不定期掲載ガンダム記事、"宇宙世紀に散ったキャラクターたち"。
早くも連載開始一周年、記念すべき今回のキャラクターは、
死を悟った瞬間に己がオールドタイプであると痛感して宇宙の塵となった男勝りな女戦士、
機動戦士Zガンダムより、ライラ・ミラ・ライラ。
地球連邦軍ルナツー駐留部隊
サラミス級巡洋艦ボスニア所属モビルスーツ部隊所属パイロット、階級は大尉。
女性ながら、一年戦争時からパイロットとして激戦をくぐり抜けた猛者。
Zガンダム作中で、過去の詳しい描写はまったくないが、
ティターンズのアレキサンドリアの司令官、ジャマイカン・ダニンガン少佐との会話で、
ニュータイプの居たホワイトベース部隊のことも知っており、一年戦争を戦っていたことが窺える。
さばさばとした性格で、上官へもはっきりとモノを言う。
その態度や口調を「なんとかならんのか!」と、ボスニアの艦長から咎めるられることも。
ライラには一年戦争を生き延びた実績にもとづいた、
確かなモビルスーツ操縦の腕前と、冷静且つ的確な状況判断能力があった。
そのため、女性なれどモビルスーツ部隊の隊長として活躍していた。
劇中また設定上、"隊長"という表記はないのだが、
作中の立場や言動、振る舞いをみると、隊長であることは間違いない。
ライラの最初の登場シーンは、
ガンダムMk-Ⅱを奪って逃走する、反地球連邦組織 A.E.U.G.(エゥーゴ)の艦隊を索敵しているシーンから。
ティターンズの軍事開発拠点、グリプスから、最新鋭艦アレキサンドリアを旗艦に、
バスク・オム率いるティターンズの艦隊がエゥーゴ艦隊の追跡を開始する。
そのとき、所属不明の艦隊を発見した、連邦軍のルナツー駐留部隊。
ティターンズが追っているエゥーゴの艦隊だと確信し、モビルスーツ部隊を発進させる。
だが、艦長は好戦的なライラに釘を刺す。
「足を止めて臨検するんだ、沈めるのが目的じゃないからな。」
「解っています、そんな戦争好きに見えますか?」
ライラは不敵に笑みながら、ガルバルディβでボスニアから発進する。
「見つけたよ!エゥーゴのコソドロめ!」
エゥーゴの艦隊に追いついたライラは、望遠でその姿を確認する。
一年戦争時のホワイトベースを彷彿とさせる、大型の最新鋭艦アーガマを目にして驚愕する。
「あんな戦艦は連邦軍にはない・・・エゥーゴが自前で作ったというのか!?」
エゥーゴが、連邦内の反ティターンズ派やジオン残党らからなる、
単なる寄り合いのゲリラ組織だと思っていたライラ、
これから戦うことになろう相手が、タダ者でないことをこのとき察知したのであろう。
ライラはガルバルディβをアーガマのブリッジに寄せ、接触回線でアーガマへ通告する。
「貴艦の所属を明らかにしろ!当方の命令に従わない場合は撃沈する。」
アーガマのMSデッキでは、クワトロ・バジーナ大尉が、
いつでも出られるように、リックディアスに乗って待機していた。
ブリッジでは、エゥーゴの中心人物、ブレックス・フォーラ准将が、
艦長である、ヘンケン・ベッケナー中佐に合図する。
そしてヘンケンはライラに回答する。
「我が方はエゥーゴだ。命令はきけない!」
「了解した。撃沈する!」
その回答にライラは待ってましたとばかりに、即座に攻撃態勢に移る。
だが、ブリッジから飛び出た、クワトロ大尉のリックディアスの攻撃で、
ライラのガルバルディβはアーガマを沈め損ねる。
クワトロ大尉は、自身の不意打ちをとっさにかわしたうえ、
その後もことごとく攻撃を回避するライラの腕に感心しつつ、苛立ちを覚える。
いっぽうのライラも、自身の攻撃をことごとく回避しつつ、艦隊も守る凄腕のパイロット。
リックディアスのパイロットに、驚愕しつつ、一年戦争の記憶がよぎる。
「赤いモビルスーツ・・・赤い彗星!?・・・まさか!?」
相手の艦隊に密着しておきながら、一隻も落とすことができず、
しかも味方機一機が撃墜されるという、ライラにとっては大失態となった。
「赤い彗星が相手だったと思いたい・・・でなければ立場がない。」
エゥーゴにはジオンの残党も多く与している。
連邦軍で語り草になっている、"赤い彗星"の異名をもつ、
ジオンのエースパイロット、シャア・アズナブル。
一年戦争後、消息不明となっている、そのシャアがそこに居たとしてもおかしくはない。
撤退しながら、初めて交戦したエゥーゴの艦隊に恐れを感じる。
その後、アレキサンドリアはじめ、ティターンズの艦隊も、ボスニアの居る宙域に到達。
アレキサンドリアのMS部隊があまりにお粗末だったからか?
