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瓜二つの男

2022-08-01 00:40:53 | お話

第1話『タイムスリップ』
○ 江戸時代、
   仕事人狩りが横行していた。
○ 橋のたもと
   飾り職人の秀も仕事人狩りの魔の手に襲われている。
   数人の仕事人狩りに囲まれる秀。
   簪を持ち抵抗する。
   背後から襲われる。
   背中に刺し傷を負う。
   川に落ちる秀。
   そして。
   何とか川から這い上がる。
   追っ手を撒く。
○ 荒れ寺
   秀はそこに入り込む。
○ 同・周辺
   仕事人狩りは血痕を見つける。
○ 同・お堂
   秀は小部屋に逃げ込む。
   血痕を辿り仕事人狩りも入る。
   そして、小部屋を開ける。
   しかし血痕と濡れた後はあるが秀の姿は無い。
○ 昭和の時代。
   原昌之刑事は弥生神社で倒れている男を見つける。
   その男の顔を見て驚く。
 「・・・!」

第2話「謎」
   原はその男を病院に運ぶ。
○ 病院
   秀の背中の刺し傷は思ったよりかは浅く、命には別状は無い。
   原は自分と瓜二つの秀を見、不思議な気分になる。
   そして、秀が何者なのか・・・。
   着ていた衣服を見た限り普通に生活していた者とは思えない。
   そして手に握り締めていた簪。
   原は西條に連絡を入れる。
   20分後西條が駆けつけてくる。
西條「電話で言っていた男は?」
 「とにかく見てください」
○ 同・病室
   西條は病室に入りベットに寝ている男を見る。
西條「!?・・・ジプシー(原の顔と秀の顔を見交わす)やっぱりジプシーだ!」
 「俺はここです。着ていた衣服なんですが・・・」
西條「(見る)何だぁ?これを着てたのか?綺麗な簪だ」
 「手に握り締めてました・・・どうしたらいいんでしょうか?」
西條「さぁなぁ・・・とにかく意識が戻って事情聴取してだ・・・あとは・・・分からん」
 「意識が戻るまで病院にいます。ボスに連絡お願いします」
西條「分かった、しかし・・・説明の仕様が無い」
   西條は帰って行く。
   夜遅くになり秀の意識が戻る。
   意識が戻り自分のいる風景がいつもと違う事に気づき・・・ベットから降りようとする。
 「まだ無理だ!」
   秀はその言葉の方を見て驚く。
   原の顔と衣服・・・。
 「名前は?」
 「・・・」

第3話『謎その2』
 「もう一度聞く名前は?」
 「秀・・・」
 「ヒデ?苗字は?」
 「苗字?」
 「鈴木とか田中とか中村とかあるだろう」
 「八丁堀の・・・飾り職人の秀」
 「八丁堀??飾り職人の秀??」
 「町人に苗字何ていうのはねえ」
 「町人??江戸時代でもないだろう?」
 「?此処は何処なんだ?」
 「日本、昭和に決まっている」
 「昭和??て?何いってんのかわからねぇ」
 「それはこっちが言いたい台詞だ・・・何者だ?」
 「おめえこそ何もんだ?」
 「刑事だ」
 「刑事??」
 「悪い奴を捕まえる(この男ふざけているようには見えない)」
 「奉行所か同心?岡引?ってとこか」
 「・・・。住まいは?」
 「**長屋」
 「君が住んでいた時代は此処ではないようだ・・・何か良くわからないが・・・とんでもない事が起こってしまっているとしか言いようが無い・・・」
   原は何がどうなってしまっているのか頭の中がパニック状態になる。
   秀も原の言っていることが何を意味するのか分からない。
○ 江戸時代
○ うどん屋
   加代が中村主水に秀が消えたと伝えにきた。
加代「大変だよ!八丁堀、秀さんが消えたんだよ!」
主水「秀が消えた?何を馬鹿なこと言ってんだ?」
加代「ホントだって、まさか仕事人狩りにやられちゃったんじゃ・・・」
主水「どこかに隠れているんじゃないのか?」
加代「あの仕事の後から姿が無いから心配なんだよ・・・帰って来た気配もないし・・・」
主水「もう少し様子を見るしかないだろう・・・」

