吹く風ネット

本当にあったモンペ婆さん

 中学生の頃だった。居間で昼寝をしていた時に、玄関の扉をトントンと叩く音がした。誰だろうと思いながら目を覚ましてみると、そこにぼくの顔を覗き込んでいる人がいた。胸に大きな名札をつけ、モンペをはいた婆さんだった。
 誰だか思い出せない。というか、知らない人だ。ということは『夢だ』と、単純でのんびりした性格だった当時のぼくは思い、また目を閉じた。

 しかしおかしい。玄関のトントンは、ずっと続いているのだ。
『やはり夢じゃないのか』
 と再び目を開けてみると、まだそこに先ほどのモンペ婆さんが立っている。
 起き上がって「誰だ!?」と言おうとした。ところが体が動かない、声が出ない。その状況にイラついたぼくは、そのモンペ婆さんを振り払おうと、力任せに手を振った。その瞬間、場が変わったように感じた。と同時にモンペ婆さんはいなくなっていた。

 玄関のトントンは現実だった。友だちが遊びに来たのだ。おそらくトントンの音に焦ったぼくが、異次元の扉を開いたのだろう。
 で、モンペ婆さんは誰だったのか?
 当時住んでいた所は埋立地で、家の裏には防空壕の跡があった。モンペ婆さんは間違いなく戦時中の格好をしていた。ということは、その頃に空襲か何かで亡くなった人だったのではないか。

 十数年後にその場所を訪れてみると、家はすでに取り壊されており、跡地は駐車場になっていた。その時そこに一人のじいさんがやってきて、おもむろに塩を撒き始めた。ぼくが、
「何をやっているのですか?」と尋ねると
「あんたには見えんのですか?」と言った。
 そのじいさん、一ヶ月後に死んだらしい。

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コメント一覧

shinta1488
お疲れ様です。コメントありがとうございます。
自分の場合、霊(?)を見たのはその時が初めてで、その後は一度も見たことがありません。
ただ、寝ているとき、なんとなく人の気配を感じることはあります。あまりいい気持ちはしません。

確かに、携帯からは書きづらいです。
西風21
で、友人に勘が鋭い人がいて、
彼は感じるそうです。
不思議な事もあるものですね…

しかし、この携帯からのタイピングは
難しいです😭😭😭
西風21
すみません。途中で指が当たってしまって…
西風21
お疲れ様です。
そうなんですね。
ワタシはそんな経験も力も全く無いのですが、
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