ライラ率いるボスニアのMS部隊が編入され、共同戦線を張ることになる。
エリート部隊ということで、ふだんから連邦軍を見下して威張りくさっている、ティターンズ。
それが自分らよりも実戦経験に乏しく、実力がないことをボスニアの連邦兵たちは笑う。
アレキサンドリアのブリーフィングルームで、失態続きのティターンズのMSパイロット、
ジェリド・メサ中尉をバカにして雑談するライラの部下たち。
そこへ悔しさを隠し無言で入室し、黙って座るジェリド。
「名乗りもあげずに、ご登場かい?」
「その必要もないだろうな、"出戻りのジェリド中尉"といったら、もう有名だ。」
隣の席で、さっそくジェリドを茶化すライラ。
作戦会議でジャマイカンがティターンズの待遇を話す。
どうやらボスニアの正規兵達をティターンズに編入しようとしているらしい。
連邦所属の現状よりもかなり優遇されるティターンズの特権。
それを聞いて喜び騒ぐ他の兵たちを後目に、ライラは笑いながら吐き捨てる。
「甘いねえ・・・だから中尉のような甘ちゃんができるのさ。」
ジェリドをコテンパンにこき下ろす。
ブリーフィングルームを出ると、「待てよ!」とジェリドがライラを呼び止める。
いきなり、ライラへ向かって殴りかかるジェリド。
だが、それをひらりとかわして、蹴りを食らわす。
返り討ちに遭い、うめきながら、はいつくばる情けないジェリド。
「恥を上乗せしにくるなんて、律儀だねえ。」
軽くあしらい、余裕の表情でジェリドを見下して言い放つ。
どこまでもバカにされ、プライドがズタズタのジェリド。
だが、自分が失態続きであることは間違いなく、
ライラの言うことは説得力があり、そう言うだけの実力も備わっている。
ジェリドはライラへの怒りを尊敬に変え、急に今度は頼み始める。
「教えてくれ!俺はヤツを倒したいんだ!」
「宇宙(そら)は地球とは違う。どうして地球人には解らないの?」
生粋のアースノイドのジェリド、成績も優秀でエリート街道まっしぐらだった。
トレーニングの結果でも、宇宙での戦闘に適応能力があるとされていたのに、
まるでそれが通用しない・・・なにが悪いのか皆目 見当つかないジェリド、
おもむろにライラの腕を掴み、さらにライラにせがむ。
「およしよ触るのは!そういった雑な神経がある限りは勝てやしないよ!」
「メンツを捨てて、本気で勉強したいんだ!」
ティターンズのエリート、ジェリドが必死に教えを請う。
なりふり構わないその態度に、ライラは本気なんだと察し、
ぶっきらぼうで、あまりに簡潔ではあるが、
ジェリドに宇宙での戦い方、環境や状況に応じた戦い方をするよう言う。
アーガマを捕捉したアレキサンドリア艦隊。
モビルスーツを出してこれの撃沈に出る。
そうしてライラたち出撃のとき。
ライラはジェリドに、自分のガルバルディ隊と一緒に出撃しろという。
実戦で自分の戦い方をみてもらい、肌で感じて学んでもらおうと思ったからだ。
その頃アーガマは、アレキサンドリアに進路を気取られぬよう地球へと進んでいた。
レコア・ロンド少尉を地球にある、連邦軍本部、ジャブローへと潜入させる。
その作戦のため、レコア少尉の乗るカプセルを地球に降下させるためだ。
陽動のため、クワトロ大尉率いるリックディアス隊が出撃するが、
ティターンズに捕捉されたのはその直後だった。
アーガマのMSは出払った状態で、護衛に出られるMSは、
僚艦であるサラミス級巡洋艦モンブランのジムⅡ数機しか残っていなかった。
