吹く風ネット

伽草子

 高校の頃、ぼくは吉田拓郎に憧れていた。「その生き方が好きなんだ」などと知ったようなことを言っては、よくその言動を真似ていたものだった。
 だけどぼくはその時期の拓郎さんが、どういう生き方をしていたのかなんて全然知らなかった。知っていたのは拓郎は拓郎でも、マスコミの作り上げた、いわば『マスコミ拓郎』の生き方で、それは無愛想だとか無礼だとかいうものだった。
 ぼくはそれを真に受けていたわけで、その言動を真似ていたというのは、つまり無愛想や無礼を真似ていたということだ。
 その『マスコミ拓郎』というフィルターで、長年拓郎さんを見てきたせいで、実際の拓郎さんがどういう人なのかをいまだにぼくはわかっていない。
 ただ自分のことはよくわかっていて、『マスコミ拓郎』を真似ていたぼくは、今も変わらず無愛想で無礼である。

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