第4話『戸惑い』
   3日後。
○ 病院
○ 同・病室
 「一応服は俺のを着ればいい・・・これじゃあ此処では駄目だ」
 「わかんねえよ・・・あっしの服捨てないでくれよ」
 「洗濯機に入れたらボロボロになるのが落ちだから手洗いしておいた」
 「洗濯機?わけわかんねぇ・・・あっ!簪・・・」
 「これか?(秀の目の前に見せる)」
 「返してくれよ・・・」
 「手作りか?」
 「大事な仕事の道具だ・・・飾り職人・・・」
   原が持ってきた下着から洋服一式に着替える秀。
   丁度そこに春日部と竹本が入ってくる。
   春日部と竹本は顔を見合す。
春日部「どっちがジプシーだ?」
竹本「えっと・・・全く一緒じゃないですか!」
 「なんでぇ・・・てめえら・・・!」
 「何かあったのか?」

第5話「不思議」
○ 七曲署・第一係
   藤堂のデスクの前に原と秀が並んで立っている。
   原が藤堂に自分の想像と意見を述べている。
   その話を藤堂をはじめ山村・井川・西條・春日部・竹本が聞く。
   秀は自分が今いる状況がまるで分からず直ぐにでもその場を飛び出たい。
藤堂「つまり、この男は過去から来たと?」
 「はい、そうとしか考えられないんです」
 「いつまで此処にいりゃあいいんだ」
西條「記憶喪失とは考えられないのか?」
 「それも考えました、でも彼は真面目に答えるんです」
 「隅に座ってもいいか?」
   秀はそう言うと隅の床に足を抱えて座る。
竹本「椅子に座ればいいのに・・・」
山村「慣れていないんだろう」
春日部「慣れいてないってことはジプシーの話がマジだってことに?」
井川「信じられませんなぁ」
藤堂「まだハッキリした事は何も分かっていない、あの男の身柄は当分ジプシーに任せる」
春日部「過去って丁髷の時代ってこと・・・それにしてはなんでジプシーと同じなんだ?」
 「俺に言われても分からない」
山村「ジプシーも何があるか分からん、気をつけるように」
 「はい」
○ 原の部屋
   秀はどうも落ち着かない。
 「自分の服に着替えていいか?どうも落ちつかねえ」
 「着替えたらその格好では出歩くのは無理だ」
   秀は何も言わずに自分の服に着替える。
 「これから如何する?」
 「知るかよ・・・こっちが聞きてぇ」
 「家族が心配しているんじゃないのか?」
 「いねえよ・・・家族なんか・・・一人だ」
 「仲間や友達はいるだろう・・・」
 「まぁな・・・あんたは?」
 「天涯孤独だ・・・仲間はいる、あの一係の人たちだ」
 「どこか似ている・・・」
 「君がいた弥生神社に行ってみよう・・・何か分かるかも知れない。上にコートを羽織ればいいだろう」
   原は秀にコートを着させる。
○ 弥生神社
   原と秀は弥生神社の境内の中に入って行く。
   そして、奥に足を踏み入れた時。
   一瞬光が・・・。
   原と秀の姿は消えていた。
   原と秀は周囲の風景が変わっていることに気付く。
 「戻って来た・・・」
 「ま・まさか(@_@)ここは・・・」
 「此処にいろ・・・着る物を持って来る・・・今度はその服装じゃあ此処ではな・・」
 「江戸時代・・・(・・;)」
 「此処を絶対に動くんじゃあねえ・・・隠れてな・・・狙われる」
   秀はそう言うと外に飛び出して行く。
 「・・・」
○ 長屋
   秀は急いで服を一式用意する。
   家を出る。
   そこに加代が・・。
加代「秀さん!無事だったんだね・・・何処行ってたんだよぉ」
 「おめえとしゃべっている暇はねぇ。急いでんだ」
加代「何だよ!こっちは心配してたって言うのに・・・何持ってんだい?」
 「人が待ってんだ・・・」
   秀はそう言うと急いで走っていく。
加代「何かあるねぇ・・・」
   加代は秀の後をつける。
○ 街中
   服を一式包んだ風呂敷を抱えて走っている秀。
   主水も偶然秀とその後を付けている加代の姿を見つける。
   そして、後をつける。

