(@DIME)
■Introduction
ハイエンドの証と言えば、アルミ合金削り出しのボディである。トップパネル以外にネジや継ぎ目がなく、アルミブロックをくり抜いて作る贅沢なボディ。Jeff Rowland DesignやWadiaが始めたこの手法はバブル崩壊後、見なくなったが、最近はNC旋盤加工のコストも下がってきたらしく、アルミ削り出しのDACもちらほら現れていた。しかし、5万円以下の製品でアルミ削り出しというのは聞いたことがない。そこにDeff Sound『DDA-DAC1U』直販価格3万5000円(送料込)というハイコスパなUSB/DAC内蔵ヘッドフォンアンプが発売された。アルミ削り出しのボディにアルミ製の大型ボリューム、そして軸受けにはボールベアリングを使い極上の使い心地を実現している。
Deff Soundというのが聞いたことのないオーディオメーカーだが、DeffとはDesign evolution for the future.に由来するというカッコイイ、デザインの製品を生み出すメーカーで、今まではiPhoneのアルミ削り出しバンパーとか、カメラのレザーハーフケースとかアルミ削り出しグリップとか、ストラップなどを製品化している。それに加えてサウンドアクセサリーも作っているのだ。今回のUSB/DAC&ヘッドフォンアンプは初めてのDACと言うことで、オーソドックスな設計にこだわり、PCM/24bit/96kHz、DSD/64までの対応となっている。どんな音を聴かせてくれるのか楽しみだ。
■Design
サイズは幅110×高さ35×奥行き108mm、約350gとデスクトップサイズというか、パッシブ型のアッテネータサイズである。ボディはサイドがサンドブラスト、トップパネルエアジョーダンレブロン12ヘアライン仕上げだ。ボトムパネル以外にネジは見えず、非常に美しい仕上げになっている。ボリュームの動きもなめらか、個人的にはもう少し抵抗感があった方がいいが。
カラーリングやデザインはApple製品を思わせる。Mac環境の拙宅にピッタリ。デスクトップサイズで置き場所を選ばない。本体が軽いためあまり重量級のケーブルを使うと不安定になる
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トップパネルには細かい文字が彫り込まれ、マニアココロをくすぐる仕組みになっている
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リアパネルにはRCA同軸のライン出力、5VのDC入力、USB/Bデジタル入力、そしてデジタル他光入力と光出力を備える。本機はバスパワー駆動なので、ACアダプターを接続する必要はない
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フロントには標準ヘッドフォンジャック、ミニヘッドフォンジャック、入出力切り替え、そしてスマホからのライン入力がある。右端のインジケーターはバスパワー入力があると点灯する
■Performance
SHURE『SRH840』を接続して再生する。その音は上品で刺激がない。音数で勝負するタイプではなく、必要な音をしっかり聴かせてくれる。例えば藤田恵美「ココロの食卓 ~おかえり愛しき詩たち~/アザミ嬢のララバイ」(24bit/96kHz)ではハイレゾらしいギターの繊細な音色にピアノが加わり、ベースの厚みのある音に続いて、温かみのあるボーカルが歌いかける。そこに尖った音はなく、調和のとれた音楽の世界がある。Holly Cole「Night/Good Time Charlie-s Got the Blues」(DSD64)ではDSDらしいアナログライクな音が再生された。iPod touchに接続してヘッドフォンで聴く。本体再生に比べてS/Nがいい。低音の量感も出る。音の粒立ちが良くなり、広がり感も増える。透明感があって澄んだ音だ。ライン出力からリファレンスシステムに接続してApogee『Duetta Signature』を鳴らす。そのボーカルは透明感があって温かい、本機にはフロア型より、デスクトップサイズの小型スピーカーが似合いそうな印象を受けた。
ライン出力のあるスマホなどを接続すれば、手軽に音質向上が実現する。
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■研究結果
Deff Sound『DDA-DAC1U』はクールなデザインでウォームな音を聴かせてくれるコンパクトなDAC内蔵ヘッドフォンアンプである。デスクトップに置いてUSB/DACとしても使える。アクティブスピーカーなどを組み合わせればミニマムシステムを構築できる。バスパワーでは満足できない人は良質なDC5Vを用意すれば、DC駆動もできる。私もモバイル用バッテリーでDC5Vを供給して信号専用USBケーブルで接続してみたが、確かに音色の変化があった。本機はアルミ削り出しという特徴を踏まえると極めてハイコスパなDAC内蔵ヘッドフォンアンプであり、ドンシャリや耳に刺さる音が苦手な人にピッタリのモデルといえる。
●『DDA-DAC1U』の音は耳にやさしい
●『DDA-DAC1U』は道具としての満足度も高い
●『DDA-DAC1U』はアナログとデジタル入力対応
●『DDA-DAC1U』のボリュームはライン出力には使えない
(文/ゴン川野)
オーディオ生活40年、SONY『スカイセンサー5500』で音に目覚め、長岡式スピーカーの自作に励む。高校時代に150Lのバスレフスピーカーを自作。その後、「FMレコパル」と「サウンドレコパル」で執筆後、本誌ライターに。バブル期の収入は全てオーディオに注ぎ込んだ。PC Audio Labもよろしく!