懐疑的な人の特徴・心理・対処法
世の中には何でも疑ってかかる人がいますね。
そうした懐疑的な人と話をすると、自分が話したことがすべて疑われたり、否定されたりするので嫌な気分になる人も多いでしょう。
懐疑的な人はなぜ人を疑ってばかりなのでしょうか?
今回は懐疑的な人についてその特徴や心理、対処法を考えてみたいと思います。
懐疑的とは
「懐疑的」という言葉は、ある物事や概念などについて疑いを持っている、疑問を持っている様子のことを言います。
「懐疑的な人」というのは疑り深く、人の言ったことや考えについて素直に信用することができない人のことです。
「懐疑的」に似ている言葉には次のような言葉もあります。
- 半信半疑…完全に信じられずに、疑いが残っている状態
- 不信感…信じることができない感じをいだくこと
- 疑惑…本当かどうか信用できないこと
- 否定的…物事の存在や価値について、はっきりと異議を唱えること
上記のなかでは、否定的ははっきりと否定しているので懐疑的とは違う意味になりますが、それ以外は疑いが残っているという点でほとんど同じ意味と考えていいでしょう。
しかし「懐疑的な人」に近い意味は上記の言葉のなかでは、「不信感をいだきやすい人」「否定的な人」になるでしょうか。
「否定的な人」ははっきりと否定するので厳密には違う意味になるかもしれませんが、実際に懐疑的な人は会話のなかで否定的な言葉を多用する傾向があるので、同じニュアンスを持つ言葉だと思います。
懐疑的な人の特徴・心理
それでは最初に懐疑的な人の特徴や心理を考えてみましょう。
警戒心が強い
懐疑的な人は物事を常に疑っている人です。
なぜ疑っているのかというと、その背景にはだまされたくないという強い気持ちがあります。
特に過去に人にだまされたことがあるという人は、それ以降は人を疑ってしまうようになるでしょう。
また、TVのニュースや報道で大掛かりな詐欺事件があると、それをきっかけに疑り深くなってしまうという人もいるかもしれません。
つまり言葉を代えて言うと懐疑的な人のなかには警戒心が強い人が多いということになりますね。
人間はだれでも多かれ少なかれ警戒心をもっていますが、懐疑的な人はその警戒心が他の人よりも強いのです。
その原因は前述のように過去の経験であったり、もともと持っていた警戒心が報道やニュースなどで強まったりして結果なのです。
つまり懐疑的な人は自分が傷ついたり損をしたりということを、極端に恐れている警戒心が強い人ということになります。
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論理的思考をする
ここで懐疑的ではない人にはどんな人がいるのかを少し考えてみましょう。
たとえば懐疑的な人は物事や他人の言葉をそのまま素直に受け取らず、その裏に何があるのかを考える人ということができます。
つまり物事をそのまま受け取ってあまり深く考えない人は懐疑的ではないということですね。
懐疑的な人は物事を論理的に考えて、相手の言葉の裏には何があるのかを筋道を立てて推理できる人が多いのです。
また、詐欺でだまされる人の特徴を考えてみると、これをやればもうかると言ったうまい話をうのみにして、深く考えずにお金を出してしまった人が多いでしょう。
これに対して同じもうけ話を聞いた懐疑的な人の行動は、まず相手の話をすべて聞いてそのなかから矛盾点やつじつまが合わないことを探し出します。
そのため懐疑的な人はこの手のもうけ話でだまされるということはほとんどありません。
詐欺の手口のほとんどは根拠や証拠もなくもうかるということを強調しているだけで、不確かなことを言葉でごまかしているだけだからです。
論理的な思考をする懐疑的な人をだませるような詐欺の手口はないと言ってもいいでしょう。
自分に自信がある
懐疑的な人は自分に自信があるという特徴も持っています。
これは精神的に独立していると言ってもいいもので、周囲には影響されない一本筋が通ったものを持っていると言ってもいいでしょう。
そのため、どんなに自分にとってうまい話があっても左右されず、詐欺にだまされることもありません。
懐疑的な人はすでに成功した人の仕事のやり方なども、真似をするということはありません。
たとえ同じ方法で成功した人が何人もいたとしても、自分に自信があるので自分で考えて判断するのですぐには飛びつかないのです。
成功者の真似をすればすべての人が成功するわけではないということも、論理的に考えればすぐにわかることだからです。
成功者のやり方は一部の人にしか通用しないかもしれません。
懐疑的な人は自分に自信があるため、自分にあっているやり方で成功しようとするのです。
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否定的な言葉を使う
懐疑的な人は疑り深いため、会話のなかでも否定的な言葉をよく使うという特徴があります。
疑り深いので人の言葉を否定するというのはわかりやすいですが、自分の言動に対しても否定的になることもあります。
