【1500億円の税金をドブに 石原慎太郎 】
都が税金から1000億円を出資し、07年9月中間期の決算で累積損失が936億円に達するなど
破たん状態の新銀行東京に対して、これまで「考えていない」としてきた発言をひるがえし、
追加出資を数百億円規模で実施する考えを表明。
「この銀行は旧経営陣によって、ちょっと常識から外れた運営がなされたんですね」
(経営陣を任命した知事自身の任命責任について問われて)
「これはしかし、要するに財界に諮ってですね、経団連のある重鎮から推挽を受けて、
私たち、安心してこの方を引き受けたんですけどね。
その人の能力を審査する、こっちはその知識も能力もありませんし。
これはやっぱり日本を代表する経済界の推挽というものを私たち信用して、
引き受けざるを得ないんじゃないですか」(2008年2月15日、定例記者会見にて)
追加出資に反対する都民の声が8割にのぼることへの感想を問われて
「都民の方々は詳細を知らない」などと批判逃れに終始。
知事が私財を投じてでも責任を取るべきだ、という意見について
「法律の体系の中でどういう責任があったかで、
心情的に言われても世の中に通る話じゃない」と不愉快そうな顔。(2008年3月7日、定例記者会見にて)
「銀行を発案したのは私だが、私がプランをつくったわけではない」
「決まった人事を了承したが、私がこの人間をと決めたということではない」
「私が最初から社長ならもっと大きな銀行にした」(旧経営陣を非難して)
「聞く耳を持たぬ唯我独尊という姿勢ではだめだ」
「マスタープランを運転するのは運転手(経営者)。
その才覚で自動車をあちこちにぶつけて、こういう体たらく、傷だらけになっちゃった」(2008年3月11日からの都議会予算特別委員会で)
コメント:醜い責任転嫁のオンパレード。
「聞く耳を持たぬ唯我独尊」とは誰のことか。
新銀行への出資予算を審議した2004年3月の都議会では、
石原知事は「今回出資する一千億円が、やがては数兆の値になると信じております」(3月2日)などと答弁しており
徹頭徹尾トップダウンで設立を強行した上に、ここまで放置してきた知事が、
もっとも重大な責任を負っていることは言うまでもない。
旧経営陣に責任を転嫁する知事の姿勢に対し、
旧経営陣からは「都などが作った当初計画に沿った事業をした」と反論の声が上がった。
同行の社外取締役には都OBや石原知事の知己も入っていたことや、
都自身が2006年6月の株主総会で融資拡大を当時の経営陣に求めたことも判明している。
都が押しつけた過大な経営計画に縛られ、ずさんな融資を繰り返した結果が経営悪化につながった。
<これまでの発言>
2004年2月 経営陣にすぐれた人材を各界から迎え、開業3年後には総資産1兆6千億、
自己資本比率は邦銀トップクラスの13%を目指す (都議会にて)
2005年8月 目算の狂いはあるが、現況の中で私は順調にいっていると思う (会見で目標の下方修正について)
2006年6月 間違ったことをしていると思わない(会見で赤字200億円の初年度決算について)
2006年12月 いろんな手違いもあったし、見込み違いもあった。大株主としてものを言って、
3年先の目的が達成できるよう努力する (会見で累積赤字456億円の中間決算について)
2007年春 「2年で経営を立て直す」 (3期目の知事選で)
2007年6月 決して責任転嫁をするつもりはないけれども私も金融の専門家ではない。
進むも地獄、引くも地獄のところまで来て、乾坤一擲前に向かって打って出る以外にない
(会見で累積赤字849億円の2期目決算について)
2008年3月5日、「東京中小企業家同友会」は、会員を対象にした調査で、62%が「中小企業のために役立っていない」と回答した、と発表。
2005年の開業から3年間で役員17人が辞任していたことが判明(3月10日朝日新聞報道)。
初期に辞めた役員は放漫経営の見直しを訴えたが聞き入れられず、
任期途中の辞任や不再任になった、と複数の元幹部が証言。
2008年3月10日、内部調査による経営悪化の原因についての報告書を公表。
計画の妥当性を検証する部分は無く、設立を発案した石原知事や都関係者の責任にも触れず。
<報告書に対する都議会各会派の反応>
民主・田中良幹事長「無能な旧経営陣の暴走が経営悪化の原因という内容だが、銀行設立そのものが暴走。
旧経営陣が暴走せざるを得ない状況を作った発案者の知事の責任が最初に問われるべきだ」
共産・吉田信夫幹事長「よく恥ずかしげもなく旧経営陣にすべてを押し付ける報告書を出せたのものだ」
生活者ネット・大西由紀子幹事長「『仁司さん(元代表執行役)が悪い』という責任転嫁が多く、品がない。
(設立時に)行政としてどこまで精査したのか疑問。
予算特別委員会で共産党の吉田信夫議員の追求で、
新銀行設立時のマスタープラン原案にあったデータを都幹部が
「三年後赤字」から「大幅な黒字」に書き換えたことが明らかに。
3月末に都から400億円を追加出資する議案が可決。
出資金調達のために発行した都債の利払いに100億円要るため、
都は銀行に税金から合計1500億円を投じることになった。
参考:【「慎太郎銀行」経営ピンチ】 【慎太郎銀行の赤字膨らむ】