千日詩集

1日1編1000日詩(のようなもの)を書く

第1000日 終わり

2023-03-27 | 

  終わり

終わりは
静かで優しい
すべてのことは
始まりそして終わる

よきことが終わるのは
淋しい
けれどその淋しさも
静かで優しい

世の命の終わりも
また静かで優しい
それが無であろうとそうでなかろうと

この静けさと優しさは
魂の思い
永遠を眺める神々の思い


第999日 最後の言葉

2023-03-26 | 

  最後の言葉

ただ必要なのは
永遠への可能性を開かれた
魂であることを知ること
ただそれだけだ

物ではない
体でも心でもない
死をも越えていく
魂なのだ

教義も組織も儀式も必要ない
祈りや修行や善行すら必須ではない
自らの魂を知り
何を為すかを自ら考えることだ

救われることも
願いが叶うことも
考えの外に置き
ただ己の魂の姿を覚知することだ


第998日 長い旅

2023-03-25 | 

  長い旅

ここまで来た
それをもっと喜べればいい
迷い転びながらも
ここまで来たのだから

目的地ではない
けれど地獄に着いたわけではない
少しずれているにしても
おおまかの方向は合っているはず

心はひねくれ者
喜びを埋めようとする
もっと進めと責め立てる

それはそれで放っておけばいい
ただ自分の澄んだ目で
長い旅の姿を見据えればいい


第997日 陶冶

2023-03-24 | 

  陶冶

自己を成長させることほど
難しくしんどいものはない
頑なに抵抗する何かがいる
安逸の道はあまりに甘美で

夢の実現なんてどうでもいい
富や権力は害悪だ
けれど人はだいたいそれに向かう
最も大切なことから目をそらせるために

失敗に苦しむ中で
罪に打ちひしがれる中で
むしろ自己は成長する

誰もがそんな過酷な道を選んでいる
それは信じがたいこと
そしてそれゆえ生は尊い


第996日 帰ろう

2023-03-23 | 

  帰ろう

帰ろう
あの村に
もうどこにもないけれど
われらが帰ればまた蘇る

炎は楽しげに踊り
風は古代の夢を語る
水車の立てる物憂い子守歌に
鳥たちは溌剌とした恋物語を乗せる

われらは知るだろう
われらが天使であった日の輝きを
決意して村を後にした時の悲しみを

苦い記憶とわずかばかりの成長を土産にして
あの静かで潤いに満ちた村に帰ろう
光で作られた大地に身を横たえ歌を歌おう