第6話『驚き・・・』
○ 弥生神社
   秀が中に入る。
   秀は原に持ってきた服を着させる。
   お互いが見詰め合う。
   まるで鏡を見ているようである。
   その様子を見ていた加代は・・・。
   驚きのあまり声が出ない。
   しかしすぐさま声を出そうとするとその口を塞ぐ手が。
   主水の手である。
   加代は慌ててその手を払う。
加代「八丁堀・・・何するんだよ」
主水「声を出して誰か着たら如何するんだ!少しは考えねえか」
加代「でも、秀さんが2人・・・」
主水「見りゃ分かる・・・
加代「どうなってんだろうねえ?」
主水「秀に聞くしかねえじゃねえか」
   主水はそう言うと中に入って行く。
   主水が現れ咄嗟に原の前に一歩出る。
 「八丁堀・・・」
主水「誰だ?分かっているだろうな・・・」
 「こいつは此処にいたくているわけじゃねえんだ」
   原は主水の姿に驚く。

第7話『過去未来』
   原は時代劇で見たことのある風景が自分の前にあることが信じられない。
   秀の髪型とは違い丁髷であり着物姿である。
   信じられないことが今起こっていることを認識する。
 「俺は未来にいたようだ」。
加代「てことは今度はこの秀さんそっくりの男が過去に来たってこと?そんなことあるわけないじゃないの」
 「俺だって信じられない・・・本当だ」
主水「で、如何するつもりだ?」
 「わからねえ」
主水「(秀の襟首をつかみ)わからねぇじゃすまねえんだ。始末するならさっさとしろ」
 「命の恩人を始末なんかできねえ」
 「何もするつもりは無い」
   原はそう言うのが精一杯だった。
加代「三味線屋に知れたら殺されるよ・・・あたしはしらないよ」
 「着たくて来たわけじゃない・・・今度は帰れることを考えねえと・・・頼む暫く見逃してくれ」
主水「甘ったるいこと考えてんじゃねえ・・・俺たちの仕事は・・・分かってんだろうな・・・秀!」
 「みんなには迷惑はかけねえ・・・」
   そこに勇次が入ってくる。
勇次「暫く秀の姿を見かけないと思ってたら・・・なんでぇ、2人になってやがる。どっちが秀だ!」
   勇次は懐に右手を入れている。
   秀は勇次の前に立つ。
 「未来の人間は未来に帰らなくちゃあいけねえんだよ!こいつは何も分かっちゃあいねえんだ。裏のことだって何にも知らねえんだ・・・あんたがやると言うんだら俺はあんたを殺す」
勇次「相変わらずあめえな・・・命取りにならねぇ様にな、巻き添えはゴメンだ」
   勇次は帰って行く。
主水「秀!こいつをちょろちょろさせるな、いいな」
   主水も帰って行く。
加代「全く偉いお荷物背負い込んで・・・御飯とか如何するつもり?運んであげるけどお高くつくよ・・・それにしてもよく似てること」
   加代も帰って行く。
 「すまない」
 「お互い様だ・・・」

