吹く風ネット

『問題児』

 中一の頃、教師間のぼくの称号は、『問題児』だった。
 そのきっかけとなったのは、クラス内で暴れていた級友を止めようとしたことにあった。担任の女教師はなぜかことのいきさつも調べずに、それをけんかと見なし、勝手にぼくをその首謀者に仕立てあげた。
 あまりの馬鹿馬鹿しさにぼくは呆れてしまい、何も弁解しないでおいたのだが、それがまずかった。担任はさらに調子に乗って、ぼくを『問題児』扱いするようになったのだ。

 ノートに落書きすると『問題児』。他の先生に叩かれると『問題児』。美術の作品を出し忘れると『問題児』。体育の授業を見学すると『問題児』。流行りの言葉を使うと『問題児』。一人で繁華街行きのバスに乗っているところを見られて『問題児』(町の柔道場に通っていた)。
『問題児』、『問題児』、『問題児』・・。いったいどれだけ『問題児』なのか。担任は、ぼくが「問題」を起こすたびに母親を呼び出し、
「息子さんみたいに次から次と問題を起こす生徒は、学校創設以来初めてですよ。この先、どう育っていくのか、心配でなりません」
 と、ご親切にもぼくの行く末を案じて嘆いてくれていたそうな。

 三年後、何の因果か担任の自慢の娘は、その『問題児』と同じ高校に通うことになる。
 もしかしたら、それを知った担任は、我が娘の行く末を嘆いたかもしれない。

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コメント一覧

shinta1488
おはようございます。
そうですね、担任の思い込みだったんだと思います。
2年の時に好きな教科(歴史)が加わったために成績が少し上がったのですが、それを見て先生たちは、「しんたは真面目になった」と言い出した。別に生活態度や授業態度が変わったわけでもなかったのに、いい加減なものです。
コメント、ありがとうございました。
まかろん
https://blog.goo.ne.jp/macaronteaparty
なるほど、問題は人間がどう受け取るかによる、という好例ですね…。

>息子さんみたいに次から次と問題を起こす生徒は

しんたさんが問題を起こしてるのじゃなくて、
本当はその担任が問題を心のなかで作り出していただけですよね…。

私の人生でもそういうことをしていないか、
反省させられる記事でした。

勉強になりました。
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