その状況下で、ライラ率いるMS部隊が急襲してきた。
ライラのガルバルディは、前進をやめないまま突き進み、
敵艦の対空砲火をかわし、ジムの攻撃をかわしながら撃破し、あっと言う間に敵艦へと飛び込む。
「敵の火線が怖くないのか!?まるで周りを見ていない!」
ライラの凄技を目の当たりにして、後方からついていくジェリドは驚愕する。
「敵の殺気を感じている?」
「すごい・・・!」
ジェリドはただただ圧巻するばかり。
ライラの戦いぶりを間近でみて、彼なりに出撃前に言われたことを咀嚼していた。
ライラのガルバルディ隊の攻撃によって、モンブランはあえなく轟沈する。
僚艦をやられ、窮地に陥るアーガマだったが、
アーガマに乗艦していた、グリーン・ノアの少年、カミーユ・ビダンが、
解体途中だったガンダムMk-Ⅱで急遽 護衛に出撃し、
クワトロ隊も陽動から戻ってきたため、状況が一変。
ティターンズのハイザックが次々に落とされる。
「どうりで抵抗が薄かったわけだ。出ていたのか?」
ライラは状況を的確に判断していた。
アレキサンドリアからの撤退命令も出て、すみやかに撤退する。
またもカミーユの駆るガンダムに翻弄されたことを悔しがるジェリド。
「負けたくない・・・アイツはいつか絶対に、俺がやってやる。絶対にだ!」
悔しがるジェリドの言葉を聞いて、ライラはガンダムのパイロットに不安を抱く。
「カミーユという子供が乗っているのか?あのガンダムMk-Ⅱに?」
「・・・ニュータイプだというのか?!」
ライラもまた、ガンダムのパイロットがタダ者ではないことを察知していた。
アレキサンドリアへ帰艦して、ジェリドはジャマイカンに叱責される。
「半分のMSがやられるとは、ティターンズとは名ばかり・・・。」
「ライラ隊の方がいい働きをしている。」
そう続けるジャマイカンに、ライラはジェリドを庇う格好で割って入る。
「お言葉ですが・・・今回の敵は特別だとお解りいただきたいのです。」
ライラは自身が、アーガマとガンダムのパイロットに感じた、
一年戦争時のホワイトベース隊のような特別な雰囲気をジャマイカンに説明する。
「彼らはニュータイプかも・・・。」そう言うライラに、
「バカをいうな!ニュータイプなどおらん!」と、
ジャマイカンは顔色を変え、声を荒げて反論する。
「ニュータイプなど、ビデオ屋の創造物だ。」そう吐き捨てて退室する。
一年戦争以降、ニュータイプの存在を否定してきた連邦軍。
当時のホワイトベースのクルーたちも、連邦幹部から危険視され、
艦長のブライト・ノアはじめ軍属に残ったものは皆、閑職においやられ、
ガンダムのパイロットだった、アムロ・レイは連邦の監視下で軟禁状態にあった。
そういったなかで、この時代の連邦ないしティターンズの上層部では、
ニュータイプの話題は嫌悪され、禁忌ともなっていたのだ。
オーガスタ研究所やムラサメ研究所の強化人間たちが、
上層部から信頼されず、やたらと煙たがられていた内情が判る。
アーガマは浮遊物が数多くあるサイド4宙域、通称"魔の空域"へと直進する。
その先の進路が読めない、追撃するアレキサンドリア。
作戦会議で、追撃ルートに悩むジャマイカンに対し、ライラは積極的に意見する。
「大尉!作戦参謀は私だよ!」と、ジャマイカンに咎められるが、構わずに続けるライラ。
ライラ隊はボスニアへ戻り、アレキサンドリアと別れて進路をとり、
別ルートからアーガマを叩くとジャマイカンに提案する。
ジャマイカンはそれを認め、「いい覚悟だ」とライラに言うが嫌味のように続ける。
