埼玉県川口市いじめ撲滅情報

埼玉県川口市の学校におけるいじめ撲滅のための情報発信

2000年事件の判決が、再び悲劇を生んだのでは

2007年09月18日 22時33分55秒 | Weblog
 7年前の2000年7月26日、川口市立芝中学校(関根昇校長、今村芳夫教頭=当時)の1年生大野悟君(13)が、自宅で首つり自殺していた。大野君の家族によると、自殺前日の25日、自宅の電話近くにあったメモ帳に、自分の名前と「HELP」という文字が書かれていた。大野君は入学直後から、休憩時間に教室内で同級生からたびたび殴られたり、学生服のズボンを隠されたりしていた。また、生徒手帳や眼鏡を取り上げられることもあった。机にのりが塗られるなどのいじめに、担任教諭が気付かなかったはずはなかろう。担任教諭は、適切な対応を取らなかったのである。
 自殺の翌日の7月27日、川口市教育委員会(教育長:相上興信)は、埼玉県教育局に報告したが、そこではいじめの有無については報告していなかった。ここに、川口市教育委員会の隠蔽体質が明確に示されていた。
 8月2日、関根昇校長と担任教諭らは、いじめていた同級生数人を伴って生徒の自宅を訪ね、家族に対して謝罪した(『読売新聞』2000年8月2日付朝刊)。だが、提出されたいじめの実態調査結果の報告書では、いじめの内容の記載はたった75文字だった。ようやくこの日、川口市教委は、「自殺の原因にはいじめ等が考えられる」と認め、教委内に「緊急いじめ対策委員会」を設置した。
 大野君の遺族は、「自殺は学校でのいじめが原因だった」として、川口市と同級生9人の保護者計17人を相手どり、約1億3400万円の支払いを求める損害賠償請求訴訟を起こした。だが、2005年5月18日、さいたま地裁の広田民生裁判長は、「いじめは、生徒間の悪ふざけにとどまるもので、自殺との因果関係は認められない」などとして請求を棄却した。いったい、この広田という裁判長は何を考えていたのだろうか。この判決が、川口市の教育関係者の徹底した反省を妨げる結果になった。それが、今回の悲劇を引き起こしたのではないか。