吹く風ネット

よいお年を

 2001年、今から20年前に書いた記事です。(若干書き換えています)

「よいお年を」
 社会に出てから、何度この言葉を口にしただろう。それまでは一度も口にしたことのない言葉だった。どうやって覚えたのだろう。別に「年末の挨拶は“よいお年を”と言わなければならん」などと強要された覚えはない。ということは、見よう見まねで覚えた挨拶なのだろう。
 では、それまではいったい年末の挨拶はなんと言っていたのだろうか?今となっては覚えていないが、おそらく普段の別れの挨拶をしていたのだろう。

 そういえば、別れの挨拶も、年をとるにつれて変わっている。
 高校を卒業する頃までは、いつも「バイバイ」だった。
 その後、社会に出るまでは「じゃあね」とか「またね」だった。
 社会に出てからは「お疲れさん」だ。社会に出てから「バイバイ」などと言った覚えはない。
 これらも強要されてこういうふうに言い出したわけではなく、また高校を卒業したから「じゃあね」と言おうとか、社会に出たから「お疲れさん」と言おうとか決めていたわけでもない。それは流れの中で変化してきたものだ。
 ちなみに、友だちに「さようなら」と言ったことはない。そんなこと、馬鹿らしくて言えん。

 さて、社会に出てからは、学生時代からの友だちにも「よいお年を」などと言っているが、これがまた照れ臭い。言う前から「何でこいつに、そんな改まった挨拶をしないといけないのか」と思ってしまう。言っている最中も、ニヤニヤして「ばーか」などと思いながらやっているので、ありがたみも何もないだろう。まあ、相手もそう思いながら言っているんだろうけど。

 ところで、「よいお年を」のあとに続く言葉が何であるかを、真剣に悩んでいた時期がある。もちろん、
「よいお年をお迎え下さい」が正しいのだろうが、その頃はそう続くことに違和感を感じていた。
「よいお年をお過ごし下さい」、今はこの言葉は使わないらしい。
「よいお年をお取り下さい」、年寄りに向かって言っているようだ。
 やはり「よいお年をお迎え下さい」が妥当なのだろうが、先に書いたとおりで言い回しがどうもしっくりこない。
 よく年賀状に書かれている、
「よい年でありますように」や「幸せな一年を」ではいけないのだろうか?いや、これらの言葉を「よいお年を」のように略して言うとすると、「よい年で」や「幸せな」となってしまい、逆におかしくなってしまう。
 と、いろいろ考えたあげく、「よいお年を」だけでいいじゃないかというところにおさまった。後の文章は「余計だ」と思うに至ったわけだ。それから自信を持って(?)、「よいお年を」と言えるようになった。


 ということで皆さん、よいお年を。
 ・・あっ、この言葉、大晦日には使わないらしい。じゃあ大晦日の今日の挨拶は、いったいどう言ったらいいのだろう?
 また来年、そのことを悩まなければならない。

ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!

名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「日記」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事