その日、ディ・ロイは暇つぶしに無断で現世に降りて来ていた。
「あ”-、つまんね~何か面白い事無いかなー。」
ロイは空中をふよふよ漂いながら呟いていた。
無断で現世へ降りている事がバレれば特に藍染様からお叱りがあるだろうがロイはそんな事は全く気にした様子は無い。
終いにただ漂っているのも飽きて地上に降りて歩き出した。
そのまま宛ても無く歩き続け、気付けば河原へと辿り着いた。
そのまま暫くぼーっと眺めていると、突如下からくいくいと引っ張られて足元を見た。
そこに、小さな子供がロイを見上げていた。
「あ”?何だ…?ガキの魂魄かよ。」
「ねぇ、おにいちゃんなにしてるの?」
「お前こそ何してんだ?こんな所で。」
「おにいちゃんおなまえなんてーの?おれはね、いちごっていうの!…母ちゃん探してるの…でも、見つからなくて…。」
いちごは、ぐすぐすと泣きながらロイの足にしがみ付いた。
「そっか、いちごの母ちゃんはどんな人なんだ?」
ロイは暇つぶしにいちごの話しを聞いてやる事に決めた。
「んーっとねぇ、すっごーくキレイでやさしいの。でも、おこるとコワイ…。でも、あのひぼくといっしょにくるまにはねられてちかくにへんなばけものがいた…。」
いちごは最初は嬉しそうに話していたが、だんだん俯いてしまった。
「そっか…。」
恐らく、下級虚に喰われたんだなとロイは思案した。
「ねえ、おにいちゃんはいつまでココにいられるの?」
「あー、そろそろ帰らなきゃヤバイな~。」
「いっちゃうの…?」
いちごは寂しそうに、ロイを見上げた。
「いちご、…一緒に来るか?」
余りにも寂しそうにするいちごに、ロイは絆され例え藍染様に怒られようが構うかといちごに聞いた。
「いいの?」
「ああ。いちごには酷だけど、多分母ちゃんはもう居ない。…その代わり、俺がずーっと一緒に居てやるよ!」
いちごの頭をなでながら言った。
「ほんと?じゃあいく!ずーっとロイと一緒!」
ロイはじゃあ行くかと、虚圏への空間を裂きいちごを連れて帰った。
虚圏へ帰るときっと騒動が待ち受けるだろうと予想しながらーーー。
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