たとえば仕事で失敗したときに「やっぱり」「どうせ」という言葉を使って、「やっぱり失敗した」「どうせ失敗すると思っていた」ということを言います。
これは最初からうまく行かないことがわかっていたように振る舞うことで、失敗したショックを少しでもやわらげようとしているのです。
むしろ言葉に反して受けたショックが大きいときによく使ってしまいます。
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素直になれない
懐疑的な人は自分に自信があることや、論理的な思考のせいで他人のアドバイスを素直に聞くことができません。
適切なアドバイスを受けてもそのまま受け入れるのではなく、自分なりにもっと効率良いいやり方を求めてしまうのです。
仕事をする上では効率的な方法を模索すること自体は、むしろ望ましいことです。
しかし、コミュニケーションや職場の人間関係という観点から見ると、相手のアドバイスを素直に受け取れない態度というのはマイナスになります。
また、プライベートでも同じで、たとえば恋愛に関するアドバイスにしても素直に受け入れることはありません。
公私ともに素直に相手の意見を受け入れることができないので、周囲から人の意見を聞かない人というレッテルを貼られてしまいます。
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買い物の時間が長い
懐疑的な人は買い物をする場合でも、疑り深い性格から時間がかかってしまうという特徴があります。
価格はもちろん、洋服であれば自分ににあうかどうか、他の洋服との組み合わせはどうか、同じような服をすでに持っていないかなど疑問に思う点が多すぎるのです。
そのためひとつの店で費やす時間が長すぎて、他の店に行って比較するということもできなくなります。
買って失敗するリスクよりも、いろいろな店を回れないことで発生するリスクのほうが大きくなる可能性さえあります。
さらに一人で買い物をするのであればいいのですが、家族や友人と一緒の場合は周囲にも迷惑をかけてしまうでしょう。
深読みや裏を読む
懐疑的な人の特徴には相手の言動の裏を読んだり、深読みをしたりするという特徴があります。
懐疑的な人が素直に物事を受け取らないと説明しましたが、素直に受け取らない理由としては相手に隠れた意図があるのではないかと深読みしてしまうという点があります。
相手が本当に親切心からアドバイスしたとしても、自分に失敗させようとしているのではないかといったことを考えてしまうのです。
これに関しては実際に世の中には隠れた意図を隠して、人をだまそうとする人や企業などが存在するという点にも問題があるでしょう。
過去にあった食品の消費期限のごまかしや産地偽装など、例をあげればきりがありませんね。
しかし、職場という環境のなかではお互いが信頼し合っていなければ、スムーズに仕事ができなくなります。
人を疑うことだけでなく、信頼する方向でも論理的な思考を生かして考えて見る必要があるでしょう。
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相手に対して指摘する
懐疑的な人は自分に自信があるため、自分と違う考え方の人や違うやり方をしている人に対して指摘するという傾向があります。
ここに懐疑的な人のある意味での矛盾が生じています。
相手の言動を素直に受け取らず懐疑的になってしまう人は、自分の考えや行動についてはある意味で絶対的な自信を持っています。
しかし、この自分の絶対的な自信に対しては懐疑的にはならないという矛盾も秘めています。
自分に自信があることでこうした矛盾が生じているのですが、自分が間違うこともあるということはすっかり抜け落ちているのです。
しかも周囲の意見には懐疑的なので、広い知識を得ることもできず、自分だけの考えに固執してしまうという悪循環も生じてしまいます。
相手に対して指摘するのではなく、違う考え方もあるということを示すことが大切です。
懐疑的な人は相手のアドバイスを受け入れられないのに、自分の考えを押し付けてしまうという矛盾した存在かもしれません。
懐疑的な考え方を直す方法
もし、自分自身が懐疑的な性格だということを自覚しているのであれば、懐疑的な考え方を少し見直してみましょう。
早めに裏付を取る
懐疑的な人は疑っていることが解決しない限り、その疑問を引きずり続けてしまいます。
もし懐疑的なことがあったなら、早めにその裏付けを取って自分のなかで決着をつけてしまうということが大切です。
そうしないと懐疑的な部分をいつまでも持ち続けてしまい、他のことが手につかない状況になります。
職場では仕事のミスにつながりかねないので、早めに解決しましょう。
その場合はなるべく客観的な視点から見て、自分の考えが絶対に正しいという考えを捨てる必要があります。
すべてリセットして公平な立場で考えて結論を出すことが重要です。
ポジティブな人と付き合う
類は友を呼ぶという言い回しがありますが、懐疑的な人に限ってはなるべく正反対の性格の人と付き合うようにしましょう。
