将棋関係の著作権など

棋譜の著作物、詰将棋の著作物など調べました

駒の知的財産権 途中経過

2011-02-05 | 日記
駒の現時点での考え方をまとめました。意匠権、著作権、特許権、知的所有権など。

茨城県知的所有権センター 特許情報活用支援アドバイザーに問い合わせました。なお、一部、私見であることをご承知置きください。

駒彫りに到る各段階における知的財産権の有無を整理してみました。

1.書「書」は美的表現物であり、著作者は著作権を有します。 例えば、開雲書の場合、プロ棋士である石橋幸緒女流四段が著作者です。知的所有権(知的財産権)の一部である著作権に該当します。したがって、著作権の保護されている駒の作者(中原書、大山書、谷川書ほか)の「書」は著作物です。

一般の書体(錦旗、水無瀬、巻菱湖、清安など)で「書」の著作権保護の期間の50年が経過して消滅した駒は著作物性はありません。現存する駒師(掬水師、秀峰師、月山師、大竹竹風師ほか)が「豊島字母帳」を手本にして字母紙を写したものは著作物に入りません。豊島龍山は死後70年を経過しているためだからです。

書道というジャンルがあり、これに属するため美術の著作物になります(三山祐三弁護士)。「書」のみ知的所有権(著作権)で保護されます。

著作権の関係で制作できない駒もあります。なお、著作権情報センターでは「書」は著作物とは言えないという見解でした。また、実用品で観賞するためのものの「書」なので著作物とは言えません。

2.字母紙「字母紙」は「書」を紙に転写したものであり、今までにない創作的な編集をしないかぎりは、編集著作物とも認められません。当然に、製作に当たっては、「書」の著作権者に使用許諾を求める必要があります。ちなみに、字母紙の製作方法あるいはそれ自体に、従来にない技術的特徴を有する場合は、特許の対象と成り得ます。また、タイプフェイスと同様に意匠登録性は低いと思われます。したがって、現行法下では、デッドコピー行為など一定の場合に、不正競争防止法により権利主張の可能性があるとともに、「書」の著作権を主張できるものと考えられます。

字母紙自体には著作物性で保護されません。

3.駒「駒」は実用品と考えられ、その形状、模様などが、従来品と比べて容易に創作できないと認められれば意匠登録されます。しかし、多くの類似品が出回っている現状から、登録性は低いものと思われます。なお、一部の美術的に鑑賞することに主目的があるものについては、美術工芸品として著作権が付与され得ます。

一般に駒は実用品に当たり著作物ではありません。なお、観賞用に属する駒でたとえば、大竹竹風師が所有するいくら大金を積まれても譲れない家宝といえる門外不出の駒が著作物になります。一方、指すのに適しない書体(長禄、三田玉枝、坂田好ほか)は著作物になりません。

これが現段階の私の考えです。意匠権は認められる可能性は少ない。

茨城県知的所有権センター 特許情報活用支援アドバイザー様に厚く御礼申し上げます。