-Tなど、1000BASE-Tより速い規格であれば、1Gbps以上の高速回線をより生かせる。


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