「 大尉は戦争を好むタイプと聞いた。」
それを聞いてライラは、「それは少佐の偏見です!」と反論する。
「敵と接触した場合、我々との合流を原則にな。」
ライラにボスニアだけで戦い急がず、あくまでも共同戦線であるということを念を押すジャマイカン。
アレキサンドリアから、ボスニアへとライラ隊が移動する。
ガルバルディβへと乗り込むライラを、ジェリドが呼びとめる。
嫌味なジャマイカンを知っていて、わざと噛みついたライラ。
冷静なライラがなぜそういうことをしたのか理解できなかったジェリドはライラに問う。
「ああいう男は好きじゃないって判らせたかったのさ、アンタに。」
ライラは笑みを浮かべながらジェリドにそう言い、コックピットに座る。
「ライラ、今度会ったらゆっくり酒でも飲まないか?」
そう言うジェリドに、「考えとくよ。」と答えるライラ。
そして続ける。
「いい男になってくれたら、もたれかかって酒が飲める。それはいいものさ。」
コックピットからジェリドが離れ、ガルバルディβはハッチを閉じる。
ライラはモニタで、見送るジェリドの顔をズームする。
子どものような無垢な笑顔で見送るジェリドを見て、ライラはつぶやく。
「いい男になる素質はあるんだよ、あんたには・・・。」
こうして、ライラとジェリドは最後の会話を交わすことになる。
一緒に酒を飲むという約束は果たされることはなかった。
ライラの予測どおり、ボスニアが先にアーガマを捕捉する。
アーガマはサイド1の30バンチコロニーへと入る。
過去に反ティターンズ市民が集まって大規模なデモ集会があった際、
バスク主導のもと、G-3ガスによって南極条約無視の無差別大量虐殺が行われたコロニー。
コロニーは放置され、犠牲者の遺体も放置されたままの誰も近寄らぬ場所だ。
そんな場所へアーガマが寄港するのだから、もしやこの場所にエゥーゴの秘密基地が?
ライラはそんなことを考え、自身も部下を従えて30バンチコロニーへと潜入する。
そこで、ガンダムMk-Ⅱのパイロット、カミーユを捕える。
「ティターンズの方ですか?」そう問うカミーユに、「ティターンズなものか!」そう反論するライラ。
かねてよりティターンズを嫌っていた正規軍のライラ。
30バンチコロニーに無残に転がるミイラ化した一般市民のミイラ。
それを目の当たりにして、ライラは一層、ティターンズへの不信感を増していた。
連邦のなかでも、30バンチの毒ガス事件は噂で聞いていただけのこと。
その真相は明らかにされていないことだった。
そしてクワトロ大尉とティターンズからエゥーゴへと寝返った、エマ・シーン中尉の会話を聞く。
バスクが・・ティターンズがやった非道な行為。
ふたりの会話に突然、ライラが割り込む。
「嘘だ!バスクはそんなことはしない!」
「かつてジオンを好きにした、ザビ家の残党の理屈に騙されているんだ!」
クワトロ大尉・・・いや、ジオン・ダイクンの遺児である、
シャア本人に、ある意味的確なことを言うライラ。
「連邦が第二のザビ家になろうとしているのが解らないのか!」
そうクワトロに言われ、カミーユを解放して逃走するライラ。
追ってくるカミーユを華麗な回し蹴りで振りまき、鮮やかに逃走する。
彼女のなかで、一年戦争から持ち続けていた理念が揺らいでいた。
ティターンズは嫌いといえど、同じ主義を持つ自身の所属する連邦から派生したもの。
そのティターンズがジオン・・いやザビ家よりも酷いことをやっていた?!
