社会保障国民会議・吉川座長に聞く 負担をどう組み合わせるか議論
1月31日8時1分配信 産経新聞
29日に発足した政府の「社会保障国民会議」の座長に就任した吉川洋東大大学院教授は30日、産経新聞のインタビューに応じた。社会保障費の財源として消費税率の引き上げは不可避が持論の吉川氏。国民会議では消費税にまで踏み込んだ議論はしないとしながらも、「保険料と税、自己負担の比率をどう組み合わせるかは議論になる」と述べ、税の比率を高める方向で議論が進むとの見通しを示した。また、社会保障番号制導入の是非も検討課題にあがると述べた。(聞き手 今村義丈) ◇ 一問一答は次の通り。 --なぜ国民会議が必要か 「社会保障制度がこのままでいいと思っている人はいない。改革をしなくてはいけない。国民全員が影響を受ける」 --ポイントは 「給付と負担の関係が複雑で、問題の所在が共有されていない。改革の前提として問題の所在を明らかにし、改革案のメリット、デメリットを示したい。選択のための材料が私たちの報告書だと思う」 -年金改革で政府は平成16年に国庫負担を引き上げる「100年安心プラン」をまとめたが、早くも破綻(はたん)しているか 「制度と運用の面で整理しないといけない。保険料をどこまで徴収できるかという運用面の問題がある。制度上も、このままだと回らなくなる可能性はある」 --民主党は、高額所得者への基礎年金の給付を制限する立場だ 「一つの考えではある。所得のあるお年寄りは年金を所得として合算し、所得税を支払ってもらうのも方法だ」 --消費税の議論はどうなるか。保険料方式には限界があり、消費税率引き上げは必要との立場だったが 「いろんな意味で本命は消費税だとは言ってきた。負担は保険料、税、医療や介護での自己負担の3つ。どう組み合わせればいいかが議論だ」 --「消費税」とまでは言わないと 「どの税を充てるかは、政府や党の税制調査会での議論だ」 -社会保障番号制度は 「同制度はあった方がいい。導入されたら高額医療への還付制度もスムーズにいく。議論してもいいのではないか」 --民主党は会議に参加しないが、小沢一郎代表が党首だった旧自由党は、基礎年金と高齢者医療、介護は消費税でと提言していた 「民主党としても、基礎年金のために消費税率を上げると提言したことがあった。社会保障制度を維持するため、消費税を上げるとの考えは多くなったのではないか。二大政党制になっても、この問題で大枠の合意がないと大変なことになる」 |