HERO -誰よりも輝く瞬間-

HEROの条件。

それは、誰よりも輝くことである・・・

この物語はHEROにあこがれた、名もなきハンターの物語。

その名もなきハンター、この世界にモンスターが現れ始めてから
約２年半、ずっと狩をしてきた。

最強と言われるモンスターも、仲間のハンターの力を借りながら
すべて倒してき、欲しいものも手に入れてきた。

そんな名もなきハンターが火曜日によく現れるというのが、
今ちまたで噂の、とある町にある釣具集会場と呼ばれる場所。

この集会場、火曜日の９時になると、どこからともなくハンターが
続々と集まってき、皆狩に没頭する。

そこには昨日今日はじめた新米ハンターから、モンスターの生態から
肉質まですべてを知り尽くし、またすべての武器を使いこなす
ベテランハンターまでが集まってくる。

そんなベテランハンターはクエに行っても、同行するメンバーに
的確な指示をだし、時には叱咤激励をする。
また、自分自身も最前線でモンスターを次々となぎ倒していく。

まさにHEROである。

とある集会日、名もなきハンターはそのベテランハンターと、
これまたドスの試験をことごとくソロでクリアした伝説のハンター、
そして、成長著しい新米ハンターの計４人で闘技場に現れる２匹の
角竜を倒しに出かけた。

まだまだ若いやつには負けられない！
そう思いながら出発した名もなきハンターであった。

闘技場に入るなり、襲い掛かってくる２匹のモンスターを前に、
体制を整える名もなきハンター。

そんな中確実にモンスターの角を折るベテランハンター！

さらに、モンスターの尻尾を、振り下ろす大剣にてみごとに切り落としていく
もう一人のベテランハンター！

集会場の中では

『ナイスーー！』　『ナイスカットーー！』

と歓声があがる！

その瞬間、集会場の中では誰よりも輝いている。

まさにHEROである。

さらに新米ハンターまでもが、閃光玉や音爆弾を巧みに
使いこなし、２匹のモンスターを上手に分断する。

ベテランハンターからも

『ナイスーー！』

っと声がかかる。

名もなきハンターはその姿を横目で見ながら、
世代交代の時をひしひしと感じた。

その時である！

２匹のモンスターに囲まれた名もなきハンターは、
身動きもとれず、強烈なモンスターの攻撃をもろにくらってしまった。

吹き飛ばされる体！

死を感じた名もなきハンターであった。

ただ、ベテランハンターの前で、新米よりも先に落ちるわけにはいかない！

そんな熱い思いが神に通じたのか、ほんの少しの体力を
神は名もなきハンターに残してくれた。

名もなきハンターは慌てて安全な位置に移動して、

ゴクリ！と神の水を飲みほした。

見る見るうちに全快に回復していく体力。

その時！

『ナイスーー！　秘薬！』

集会場からは歓声があがった！

名もなきハンターがその日最初で最後、集会場で１番輝いた瞬間だった。

HEROになれた瞬間だった。

嬉しかったのか、悲しかったのか、頬をつたう涙をぬぐいながら
名もなきハンターは再びモンスターに向かって走って行った！