「僕の勘が当たった、できるひとだ!」
去っていったライラに対し、カミーユはそうつぶやく。
敵が潜入していたと知り、クワトロ達は急いでアーガマへと戻り、アーガマは30バンチを離れる。
そして、迎撃のため、カミーユ達はモビルスーツで出撃する。
ライラ隊もまた、ガルバルディβでアーガマのMS部隊に応戦する。
このとき、ライラは動揺していたのか、いつもの冷静さを失っていた。
30バンチでみた光景。
クワトロ達から聞いた連邦,ティターンズの実情。
そして・・・対峙する、ガンダム!
一年戦争を経験していて、その名前を知っているからこそ、
その機体を相手にするのに恐怖を覚えるライラ。
「あなただって、さっきのクワトロ大尉の言葉を聞いたでしょう!」
カミーユはライラのガルバルディβに接触し呼び掛ける。
「何ごたくを並べて・・・!」
ライラはガンダムを振りほどき、抵抗する。
「抵抗すると、撃ちますよ!」
「こいつ・・・やはりニュータイプだ!」
ガンダムとカミーユから、その特別な殺気を感じていたのか、
ライラは半ばやけになりながら、必死に応戦する。
援護に来た部下のガルバルディがあっさりと撃破される。
「あんな子供に、あんな子供なのに!」
「私は正規兵だ、あんな子供に負けられない!」
ライラは冷静さを失い、ライフルで牽制しながら、逃げ惑うだけで精一杯だった。
「大尉!あなたは逆上し過ぎています!」
カミーユが叫ぶ。
その頃、アレキサンドリアでは、ボスニア隊が戦闘状態に入ったことを確認するが、
ジャマイカンは援軍を差し向けようとはしなかった。
「少佐!なぜ援軍を出さないのです!?」
ジェリドがブリッジでジャマイカンに意見するが、
「アーガマの消耗を待つ。」と、ジャマイカンは戦闘を静観する。
「中尉にいい士官になってもらうためでもある、軍人は個人的な感情を抑える術も知らねばならん。」
ジャマイカンはそう続け、焦り憤るジェリドを抑える。
ライラは戦闘のさなか、ガンダムを見失い、コロニーの外壁に沿って飛行する。
コロニーの外壁に空いた穴に隠れていたカミーユのガンダム。
そこから狙撃され、ガルバルディはバランスを崩し、ガンダムに急接近される。
「負けるものか!あんな子供に!!」
ライラはビームサーベルを抜き、ガンダムに斬りかかる。
それをかわし、ライフルを放つカミーユ。
死を悟ったライラが叫ぶ。
「私がジャマイカンに言ったとおりだ。ジェリド、油断するな、ヤツはタダ者じゃない!」
ビームはガルバルディのコックピットを貫いた。
「そうか、私が今、あの子のことをタダ者じゃないと言った。」
「この解かり方が無意識のうちに反感になる・・・。」
「これが・・オールドタイプということなのかっ!?」
ほんの刹那の絶命の瞬間に、ライラはこれだけ多くのことを感じながら宇宙の塵となる。
「ぶざまな!」
アレキサンドリアのブリッジで、ガルバルディの閃光を確認したジャマイカンが吐き捨てる。
けっきょく援軍は差し向けず、ボスニア隊を見殺しにしたジャマイカン。
「うわあああぁ!」
ライラの死をみて、叫び声をあげ取り乱すジェリド。
死の瞬間、ライラはジェリドの脳裏に何かを訴えようと呼び掛けていた。
「おい、何を言おうとしたんだ!大尉!!」
それが何だか判らぬまま、ジェリドは悲しみにくれる。
自分の初めての師匠となった、ライラ・ミラ・ライラ。
単に師匠としてのみならず、ひとりの人間として尊敬していた。
エリート街道を突き進み、プライドが高かった彼が、
初めて尊敬し、師事した人物だったかもしれない。
また、女性として、ひょっとしたら意識しないまま、恋心も抱いていたかもしれない。
ライラも、最後の応対をみる限り、まんざらでもない様子だった。
この戦闘後、カミーユ・ビダンは、エゥーゴの一員として、
アーガマの正式なパイロットとして認められ、ブレックス准将から直々にそれを任命される。
「アムロ・レイの再来だな。」というブレックス准将。
「同感だな、カミーユ・ビダンくん。」そう続けるクワトロ・バジーナ。
30バンチで見た凄惨な光景、ライラとの戦闘、
そしてそれ以前の、ティターンズに拘束されたこと、両親が目の前で次々と殺されたこと・・・。
特殊な家庭環境によって、もとより平穏でなかった彼の精神状況は、
既にこの頃から、確実に破綻への道を歩んでいた。
この後、月面都市アンマン近郊で、
ジェリドはカミーユのガンダムへ、ライラの弔い合戦を仕掛ける。
「ライラ、お前さんが俺を導いてくれるか?」
ライラの愛機だったガルバルディβを駆り、
気迫のこもった攻撃で、あわやカミーユを撃墜するところまで追い詰めるものの、
最後にクワトロの援護によって阻まれてしまう。
「戦友の仇も討てないのか・・俺は!」と、撤退しながら悔しさに涙する。
「パワーがダンチなんだよ、そういうときはどうすればいい?」
最終話では、魂の幻影として、シロッコに苦戦するカミーユにアドバイスを送る。
エマやレコア,カツ,サラ,そしてロザミアにフォウ。
終盤に散った多くのパイロット達のなかに、忽然と現れるライラ。
リアルで観ていた少年たちは、序盤で散ったライラのことはすっかり忘れていて、
「誰これ?」なんてならなかったろうか?
