オリジナルBL小説
橘 つぐみのデーモンの館の挿絵(加賀見 今日子画)です。
スタジオシーホースより販売しているので
興味のある方は購入してください(^^)
お試し読み♪
実際は縦書きになってます。
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デーモンの館 【三井君の場合】 橘 つぐみ
場所は私立ほくりょう北菱学園高等部、実験準備室。
「失礼します」
かけ声と共に準備室のドアに軽いノック音。
「どうぞ」
部屋の主であるまさき真咲 きょうや響也はコーヒー片手にドアへと目をやった。
ドアが開き、ノートの束を抱えて生徒が一人、部屋に入ってきた。
「3組のノート、全員提出です」
30人分のノートを真咲の机に置いて、少しウエーブのかかった髪の隙間から端正な顔立ちの少年の瞳はその部屋の主をちょっと睨んだ。
長いまつげが少年のガラス玉みたいな瞳を美しく縁取っている。
眉をいくら吊り上げてみても、その顔はこわもて強面には程遠い。
むしろ潤む瞳が髪の隙間から物憂げに、哀願するように見えた。
部屋の主は、黒ぶちの眼鏡をかけ、白衣がトレードマークの理科の教師。
彼が準備室を自分の部屋のように私物化して占有している事から、生徒達はこの理科準備室を『デーモンの館』と呼んでいた。
でもなぜ、『デーモン』と呼ばれているのか、多くの生徒はその理由を知らない。
知っているのは、部屋の主であるデーモンこと、真咲 響也の実態を知っている人間だけだ。
「ありがとう、三井君。今すぐにチェックしちゃうから待っててくれるかな?」
にこやかな笑みを浮かべ、ノートを開く真咲に向けられた三井の目は彼を睨んだままだ。
「先生、僕が日直の時に限ってノート提出させるのやめてもらえませんか?貴重な昼休み、いっつも僕だけ潰されてるんですけど・・」
みつい三井 ひかる光は2年生。身長174cmで細身の彼は、色白で髪も瞳も色素が薄く、ぱっと見は外人のように見えた。
「いいじゃない、俺が三井君とここで話がしたいんだから・・その埋め合わせに俺のおごりでどこでも連れて行ってあげるよ?」
全く悪びれる風も無い真咲に、三井の視線は更に鋭くなる。
「結構です。僕、昼休みは皆で野球やってるんですよね・・早くしてくださいよ」
校庭から聞こえてくるノックの音に、三井は苛立ちを隠せない。
「元気だよね、この暑い中野球なんて・・」
季節は6月の梅雨真っ只中、温暖化の影響もあってか気温は28度。
梅雨の合間に珍しく晴れたその日は、久々に野球ができる貴重な昼休みだった。
明日からはまた雲行きが怪しいらしい。
いらつく三井の態度に、かえって真咲はうれしそうに相変わらずのんびりとした動作でノートをチェックしている。
「彼とはまだ続いてるの?」
真咲はノートに目を向けたまま、一番聞きたかったらしい言葉を口にした。
「もちろん、続いてますよ」
三井は、即答。
彼、とは同じクラスのくろと黒戸 まもる護の事だ。
『続いているか』とは三井との交際が、である。
真咲がデーモンと言われるゆえん所以は、彼が在校生で気に入った生徒を見つけると、たとえ最初はその気の無い相手でも、最終的には『モノにして食ってしまう』から、らしい。
そして、理科準備室はそんな真咲と生徒が『やる』のに格好のスペースであったらしく、いつからか真咲はデーモンと呼ばれこの部屋はデーモンの館と呼ばれるに至ったらしい。
・・・らしい、というのは正式にその呼び名をつけた人物に聞いたわけではなく、三井が真咲の人間性と行動から推測したものだからであって、実際のところは分からないからだ。
でも、そんなところだろうと三井は踏んでいる。
「彼氏に内緒で俺と付き合わない?」
真咲のセリフに、三井はますます眉をきりり、と吊り上げる。
「付き合いません!いいんですか?先生がそんな事言ってて・・」