同じように懐疑的な人ばかり周囲にいると、どんどん否定的になりますます疑り深くなってしまいます。
ネガティブなスパイラルに、はまってしまう前にできるだけポジティブな人と付き合いましょう。
人は付き合っている人の影響を受けやすいので、お互いに自分にはない部分を相手から学べるようになります。
性格を直すというのは直ぐにできることではありませんが、目の前で自分にはない、いいところを見続けていれば必ず変化はあるはずです。
適度な距離を保つ
懐疑的な人は物事にたいてあれこれと悩む傾向があり、必要以上に考え込んで抜け出せなくなってしまいます。
それを防ぐためには物事から少し距離をおいてあまり真剣に考えないということが必要です。
そもそも悩んでいることは自分にとって絶対に必要なことなのかということから見直してみましょう。
世の中には自分にとって不可欠で重要なことというのはそれほど多くはありません。
悩んでいることがたとえ失敗したとしてもそれほど大きな影響があることは少ないのです。
ある程度開き直って距離をおいてみると、案外大きな失敗にはならないことがわかるでしょう。
楽観的になる
懐疑的な人にいきなり楽観的になれとか、ポジティブになれと言っても難しいでしょう。
しかし、いつまでも懐疑的なままでは職場の人間関係に支障があることは間違いありません。
まずは失敗しても大きなトラブルにはならないことから、あまり結果を気にせずに楽観的に進めてみましょう。
その結果がある程度うまく行けば、それほど懐疑的に物事を進める必要がないことに気づくはずです。
それを繰り返していくことで、ある程度楽観的に仕事が進められるようになり、しだいにポジティブな気持ちにもなって行けるでしょう。
気持ちを切り替えるためには失敗してもいいという気持ちで取り組むことが大切です。
絶対に失敗できないと考えると慎重になりすぎて、いろいろと考え込んでしまいます。
社運を賭けた一大プロジェクトというのでない限り、失敗したことで次につなげようという気持ちで進めると意外にうまく行くものです。
自分で自分にプレッシャーをかけてしまうことが、悪い方向に向かってしまう原因になることが多いのです。
懐疑的な人のメリット・デメリット
懐疑的な人は職場においては人間関係でデメリットはありますが、もちろんメリットもあるので、特徴をよく知って接していればそれほどトラブルになることはありません。
まずはメリットとデメリットを考えてみましょう。
懐疑的な人のメリット
懐疑的な人は物事に慎重に対処し論理的に考えることができます。
また、周囲に振り回されることがなく、しっかりと自分を保ちながら物事に対処することができます。
こうした特徴は仕事をする上ではたいへん有能で頼りになりますね。
そして懐疑的な人の慎重さは仕事を進める上での問題点や課題を素早く発見できるという点につながります。
懐疑的な人のデメリット
懐疑的な人の慎重さは仕事をする上でのメリットになりますが、人間関係を考えると摩擦を生じやすいというデメリットがあります。
それは懐疑的なゆえに他人からのアドバイスに対しても疑問を感じてしまい、時にはそれをストレートに相手に伝えてしまうことから起こります。
また、慎重さが裏目に出て決断するまでに時間がかかってしまうというデメリットもあります。
そのため納期が迫っているといった時間に余裕がない仕事に関わった場合に、慎重さから時間をロスしてしまうデメリットもあります。
懐疑的な人の対処法
こうしたメリット・デメリットを考えた上で、懐疑的な人との接し方、対処法を考えてみましょう。
まずは懐疑的な人と接するときは、否定的な言葉を発しても言い返すことはせずにその人独特の言い回しなんだというふうに考えましょう。
懐疑的な人も否定的な言葉は多いですが、相手の人格まで否定しているわけではありません。
たとえ、アドバイスをしたのに否定的な言葉を言われたとしても、懐疑的な人には自分でしっかりした考えを持っていてそれに従っているだけだと理解しましょう。
感情的に対処すると人間関係を壊すだけになるので注意が必要です。
また、懐疑的な人が部下にいた場合、懐疑的であることを本人にしっかりと認識してもらうといいでしょう。
自分が周囲の人よりも懐疑的で疑い深いということが認識できれば、反対に「これは疑い過ぎではないだろうか?
」という疑問を持つようになります。
それがきっかけで、懐疑的な部分を改善しようとすることになるかもしれません。
まとめ
懐疑的な人というと何でも疑ってかかる人というイメージですが、懐疑的になるのは現代ではしかたがないことなのかもしれませんね。
あの手この手で人をだましてお金を取ろうとする人が、昔に比べて多くなっているのは間違いありません。
しかし、そんな世の中だからこそ、せめて職場の仲間だけは信じてあげたいものです。
もちろん同じ職場でも様々な人がいるので、一律に全員を信じるわけには行きませんが、信じようという気持ちで接していれば、相手も信じてくれるものです。
懐疑的だという自覚がある人は、職場では懐疑的な気持ちを少し緩めて人と接してみましょう。