自分セラピー

「自分を好きでいる」ことは人生を豊かにしてくれます。そこに気づかせてくれる沢山のファンタジー文学を紹介していきます

『ある小さなスズメの記録』クレア・キップス

2011-01-12 07:17:18 | おもしろかった本
最近は、すっかりアマゾンでの本の購入ばかりで、書店に行くことが少なくなりました。


でも、久しぶりに渋谷を歩いているときに、本屋さんにぶらり。



本屋さんに入ると、時間があっという間に過ぎ去ってしまいます。


児童文学やファンタジーのコーナーを歩きながら、ふと目に留まったのが、この本でした。


ハードカヴァーで、ケースがついていて、さらにビニールで封じられています。



美しい装丁で、おまけに翻訳が梨木香歩さん。



なんだかよく内容を確認しないままに購入。




『ある小さなスズメの記録』


年末に、「ベニシアさんの田舎暮らし」のテレビ番組のことをブログに書きました。


あれ以来、クリスマスのリース作りの回や、刺繍のお友達を呼んでのクリスマス会の様子など、撮りためてある録画を何本か観ました。



それだけでなく、身近な人にも熱く語り、結構マイブームになっています。



「時間をゆっくりと過ごしたい。


「その方がていねいに生きている感じがする・・・」


と言ったベニシアさんの言葉に心打たれます。



だからこの本に出会ったのかもしれません。



この本は、イギリスのクレアさんが、たまたま庭で巣から追い出されてしまったスズメのひなを、助け上げ家で飼っていた記録です。



でもこの本の時代背景は第二次世界大戦。


戦争中で、なおかつ爆撃機が飛び交う中での、スズメとの生活が、何とも温かいんです。



鳥のことはよく知らないのですが、スズメは基本的に「鳴く」種類の鳥ではないのだそうですが、このスズメの「歌」はどうやら、特別だったようです。


ピアニストでもあるこの作家のピアノに合わせたトリル・・・・トゥルルルルと言った音らしい
・・・・が聞こえてきそうです。


眠るときの様子や、クレアさんを追いかけて家じゅうを走り回る(羽を痛めていてちゃんと飛べない)様子は、まるでペットの犬のようです。


雄のこのスズメにとって、クレアさんは母親であり、恋人で、窓の外に繰り広げられる小鳥たちにはほとんど関心を示さなかったようです。


12年以上生きたこのスズメ(クラレンス)は、最後に「信じられないほどの生きる力」を、見せてくれたようで、その様子は感動すら覚えます。



戦争中の心も体も苦しんでいた多くの人たちを、このスズメが与えた癒しのお話しは、イギリスで、あっという間にベストセラーになったのだそうです。





そう言えば、梨木さんの『西の魔女が死んだ』に登場するおばあさんとベニシアさんがどこかでイメージが重なります。


ベニシアさん、梨木さん、そしてクレアさんとこのスズメ。


ゆっくりと生きる



またこの感覚に出会えた本でした。

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