「彼氏、1年から人気あるよ。もしかしたら浮気してるかもよ?だから、おあいこでいいじゃない」
「え・・・それ、本当ですか?」
三井の顔が、驚きに変わる。
「ホント。黒戸君が廊下歩いてるだけで、騒いでる1年がいてさ。俺、仲良くなったから付き合ってる相手がいるらしいよって教えてあげたんだ。」
驚く三井を見て、真咲はうれしそうに続ける。
「もちろん男で、って言ったら喜んでたよ、じゃあ脈があるかもしれないって。カワイイ子でさ・・あ、三井君のほうがかわいいけどね?」
途中から真咲の言葉は三井の耳に入っていなかった。
護の奴、1年から人気あるんだ・・。
つい考え込んだ隙に、真咲の手が腕をつかんでいた。
「腹いせに浮気するならいつでも相手になってあげるよ?」
椅子から立ち上がって、耳元に顔を近付けて囁く真咲に、三井はつかまれていない方の手で待ったをかける。
「先生、セクハラで訴えますよ?僕はその気ありませんから!」
「浮気されてても?」
「黒戸は浮気なんてしませんよ!ひょっとして先生、わざとけしかけてるんじゃないんですか?」
再び睨みつける三井に真咲は満面の笑み。
「やだなあ、俺はそんな事はしないよ。もし黒戸君が浮気したら面白いなあとは思ってるけど」
抱きついてくる真咲に三井は体をすくめる。
「ちょっと・・先生!殴りますよ!」
「うそうそ、そう言いながら三井君てば優しいからそんな事できないくせに」
全く、このセクハラ教師!心で叫びつつも一応先生だと言う頭があるから、やっぱり殴るわけにもいかず三井は真咲の胸を両手で突っぱねて抵抗するのが精一杯。
確信犯だからたちが悪いったら・・。
そんな三井の額に自分の額を押し付けて、真咲はキスしようと唇を伸ばす。
真咲の方が腕も太いし、胸板も厚い。
筋力の差は歴然だった。
(挿絵が入ってます)
「その気は無いってば!」
首をすくめて逃げる三井に、真咲はそれ以上しつこくする事は無く、ぱっと離れる。
三井も、真咲が本当に嫌がる事はしない事を分かっているから、多少のことは大目に見ている部分がある。
「全く・・そうやって何人モノにしてきたんです?」
「誰でもいいみたいな言い方はやめて欲しいなあ、俺はいつでも本気なんだから・・」
三井はそんな真咲のつぶやきに視線をそらす。
彼氏がいるって言ってもこれなんだから・・いないなんて言ったら猛烈なアタックをされるのに違いない。
「はい、ノートオッケーだよ」
真咲がノートの束をたたく。
ノートを取ろうと伸ばす三井の手を、真咲はしっかり握り締めて
「浮気の相談なら遠慮いらないからね」
つぶやく。
「浮気してたとしても先生には相談しませんから!」
三井は真咲の手を振り払ってノートを抱えると、理科準備室を後にした。
廊下を足早に歩きながら、深くため息。
まだあと1年半もあの人と付き合わなきゃいけないなんて・・。
日直のたびにセクハラ行為ではたまらない。しかも、だんだんやる事がエスカレートしてる気がするし・・。
このままだといつかキスくらいはされてしまうかもしれない。
三井はそんな思いを振り払うかのように廊下を駆け出す。
いや、そんな弱気になってちゃダメだ!そこは断固拒絶しないと!
まだ、野球には参加できそうだ。
教室にノートの束を置いて、その足でグラウンドへ向かう。
仲間の声が響くグラウンドを目の前に、下駄箱には数人の1年の姿があった。
その視線の先には仲間の野球をする姿がはっきり見て取れた。
真咲先生の言っていた、『黒戸のファン』かもしれない。
三井はその1年の顔をちらっと覗き込んでみた。
1年も、駆けて来た三井を見ている。
目が合って気まずかったからすぐに三井は目をそらした。
一瞬だったから、顔はよく分からないまま。
靴を下駄箱から出してはいていたら1年の一人が声をかけてきた。
「あなたが、黒戸先輩と付き合っている人ですよね?」
三井は声の主を見返す。
視線の先には見覚えのある顔。
『サンタナ』だ!
