岸辺の白鳥
初冬の日 私は手賀沼のほとりに一人たたずんでいた
平安の時喜びの時が湖をつつみ拡がっていた
光がさんさんと水の表に輝き 木立の間に波のきらめきが
キラキラ光っている
静かな時が湖畔の岸辺に陽光を浴びてゆらゆらと
漂っていた
人々は絵のように自然の中に溶け込んでいる
そこに白鳥が2つ並べて置かれていた
初めて見る時 それは白い化石に似ていた
二つの白い彫刻が並んでおいてあった
近づいて見ると繊細に作られた素晴らしい造形である
目は生きているように閉じられ 首は柔らかな羽毛の中に
横たわっていた
ああなんと美しい とても人が作ったものとは思えない
私が近づくと二匹の白鳥はむっくりと起き上がった
白い衣に身を包み白鳥が目を覚ましたのだ
静かな夢の中の平安を邪魔されたかのように
白鳥は神が創られた優美な姿そのままに
美しい容姿を現した
私は思わずこの白鳥の姿に驚きあわてた
白鳥は微笑むかのように私を見た
遠く知らないどこかの世界から来たのであろう
天使のような優雅で清らかな姿そのままで
岸辺に羽を休めて 陽光を浴びている
愛らしい幼子がやさしい御手に抱かれているかのように