第8話『未来からの訪問者』
   原が謎の男と消えてしまった。
   西條・春日部・竹本が探すことに。
竹本「原さん何処に行っちゃったんでしょう・・・まさか過去に」
春日部「そんな馬鹿なことあるわけ無いだろう?」
西條「いや、じゃああの男は何処から来たんだ?イチよ」
春日部「何処からって・・・ラガー何処からだ!」
竹本「俺に振らないで下さいよ・・・弥生神社に行ってみませんか?」
西條「そうだな・・・弥生神社に行ってみよう・・・もし俺らも消えちゃったらどうする?」
春日部「俺は嫌ですよ」
竹本「江戸時代でしたっけ?どんな所なんですかね?みんな丁髷かと思いきやあの男みたいな髪型も居たって訳でなんか凄く気になるんですよ」
西條「らっきょ、ジプシーが居るかどうか見て来い・・・電話なんか有るわけないか・・・」
竹本「ドックさん、気にはなっても行きたくなんかありませんよ」
西條「ムキニなりなさんな。ジプシーがもしあっちに行っているとなると・・・幾らあいつが冷静な奴でも戸惑っているだろうな」
○江戸時代
 「ここに居ない方がいいのではないか?君の家にいた方が安全だと思う・・・見掛けは同じなのだからどちらかが外に出ていても怪しまれない」
 「あんたを俺だと思って襲う・・・危険だ」
 「これでも一応向こうでは刑事をしている。自分の身は自分で守れる・・・こう言うのも持ち合わせている」
   原は拳銃を出す。
   秀は拳銃を見て驚く。
 「それは?」
 「拳銃と言う物だ。ここから弾が飛び出る仕掛けになっている。この時代で言うと鉄砲と同じだ。ただし火薬は使用しなくても撃つことができるようになっていて・・・」
 「この時代に無い物を使わない方がいい・・・怪しまれるだけだ・・・説明のしようがねぇ」
 「防御の仕様が無い・・・最終手段にとっておく・・・とにかくここに居ては危険だ」
 「おめえの言うとおり同時に出ない限りは安全かも知れねえ」
○昭和の時代
   弥生神社にやってくる西條・春日部・竹本。
   三方に別れて調べる。
   西條の目の前で何かが光る。
   西條の姿が消える。
○江戸時代
   どっすと言う音がする。
   身構える原と秀。
   その姿を見た原は驚く。
 「ドック・・・」
 「あんた・・・」

第9話「表と裏」
西條「よっ!・・・じゃあ戻るわ・・・何処から帰ればいいんだっけ?」
 「分かっていれば帰っていますよ」
西條「だよな・・・」
 「何であんたまで?・・・如何すんだ?」
西條「弥生神社を探索していたら・・・勝手にここに来た。俺にも(お手上げのポーズ)」
 「とにかくその服じゃあ・・・それにその頭・・・」
   加代がやって来た。
   西條に気が付く。
加代「キャアー!!」
 「俺の仲間の刑事です」
加代「仲間の刑事?って何?一体どうなってんのよ!秀さん!」
 「俺にもわかんないんだよ!ここに居ちゃあいけねえ者が2人になったってことだけは確かだ」
加代「三味線屋に分かったら今度こそ・・・あたしゃ知らないからね」
 「見栄えだけは何とかつくろっておかねえと・・・加代、服と頭にかぶる手ぬぐい用意してきてくれ。」
加代「何さ・・・人を使ってさ」
 「何でも屋だろう?ただとは言わねぇ」
加代「わかったわよぉ・・・高くつくからね」
   加代は再び衣類等の買い揃えに出て行く。
西條「どっちの服着ても良く似てるな・・・まるで一卵性の双子だ」
 「俺自身も驚いてます」
 「こいつ1人でも頭イテえのに・・・如何すんだ?命が危ねえんだぜ」
西條「何やったんだ?」
 「話すわけにはいかねぇ。俺は飾り職人だ」
西條「飾り職人なら・・・なんで命が?わからん」
 「俺の感だと表と裏が有るみたいです・・・そのうちわかります」
西條「表と裏?この時代も複雑なんだな」
   暫くして加代がおりくと一緒に戻ってくる。
加代「秀さん・・・おりくさんに捕まっちゃった」
おりく「秀さん、勇さんから話は聞いたよ。どうなってんだか話してもらおうじゃないの」