~~~~~~~~~~~~
先生と生徒のミックスです。
イラストは先生です。
つぐみはこの真咲先生をシリーズで書いてます。
DIVE FOR YOUも真咲の私生活で
彼がノーマルだったのに初めてBL世界に入ってしまった物語(笑)
デーモンになるのはもっと後。
購入は楽天オークションで「橘 つぐみ」で検索してもらうか
(カード・振込み対応)
現金書留で、
本代550円+送料160円と、購入希望の本のタイトルを記入し
〒309-1701
茨城県笠間市小原4426-3
スタジオスーホースあて
で送ってください(^^)
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場所は私立ほくりょう北菱学園高等部、実験準備室。
「失礼します」
かけ声と共に準備室のドアに軽いノック音。
「どうぞ」
部屋の主であるまさき真咲 きょうや響也はコーヒー片手にドアへと目をやった。
ドアが開き、ノートの束を抱えて生徒が一人、部屋に入ってきた。
「3組のノート、全員提出です」
30人分のノートを真咲の机に置いて、少しウエーブのかかった髪の隙間から端正な顔立ちの少年の瞳はその部屋の主をちょっと睨んだ。
長いまつげが少年のガラス玉みたいな瞳を美しく縁取っている。
眉をいくら吊り上げてみても、その顔はこわもて強面には程遠い。
むしろ潤む瞳が髪の隙間から物憂げに、哀願するように見えた。
部屋の主は、黒ぶちの眼鏡をかけ、白衣がトレードマークの理科の教師。
彼が準備室を自分の部屋のように私物化して占有している事から、生徒達はこの理科準備室を『デーモンの館』と呼んでいた。
でもなぜ、『デーモン』と呼ばれているのか、多くの生徒はその理由を知らない。
知っているのは、部屋の主であるデーモンこと、真咲 響也の実態を知っている人間だけだ。
「ありがとう、三井君。今すぐにチェックしちゃうから待っててくれるかな?」
にこやかな笑みを浮かべ、ノートを開く真咲に向けられた三井の目は彼を睨んだままだ。
「先生、僕が日直の時に限ってノート提出させるのやめてもらえませんか?貴重な昼休み、いっつも僕だけ潰されてるんですけど・・」
みつい三井 ひかる光は2年生。身長174cmで細身の彼は、色白で髪も瞳も色素が薄く、ぱっと見は外人のように見えた。
「いいじゃない、俺が三井君とここで話がしたいんだから・・その埋め合わせに俺のおごりでどこでも連れて行ってあげるよ?」
全く悪びれる風も無い真咲に、三井の視線は更に鋭くなる。
「結構です。僕、昼休みは皆で野球やってるんですよね・・早くしてくださいよ」
校庭から聞こえてくるノックの音に、三井は苛立ちを隠せない。
「元気だよね、この暑い中野球なんて・・」
季節は6月の梅雨真っ只中、温暖化の影響もあってか気温は28度。
梅雨の合間に珍しく晴れたその日は、久々に野球ができる貴重な昼休みだった。
明日からはまた雲行きが怪しいらしい。
いらつく三井の態度に、かえって真咲はうれしそうに相変わらずのんびりとした動作でノートをチェックしている。
「彼とはまだ続いてるの?」
真咲はノートに目を向けたまま、一番聞きたかったらしい言葉を口にした。
「もちろん、続いてますよ」
三井は、即答。
彼、とは同じクラスのくろと黒戸 まもる護の事だ。
『続いているか』とは三井との交際が、である。
真咲がデーモンと言われるゆえん所以は、彼が在校生で気に入った生徒を見つけると、たとえ最初はその気の無い相手でも、最終的には『モノにして食ってしまう』から、らしい。
そして、理科準備室はそんな真咲と生徒が『やる』のに格好のスペースであったらしく、いつからか真咲はデーモンと呼ばれこの部屋はデーモンの館と呼ばれるに至ったらしい。
・・・らしい、というのは正式にその呼び名をつけた人物に聞いたわけではなく、三井が真咲の人間性と行動から推測したものだからであって、実際のところは分からないからだ。
でも、そんなところだろうと三井は踏んでいる。
「彼氏に内緒で俺と付き合わない?」
真咲のセリフに、三井はますます眉をきりり、と吊り上げる。
「付き合いません!いいんですか?先生がそんな事言ってて・・」
