30日
■新聞やネットではいまスタグフレーションという言葉が目立って取り上げられています。スタグフレーションとは景気が悪いのにものが高くなる経済状況ですが、70年代にアメリカで起きたそれは世界恐慌に次ぐ悲劇だと言われています。
■理論上スタグフレーションは起こり得ないものです。なぜなら、景気が悪ければものは安くなるからです。ならば、なぜこんなことが起きるのか?ノーベル賞を受賞した経済学者のバーナンキによれば、「民間の経済主体の高いインフレ期待が、高いインフレーションもたらす」のだという。政府が供給側の制約を十分に考慮せず、拡張的な経済政策を続ければやがて行き過ぎたインフレとなり、それを引き締めようとすれば今度はスタグフレーションになる、というわけだ。
■政策の失敗・・というわけですが、いまこのスタグフレーションという言葉が脚光を浴びているのは来週から、トランプ政権により関税政策が始まるからにほかなりません。関税をかければ、ものの供給力が減って、アメリカは確実にインフレになります。しかし、大統領はインフレを気にしていない。関税政策がうまくいって雇用を創出することになるから問題ないと言うのだ。意味がわからない。
■スタグフレーションの行き着く先として、最終的にはなにが待っているのでしょうか?政府は極端な利上げ政策によって徹底的にインフレ退治を行います。その結果として失業者が増大するわけですが、その失業者は決まって中小企業の勤め人とか派遣労働者とかです。金がすべてだとは言いたくないですが、でもこれが現実なのです。