第10話「説明不可」
 「説明出来ねえ・・・」
   秀は手に持っていた枯れ木を下に投げる。
おりく「秀さんが二人いるみたいだねぇ・・・あんたは誰なんだい?」
   おりくに聞かれて原は焦る。
 「原昌之です。俺にも分かるようには説明できません」
   西條は一応分かる犯範囲で状況を説明する。
西條「原の同僚の西條昭って言います。俺も含めて当人が何が起こってこうなったのか全く理解不能の状態なんです。だから説明なんて・・・このことでこの秀と言う人を責めるのは筋違いです」
おりく「聞いているこっちが分からないないねぇ・・・このままじゃあ仕事も出来やしない。秀さんも人数に入れて仕事引き受けたって言うのに困ったねぇ」
加代「仕事の話は・・・」
   加代はおりくが仕事の話をしたことに驚く。
おりく「私の勘じゃあ大丈夫だねぇ・・・この2人は敵じゃあ無さそうだーでも困ったことになったもんだねぇ」
 「仕事はするぜ」
 「仕事って・・・」
 「あんたたちには関係のないことだ」
おりく「関係ないじゃあ済まされないよ。この原って言う人が秀さんに間違われて殺されてでもみな、後味が悪いじゃないか。相手からじゃあ秀さんにしか見えないんだ。しっかりと状況を説明しておいた方がいいと私は思うよ」
 「どう説明すればいいんだよ!闇の仕事人だと言ったところで分かるどおりがねぇ」
 「闇の仕事人?」
西條「なんかテレビで見たことがあるような・・・」
加代「テレビ??ってなんなのさ」
おりく「簡単に言えば私らの仕事は人の恨みをお金を貰い代わりにする。仕事人といってね、つまり人殺しなんだよ。誰にも知られては困る裏の仕事・・・分かったかい?」
西條「プロの殺し屋か・・・」
 「なるほど・・・」
   原は一応分かりはしたものの今自分がどう行動すべきなのか迷っている。
   秀には迷惑をかけるわけには行かない。

第11話「裏の仕事」
 「いいか、ここで俺が戻ってくるまでいるんだ。絶対に外には出るな」
 「・・・」
西條「お腹すいたら如何したらいい?」
 「戻ってくる時ににぎりでも持って来る。だからおとなしくしていてくれ」
   秀は出て行く。
西條「ジプシー、おとなしくしているのか?しているわけ無いよな」
 「いきます」
西條「あの秀って言う男に間違われたら大変だぞ・・・俺は手ぬぐい頭に巻かなきゃ・・・ここにいた方がいい気がするんだけどなぁ・・・」
 「ドックはここにいててもいいです」
西條「1人でいられるわけ無いだろう・・・行くよ」
   原と西條は秀の後を追う。
   秀はまさか後をつけられているとは思いもしていない。
   原と西條の目の前で行なわれている行為は予想をはるかに上回っていた。
西條「おいおい、殺人だよ・・・」
 「・・・」
   秀が殺す相手に激しい抵抗に遭う。
   原は思わず飛び出てしまう。
   相手は原に驚く。
   その一瞬を秀は逃さず相手を仕留める。
 「如何して来た!」
   原の咽喉に勇次の三味線の糸が巻きつけられる。
 「!!止めろ!!」
西條「ジプシー!!」

第12話「危機一髪」
   西條は思わず拳銃を取り出し三味線の糸を撃ってしまう。
   原の首の三味線の糸は切れる。
   拳銃の音にみんなが驚く
西條「ジプシー・・・」
主水「なんでぇありゃあ・・・とっとと去らねえとえらいことになるじゃねぇか・・・秀、こいつらを早く連れていけ」
 「あぁー」
 「ドック・・・(秀の方を見ながら)すまない」
   声が出ずらい。
勇次「とんでもねぇモノ持ってやがる・・・」
 「話は後だ・・・行くぞ・・・歩けるか?」
○ 弥生神社
西條「悪い・・・」
 「悪いゃねえ・・・なんでここにいなかったんだ!」
 「俺が行こうと・・・(首を抑えている)」
主水「とにかく、今頃騒ぎになっているに違いねぇ・・・俺はそっちへ行くから・・・表の仕事をしなくちゃあな。それにしてもそいつはすげえモノだな」
勇次「こっちの身が危うくなりかねねえ・・・とっとと始末した方がいいんじゃねえか」
 「始末って・・・させねえ」
   秀はかんざしを持ちながら勇次に近づく。
おりく「いい加減にしなよ!仲間割れをしている場合じゃあないだよ」
   加代が血相変え飛び込んでくる。
加代「大変だよ!誰かは知らないけど囲まれてる・・・たくさんいるよ!八丁堀・・・如何する?」
主水「何だと?!役人なら俺に任し取れ・・・(外を覗く)提灯が見えねえ・・・違うようだな。仕事人狩りか」
加代「入ってきた」
   黒い服の数人が弥生神社に次々入ってくる。
   バタバタと激しい音が聞こえる。
 「逃げろ!!あれは使うな!!」
西條「ジプシー・・・如何する・・・」
 「何とか逃げるしか・・・」