「彼氏、1年から人気あるよ。もしかしたら浮気してるかもよ?だから、おあいこでいいじゃない」
「え・・・それ、本当ですか?」
三井の顔が、驚きに変わる。
「ホント。黒戸君が廊下歩いてるだけで、騒いでる1年がいてさ。俺、仲良くなったから付き合ってる相手がいるらしいよって教えてあげたんだ。」
驚く三井を見て、真咲はうれしそうに続ける。
「もちろん男で、って言ったら喜んでたよ、じゃあ脈があるかもしれないって。カワイイ子でさ・・あ、三井君のほうがかわいいけどね?」
途中から真咲の言葉は三井の耳に入っていなかった。
護の奴、1年から人気あるんだ・・。
つい考え込んだ隙に、真咲の手が腕をつかんでいた。
「腹いせに浮気するならいつでも相手になってあげるよ?」
椅子から立ち上がって、耳元に顔を近付けて囁く真咲に、三井はつかまれていない方の手で待ったをかける。
「先生、セクハラで訴えますよ?僕はその気ありませんから!」
「浮気されてても?」
「黒戸は浮気なんてしませんよ!ひょっとして先生、わざとけしかけてるんじゃないんですか?」
再び睨みつける三井に真咲は満面の笑み。
「やだなあ、俺はそんな事はしないよ。もし黒戸君が浮気したら面白いなあとは思ってるけど」
抱きついてくる真咲に三井は体をすくめる。
「ちょっと・・先生!殴りますよ!」
「うそうそ、そう言いながら三井君てば優しいからそんな事できないくせに」
全く、このセクハラ教師!心で叫びつつも一応先生だと言う頭があるから、やっぱり殴るわけにもいかず三井は真咲の胸を両手で突っぱねて抵抗するのが精一杯。
確信犯だからたちが悪いったら・・。
そんな三井の額に自分の額を押し付けて、真咲はキスしようと唇を伸ばす。
真咲の方が腕も太いし、胸板も厚い。
筋力の差は歴然だった。
(挿絵が入ってます)
「その気は無いってば!」
首をすくめて逃げる三井に、真咲はそれ以上しつこくする事は無く、ぱっと離れる。
三井も、真咲が本当に嫌がる事はしない事を分かっているから、多少のことは大目に見ている部分がある。
「全く・・そうやって何人モノにしてきたんです?」
「誰でもいいみたいな言い方はやめて欲しいなあ、俺はいつでも本気なんだから・・」
三井はそんな真咲のつぶやきに視線をそらす。
彼氏がいるって言ってもこれなんだから・・いないなんて言ったら猛烈なアタックをされるのに違いない。
「はい、ノートオッケーだよ」
真咲がノートの束をたたく。
ノートを取ろうと伸ばす三井の手を、真咲はしっかり握り締めて
「浮気の相談なら遠慮いらないからね」
つぶやく。
「浮気してたとしても先生には相談しませんから!」
三井は真咲の手を振り払ってノートを抱えると、理科準備室を後にした。
廊下を足早に歩きながら、深くため息。
まだあと1年半もあの人と付き合わなきゃいけないなんて・・。
日直のたびにセクハラ行為ではたまらない。しかも、だんだんやる事がエスカレートしてる気がするし・・。
このままだといつかキスくらいはされてしまうかもしれない。
三井はそんな思いを振り払うかのように廊下を駆け出す。
いや、そんな弱気になってちゃダメだ!そこは断固拒絶しないと!
まだ、野球には参加できそうだ。
教室にノートの束を置いて、その足でグラウンドへ向かう。
仲間の声が響くグラウンドを目の前に、下駄箱には数人の1年の姿があった。
その視線の先には仲間の野球をする姿がはっきり見て取れた。
真咲先生の言っていた、『黒戸のファン』かもしれない。
三井はその1年の顔をちらっと覗き込んでみた。
1年も、駆けて来た三井を見ている。
目が合って気まずかったからすぐに三井は目をそらした。
一瞬だったから、顔はよく分からないまま。
靴を下駄箱から出してはいていたら1年の一人が声をかけてきた。
「あなたが、黒戸先輩と付き合っている人ですよね?」
三井は声の主を見返す。
視線の先には見覚えのある顔。
『サンタナ』だ!
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先生と生徒のミックスです。
イラストは先生です。
つぐみはこの真咲先生をシリーズで書いてます。
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