ちなみに"ダンチ"という言葉はこれで初めて知った。
"段違い"の略ってことなんだけど、これが初出ってわけじゃないよね?
ライラ・ミラ・ライラ。
ノースリーブに黄色のスカーフ?がおしゃれ。
Zガンダムの序盤で登場する、印象的な女性キャラクター。
喋り方や、その容姿、カミーユとの接触の仕方から、
ファーストでいうところの、ハモン・ラルのような立ち位置だろうか?
年齢設定がないが、二十代後半ということが一般的なよう。※1
だが、個人的に三十路過ぎの方がしっくりくる。
まあ、ガンダムのキャラクターってのは、
設定年齢にプラス10歳くらい上乗せした方がしっくりくることが多いからな。
オリジンだかで、彼女が登場するらしく、そこで年齢も明らかにされているようだが、
自分はオリジンを本編とは同一視していないので、これには言及しない。
こういう場合、いくらライラが部屋を開けたとはいえ、
ふつう外で着替えるのを待つが、そうしないジェリドの無神経さは凄い。
というか入れてくれた時点で、大概の男は勘違いするよな?
ライラさん、ひょっとして魔性の女か?
はっきりとしたモノ言いなだけで、言葉使いは言うほど乱暴なわけではなく、
ジェリドに腕を掴まれて、「およしよ!」とか、
ヘンに丁寧な言葉を使い、急に女性っぽさを感じるシーンがある。
また、シャワーシーンで、おっぱいを見せるサービスカットも登場。
スレンダーに見える彼女だが、脱ぐと意外とむっちりしているのが判る。
バスタオルを羽織った姿で、ジェリドと会話するシーンでは、
最初、目をそらしていたジェリドが、話しに興奮して夢中になり、
ライラの方を向いて大声を出したときも、
ライラは身を丸め、「こっちを向くんじゃないよ!」と恥じらいを見せる。
ひょっとしたら、男性経験に乏しいのかも?
蹴られたい!
