〇 2021年の男性の育児休業(育休)取得率は13.97%。厚生労働省が2022年7月29日に発表した「令和3年度雇用均等基本調査」の結果です。2020年度より1.32ポイント増え、過去最高となりました。
とはいえ、2025年に30%という政府の目標とはまだ差があります。取得した育休の期間も、2週間未満と短い人が半数を超えています。
そんな中、2022年10月1日に「産後パパ育休(出生時育児休業)」と呼ばれる制度がつくられました。育児・介護休業法で定められたもので、通常の育児休業とは別の休暇を取得可能になりました。
男性が取得できる育休には大きく以下の2種類があります。取得する側になる人だけでなく、男性部下を持つマネジャーも理解しておく必要があります。
育休。
子が1歳(保育所に入れないなど一定の場合には最長で2歳)に達するまで取得可能。父母ともに育休を取得する場合には、子が1歳2カ月に達するまでの1年間取得可能(「パパ・ママ育休プラス」制度)。
産後パパ育休。
子の出生後8週間以内に、通常の育児休業とは別に4週間まで取得可能。労使協定を締結した場合は、労働者が合意した範囲内で休業中に就労することもできる。
押さえどころとしては、①夫婦で取得すると1歳2カ月まで休業できる、②男性は妻の産後休業後に産後パパ育休も取得できる、③配偶者が専業主婦(夫)でも取得できる、の3点があります。
作戦を立てないと取得の意志も固まらない。
このように制度の整備は進んでいるものの、育休の取得率は13.97%と決して高いとはいえません。育休を取らなかった人にはどんな理由があったのでしょう。当事者の話を聞いたり各種の調査結果を見たりすると、以下のような事情が浮かび上がってきます。
- 会社で育休制度が整備されていなかった
- 職場が育休を取得しづらい雰囲気だった
- 育休に対して、会社や上司、職場の理解がなかった
- 自分にしかできない仕事や担当している仕事があった
制度が整っていないことに加えて、職場の雰囲気的に言い出しにくい、理解がない、自分にしかできない仕事があって休めない、といった事情はよく分かります。きちんとした制度があるのになかなか取得できないという職場も少なくないでしょう。
こんな状況に負けずに育休を取得するなら、現状ではそれなりの覚悟と準備が求められそうです。準備の第一歩として、育休を取得して何をするかを配偶者と具体的に話し合うことをお勧めします。
育児の分担のスタイルは、夫婦によって異なります。2人で一緒に育児をしたいというケースもあれば、「育児は妻が自分で全てやりたい、代わりに家事を夫に任せたい」という場合もあります。夫が中途半端に育児に口を出して険悪な雰囲気になった、という話も聞きます。
筆者は育休の取得経験はありませんが、可能な限り育児には参加していました。ただしそのやり方については自分の信念を固持していた部分がありました。一生懸命育児をしている最中にあれやこれや言われるのも気分が良いものではなく、「土日は筆者が自分の思うがままに育児をする、その間妻には外出など自分のために時間を使ってもらう」というスタイルを採用していました。
育児も家事も大変な仕事です。会社の仕事と同じくタスクを整理し、それをチームでどのようにこなしていくか相談することが大切です。誰が何をメインで担当するか、誰が補助をするのか。それも含めて役割分担を決めることで、育休取得の目的が明確になり、職場にも決意を持って取得を宣言できるようになるでしょう。
役割分担が曖昧だと、会社との話し合いの際も弱気になってしまう局面があるかもしれません。また、いざ育休を取ったにもかかわらず「1日のうちで育児に関与したのは2時間ほど、ろくに家事もせずに終わった」といった話も聞きます。
せっかく休みを取ったのに効果的に使えなかったという事態は避けたいものです。育休中にかかわらず、土日も含めて育児をどう分担するか、お互いに休息の時間をどう確保するかなど役割を話し合っておくのがよいでしょう。