第13話「一心同体」
   原と西條が想像していた以上の状況が目の前で繰り広がれている。
西條「どうやって逃げだす?」
 「秀は・・・あの怪我はこれで・・・」
   原は急に走り出す。
西條「ジプシー!!」
   西條もあとを追う。
   秀が黒い服3人に囲まれている。
 「こっちだ!!」
   その声の方向に黒い服の男が振り向く。
   取り囲んでいる秀と声の方向の男の顔を見て驚いている。
   数人のうちの1人が原の方に歩み寄る。
 「どうして!・・・」
   原は拳銃を取り出す。
   そして天井に向けて引き金を引く。
   その音に黒い服の男たちは驚く。
 「今のうちに逃げろ!秀!!」
   ひとりの黒い服の男が原を襲おうとしている。
   西條もやっと原に追いつく。
   秀が原の前に飛び出し男を抑える。
   その時突然光が・・・。
西條「ジプシー!あの光・・・もしかしたら」
 「戻れるかも知れない・・・早く!行け!ありがとう」
 「死ぬな・・・」
   原と西條はその光の方に体を倒す。

第14話「瓜二つの男」
   原と西條の体は弥生神社に。
   弥生神社内を探していた春日部・竹本両刑事の前に突然現れた。
   春日部・竹本両刑事は驚き尻餅をつく。
西條「ただいま」
春日部「ドックにジプシー・・・お帰り」
竹本「お帰りなさい、良かったですね。このまま帰ってこないんじゃないかって心配してたんですよ」
  原は秀のことが心配である。
西條「ジプシー、あいつは大丈夫だって」
春日部「あいつって・・・あのジプシーと同じ顔の男のことか・・・本来の自分の時代に戻ってんだ。心配なんか要らないんじゃないか」
 「襲われていたんだ・・・」
竹本「襲われて?」
西條「詳しいことは署に帰ってから話す。ジプシー行こう」
   西條は原の肩をたたく。
○ 七曲署第一係
   藤堂のデスクの前にいる原と西條。
西條「ご心配をお掛けしました」
 「申し訳ありませんでした」
藤堂「秀と言う男は?」
西條「江戸時代に無事に戻っています」
 「無事かどうか・・・」
西條「実はあの男は表の仕事は飾り職人なんですが裏の仕事があり・・・他に仲間がおり仕事人。つまりお金をもらい人を殺す・・・今で言う殺し屋だったんです」
井川「仕事人?そんな時代劇が確かやっていたなぁ」
山村「ジプシー無事かどうかっと言うのは?」
 「仕事人狩りに襲われていた最中に俺たちは・・・」
藤堂「心配した所でどうなるわけでもないだろう・・・ジプシーに似ている男だ。そうは簡単には死なないはずだ。叉いつか出会えるかも知れん」
西條「俺はもう江戸なんか御免だ」
山村「ありえない体験をし兄弟のような男がいた・・・ジプシーにとってはいい体験をしたんじゃないのか?」
 「山さん・・・」
藤堂「ところでジプシー病院から治療費と入院費の請求がきている。これは誰が払う?まさか秀と言う男に払わせるわけにもいかんだろう・・・一両小判を出されても困る」
 「それは・・・」
藤堂「病院側はお前さんだと思って請求がきている・・・つまり支払いはジプシーだ」
 「ボス・・・」



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