ジェリドへ最初に食らわした、鮮やかな蹴りや、
ガルバルディβでの華麗な戦闘シーン、印象的なシーンをいくつも残し、
最後はカミーユが、正真正銘のニュータイプだということを強烈に印象付けて散る。
その比較対象として、オールドタイプの猛者として、
この後に登場する、ブラン・ブルタークや、ヤザン・ゲーブルらと共に名前が挙げられる。
女性パイロットとしては、エマやレコア,サラ、ファ、それにフォウやロザミア,ハマーンの登場で、
序盤で散ったライラはどんどん印象が薄くなっていくものだが、
他がニュータイプ要素があったり、強化人間だということで、
やはりオールドタイプということで差別化され、その存在感はあり続ける。
劇場版では彼女の登場シーンが少し変更になっている。
最初からティターンズに編成された格好で、レコアが地球に降りるときの戦闘から参加。
30バンチの戦闘はカットされ、ライラはカミーユやクワトロと直接会うことがないまま、
ジャブロー降下作戦に参加し、そこでカミーユのガンダムMk-Ⅱに撃墜される。
ジェリドはこの作戦で、ライラとカクリコンの戦友ふたりを同時に失うことになる。
またジェリドに対する意識もアニメ版とは異なり、
途中からジェリドのことを認め、目をかけていたアニメとは異なり、
劇場版では最後までロクに相手をせずに あしらっていた。
「いい男になれば、もたれかかって酒が飲める。」
大人の会話がかっこいい、二人の別れ際の印象的なシーンも、
教えを請うジェリドを頑なに拒み、
「(自分で)考えな!」と、たったひと言で済ませて去るライラ。
実にそっけないものになっている。
「お勉強だけがよくできて、バカな子って居るんだよね。」と、
最後までジェリドをバカにして つぶやくライラが印象的でもある。
劇場版とアニメ版とで決定的に異なるのは、
彼女にもニュータイプの素質が描写されているシーンではなかろうか。
可変MAメッサーラで急襲する木星帰りのニュータイプ、シロッコ。
「この正面のザワザワとした感触はなんだ!?」
「サイキック・インプレッション!?」
その存在を、クワトロやカミーユらと同時に、彼女も感じ取っているシーンがある。
カミーユのガンダムMk-Ⅱと交戦する際、
それがガンダムから発せられていたのだと納得するが、
あのタイミングで感じ取っていたのは、カミーユではなく、シロッコだったのだと思う。
いずれにしても劇場版のライラには、戦場でそれを察知する、
ニュータイプのような能力、そんな描写がある。
上の方にあるアニメ版の同一シーンと見比べてみよう。
アニメ版,劇場版ともに格好良かった、ライラ・ミラ・ライラ。
自分はZに登場する女性キャラクターのなかで、一番好きだ。
プレイステーション2用のゲーム、エゥーゴVSティターンズでは、
パイロットをライラにし、宇宙,地球の両方とも機体はガルバルディβでプレイしていた。
コストが低いとはいえ、脆い機体なので終盤はかなりしんどかったなあ。
次回は、メカニックに関しては天才的だが、どこか抜けている、
妻子ある人への愛に溺れ、その名を叫びながらバラとともに散った一途な女性。
機動戦士Zガンダム DVD-BOX Volume.3のパッケージ。
この巻で散ってしまう、ライラさんがパッケージに。
そのメニュー画面。
バスク,ジェリドら、ティターンズの連中のなか、
第7話で最期を迎えるライラさんが一番手前に。
食玩のガンダムスタンダードの、ガルバルディβ。
やっぱりシブくてカッコイイわ。
ガンプラ。
右が1/100,左が1/144。
未組立で積んでいた。
1/144は、かなり昔に作ったことがあるんだが、
ゲームのエゥーゴVSティターンズで、この機体の魅力を再認識し、
あのライフルの銃口を上に向けた構えを再現させるべく再び購入したもの。
実際には肘や肩,そしてライフルなどが干渉して、大幅に改造しなきゃ無理。
1/100には、1/48のライラさんが付属!
トレカのライラさんとガルバルディβ。
SDガンダム ガシャポン戦士のガルバルディβ。
ジェリドのハイザックと、カミーユのガンダムMk-Ⅱと。
SDガンダム カードダスのガルバルディβ。
何を叫んでいるのか?
ちなみにこれが、ガルバルディα。
一年戦争末期、ギャンの後継機として開発されたが、実戦投入されなかったという機体。
戦争終結後、ジオンの技術を接収した連邦軍が新たに設計し直し、
量産されて実戦配備されたのが、ライラさんの乗るガルバルディβ。
そのデザインから、ゲルググの後継機だと勘違いしているひとが多いが、
ガルバルディは、ギャンの後継機である。※2
SDガンダム外伝では、伝説の巨人編に騎士として登場。
「ぼうや」ってのは、騎士ガンダムのことか?
それとも騎士アムロのことか?
ガルバルディβは、同じく伝説の巨人編に登場。
偽の巨人、マッド・ゴーレムを復活させた、神官マ・クベ・カッツェとは異なり、
水晶を奪って本物の巨人、サイコ・ゴーレムを復活させる。
誰から水晶奪ったんだっけか?
