苺の楽園

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藍X一

2006-11-02 11:50:54 | 強奪モノ

二万打記念でフリー小説となってたので、速攻で頂いて来ちゃいました。
「罪人恋歌」…日一前提のシリアス藍一




罪 人 恋 歌






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 縋るように伸ばされた手を掬い、唇に寄せる。色は白く、当初より随分と痩せてしまった手は骨が目立っている。嵌めた手枷もじきにすんなりと外れてしまうかもしれない。そんなことを思いながら藍染は膝を折って足元の少年を抱き起こした。
「私を呼んでいたそうだけれど」
「ぁ、ぃぜ……」
「何かな?」
「だ、して」
「やれやれ。またそれかい? もう何十年とこの場所で暮らしているというのになぜ慣れないのかな」
「かぇ……た、ぃ」
「どこへ? どこへ帰ると言うんだい? キミが大切にしていた仲間たちはすでに死んでしまっているというのに。――覚えているだろう? あのとき、私が、殺したのを」
 目の前で。一瞬にして。
「朽木ルキアも、阿散井恋次も」
「ゃ、め」
「石田雨竜も、茶度泰寅も」
 続く声に、もうそれ以上は聞きたくないと耳を塞ごうとした一護の腕を、藍染が掴む。カチャリと鎖が音を立てて揺れ、耳元に、吐息のような小さな声が。
「日番谷冬獅郎も」
「っ、――!」
 喉が裂けるほどの悲鳴を上げたはずなのに、すでに嗄れてしまった声は何も響かせることはなく。一護は細く痩せた肩をぶるぶると震わせて蹲った。頭の中に蘇ってくる光景。忘れようと必死で蓋をしたはずの記憶。
 赤い色が目の前を覆った瞬間、刻まれて、塵のように吹き飛んだ、恋人。伸ばした手は届かぬどころか触れることさえなく跡形もなしに消えた。
「一護」
 優しい声音で名を呼ばれ、赤ん坊のように抱き上げられる。
「ああ、どうかそんなに泣かないでおくれ。キミを悲しませるつもりなどなかった。けれどね、キミにはもう帰る場所などないんだよ。分かるね?」 
 虚ろな目で遠くを見ている一護に、子供に言い聞かせるように言う。後から後から止め処なく零れる涙を拭い、藍染は明るい色の髪を撫でた。
「なに、寂しくはないさ。ここには私がいる。私はキミをずっと愛しているからね。――百年でも、千年でも」





20061102
ニ万打達成記念。皆さまありがとうございます!
日一前提の藍一……暗いですよねスミマセン。
お持ち帰り・転載、ご自由にどうぞ^^


photo by SANCTUS





きゃー!日一前提藍一、良いですでね~!
あう、今週末も予定ビッシリで又小説書けななそうだし・・・。
ウガー!!!!!



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