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若きエンジニア

2016年12月30日 | 日記
スイスからの一時帰国の間、
年に一度の帰省の機会に乗じてできる限りたくさんの人と会うことにしています。

今年、私と故郷を同じくする2人の教え子と再会を祝して乾杯しましたが、
ここではそのうちの一人、タイトルにも書きました「自動車開発の若きエンジニア」との再会について書きますね。

ご紹介するのは、2004年卒業、本校第12期生の丸山聖人氏です。

丸山さんは高校入学当初から、自動車が大好きでした。
トリップで訪れた欧州の街、行った先々で彼が血眼で探すのはフェラーリ、ポルシェなど欧州車のグッズ・ショップ。
放課後や休日には、日本から持ち込んだエンジン式のラジコン・カーを中庭で走らせていました。
卒業旅行では自費でモナコ・グランプリを観戦しに行くという筋金入りの情熱でした。

私が「そんなことより、ちゃんと勉強しろ!」と言うべき教員の立場であることは言うまでもありませんが、
しかし私は彼のそんな「自動車への執着」をどうしても否定する気にはなりませんでした。
「自分はこれが好きだ!誰が何と言おうとこれが好きなのだ!」
ひとつのことに真剣に向き合う彼の姿勢に、大きな可能性を感じていたからです。

丸山さんは抜群に成績優秀な学生ではありませんでした。
正直に言うと、高校3年生のレベルになると、理数系の科目に四苦八苦している状態。
それでも、彼の自動車に向ける情熱が衰えることはありませんでした。
将来の職業に向けて懸命に努力を重ね、工業大学に入学。
卒業後はトヨタの開発部門に就職、
その後、鈴鹿サーキットで「レース屋さん」を経験した後、
現在はダイハツの実験部署で車両開発に携わりつつ、
休日にはサーキットでカート・レースやフォーミュラー・カーのドライブを楽しんでいます。

また近年押し寄せるグローバル化の流れに開発部門の人間も巻き込まれているそうで、
東南アジア圏の工場とのやりとりに彼が高校で培った英語力が必要とされる時代になった、
との実感が漏れ聞こえました。
開発部門の人間の多くは「受験英語」は勉強していても、
コモン・ランゲージとしての英語が身についている人間は少ないのが現状なのだそうで、
丸山氏の英語力に現場は大きな期待を寄せているのだそうです。

先日、十数年ぶりに再会した際には、
横浜の日産グローバル本社ビルのギャラリースペースで、
最新のモータリゼーション事情を交えつつ展示車を解説してくれる
最強の「ツアーガイド」を務めてくれました。

彼が語ってくれたのは、
「高校時代に培った英語によるコミュニケーション力はもちろん現在の仕事で役立っていますが、
しかしそれ以上に、知らない世界に飛び込んで行く『挑戦するマインド』が僕の財産です。
『英語で話せる』ことがその根底にあることは間違いないのですが、
相手が西洋人のネイティブ・イングリッシュ・スピーカーであっても、
物怖じせずに語りかけて、何とか道を切り拓いてゆく、その精神は高校で培ったものです。」

サーキットで出会った西洋人とコミュニケーションをとることも、
また別の場所で出会った車好きの西洋人をレース関係者に紹介することも、
難なく行えるようになったのは「英語を道具として使いこなすマインドとスキル」
が根底にあったからこそなのだ、と彼は熱く語ってくれました。

こんな風に教え子が、共に過ごした3年間を大きな糧として、
人生を豊かに過ごしてくれていること、
そんな実感を得られた時こそが、
私たち教員の最高に幸せな瞬間なのであります。

(丸山さんが私へのプレゼントとして贈ってくれた写真、彼の最新の勇姿を添付しておきますね。
再会当日の写真も一緒にご覧ください。)

ブログ、10年ぶりの復活!

2016年12月30日 | 日記
皆様、長らくご無沙汰していたブログを再開いたしました。
10年前までは頻繁に投稿していたブログだったのですが、
技術的な問題により全ての記事を喪失!
その痛手から立ち直るのに10年の歳月がかかった、
と言う訳ではないのですが、
しかし、結果として10年ぶりに再開することに致しました。

この年末に再会を果たした勤務校の卒業生、学生時代の仲間たちからの、
ブログによる情報発信を要請する声が多かったのも再開する大きな後押しになりました。

今後は、勤務校の卒業生の現況なども豊富に交えながら、
投稿して行きたいと思っています。

ブログ、ご愛顧のほどをよろしくお願いします。