今回、初めて開封するに至った、このフィギュア。
いつ買ったのか覚えていない。
たぶん5年以上は前だと思う。
食玩なので、ガムが付属。
色が変わって、とても食べられるように思えない。
消費期限は記載されいてない。
食べてみた。
なんともなかった。
※1
1/100ガルバルディβの組立説明書に25歳と明記されていた。
・・・てことは一年戦争時、17か18歳ってことになるが、ちょっと無理ないかい?
※2
古い資料集などでは、"ゲルググにギャンの白兵戦能力をプラスして開発された”云々・・・
と書かれているものもあるが、最近のものはギャンをベースに開発したが、
ゲルググの製造ラインを再利用して製造されたため、
デザインがゲルググのようになったとか、設定がまちまちで統一性がない。
>師子乃さん
最終回で幽霊になって唐突に再登場しますし、
主人公のカミーユのライバル立ち位置のジェリドに絡んだ人物ですし、
なによりもシャワーシーンでおっぱいを見せてくれた人物なので、
印象はかなり強烈に残ると思います。
昨夜は途中で回線が不通となってしまい、
いつまでも復旧しなくてコメントができませんでした。
ドラクエも日替わり討伐の最中に切断され、そのままデマトード高地で放置。
30周年のカウントダウンにも参加できなくて残念です。
今日も断続的に切れて、思うようにネットができないです・・・。
劇場版Z、色々端折られていて、
初見のひとには到底ワケの解らない作品ですね。
これアニメ版を観た人向けのダイジェストです。
新訳ってなっているけれど、けっきょくラストくらいですもんね。
ミネバを地球に残し、アクシズ艦隊は地球圏を離脱し、
そうやってハマーンがあの後、何を計画していたのかも知りたいところです。
アルベルトってのが誰なのか判らないのですが、
小山田さんは、信繁らの義兄の方ですよね。
本職が声優さんってのも何かで見ましたし、印象深かったので覚えています。
というか姉ちゃん生きてたんだから、いち早く知らせてやれよと。
所在不明なんかな?
1回しか観てないので気付かなかったかもです。
劇場版は色々端折りすぎたイメージでしたが、
追加要素もあったのですね。
今度観てみます。
そういえば日曜日の朝にUCやってましたね。
こちらは今のところOVAのをそのままやってる感じてすが、何か追加があると良いなと思ったり。
UCはまだ途中までしか観てないのでこの機会に最後まで観ようと思ってます。
新しい発見?としてアルベルトの中の人が真田丸にも出演してたのは驚きました。
小山田茂誠役
こっちもコメントありがとうございます。
ライラのニュータイプ描写は劇場版だけですので、見間違わないようにしてください。
今回、久しぶりに両作品を観てみたのですが、
ライラだけでも、かなり違いがあって、それを比較するのも楽しかったです。
ヤザンの場合は、ヤザン自身にニュータイプ能力があるのではなく、
レコアやカミーユが見せ付けたものだと思っています。
アニメ版も、もう一度見直してみようと思います。
あとジェリドのは未確認なので、今度観てみますね。
ライラさんが亡くなった瞬間にも、彼はライラの声を聞いていますし、
マウアーのときも、あっておかしくはないかもしれませんね。
しかし劇場版のジェリドはいいとこナシですね・・・。
しかし、この記事作成に10時間(二日がかりで)くらい費やして、
どっぷり疲れて校正中に眠ってしまいました・・・。
回を重ねるごとに長くなってしまっているので、
初期のマチルダさんやヘンケンさんみたく、もっと簡潔にせんといかんな。
ライラのニュータイプ描写は見落としてましたね。
今度確認してみます!
他にもヤザンやジェリドもニュータイプぽい描写がありましたね。
ヤザンの場合「まやかしだ!」と覚醒拒否したのもヤザンぽかったですが。
ジェリドの場合ガブスレイで特攻かけてく時、Zぽいのを発動してたような。
シロッコがライバルポジションにならなくて、
その後のジェリドの扱いが微妙にならなければ、
完全覚醒してたかも?と思ってます。