始末屋として仕事に復帰した二日後、
次の仕事の話がきた。
ヤクザの捕縛だ。
ヤクザといっても、
無論この世の実世界におけるヤクザではない。
別世界における組織のことだ。
ここでヤクザという言葉を使うのは、
この世のヤクザと実態がとても似ていて、
これ以上合うような言葉がないからだが、
完全に同じかといえばそうでもない。
話は師匠がもってきた。
例によって用件を短く伝えるだけで、
詳しい事情は説明しない。
あちらの世界におけるヤクザ組織のひとつが、
ある計画を立てていたらしい。
かなり巧妙な仕掛けを用意しておいて、
相当数のこの世の人命を奪って収奪しようという、
大胆な企みだったらしい。
しかし、その計画は実行前に白日に晒された。
所轄がその動きを事前に察知し、
巧妙かつ大胆な仕掛けを潰したとのことだ。
そして所轄は、ヤクザ組織の頭領や幹部に対して、
ごく当然の成り行きとして、逮捕状を出した。
問題はここからだ。
所轄が逮捕できないでいるのだ。
異世界における、そのヤクザに相当する組織が、
強力な戦闘能力を有しており、
所轄が組織の本部に直接的に実行力を行使できず、
事実上、いまだ野放しになっている状態らしい。
私に話がきた仕事とは、
その、強力なヤクザ組織の本部に立て籠もっている、
頭領や幹部たちを逮捕することだ。
おとといの動物狩りよりも楽しそうだ。
私は無表情のまま口元を緩ませた。