ソメイヨシノ

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罪を憎んで

2020-05-08 00:30:21 | something
‪許すことで楽になれる。
でも許せないな、無理して許さなくていいや、って思って、1ミリも楽になれなかった。‬

許せないと思う気持ちを封じ込めるのは苦しい。
だから楽になるために、勇気を出して憎んでみた。

自分のために、相手を許そうと思うことが、一番楽になれる気がする。

自分のため。

許せないと思う心自体は、それはそれで認めて、

でも許したほうが、精神衛生上はいいんだよねって冷静に、客観的に思うこと。
処方された薬を飲むように。

それが許すことになるのかはわからない。
許すって言葉には、怒りも悲しみもゼロにするような響きがあって、
心の奥底で深く悲しみ憤りながら、ただ楽になる方法を探している自分は、誰のことも許せていないような気がする。

でもまずは、それで精一杯。それで上出来かな。
許すっていうのはそもそもグレーなことなのかもしれない。
不完全な人が不完全な人を裁く。法にすら基づかずに。
私達はそれぞれの倫理観や常識で、なんとなくお互いに共通のルールを定めようとするけど、
そうもいかないから法で裁くわけだし、って考えたら無性にホッとした。

法で裁く気がないなら、なんとなく許したほうがまし。
今はそう思う。

そうすれば良かった。

夜行バス

2020-04-16 22:17:37 | something
昔はよく 夜行バスに乗っていた

その日をいつも待っていた

乗っているその時すらも


窓の外の景色は 思い出すたび黒くなる

それでも 覗くたび甦る街並みや空気が

懐かしくて こんなに愛おしいのに

そう感じることが いつも少し悲しかった

手を振る人は 近付くときも 遠ざかるときも笑ったけど

それもなぜか いつも少し悲しかった


そしてまた 走り去りながら窓の外を覗く

真っ黒になった窓の外

きっとどこかに もう思い出せない顔がある

何となく覚えている あの顔は誰だったのだろう

朝になればわかるかな

広がる景観に 記憶を溶かしてぐるぐるとまわす


夜行バスに揺られながら 泣いたことが二度あった

初めては春だった

悲しいことがあった春

走り出したバスで 途方もなく一人泣いていた

二度目は秋だった

悲しいことなんて 何も起こらなかった秋

あの時の気持ちは 今でも少しわからない


あれからまた 何度も桜が咲いては散って

嬉しいことも悲しいことも どうでもいいことも数えきれないほど起きて

素敵な夢も悪夢も やたらリアリティのある夢も見て

おかしな色の夢にうなされて

時には夢のような現実も起こった

夜行バスには 乗らなくなった


本当は うっとうしいほど存在していたほうが

良かったような気がする人や景色も

うっとうしくて 忘れてしまった

うっとうしくて 嫌で嫌で 嫌いで 悲しくて

それでも窓の外を また覗きたくなってしまうのだ

あの街の秋のときめきや 冬の優しい冷たさ

誰かの声がする春や 座り込むほど暑い夏の光

いつもの場所で手を振っていた人が

悲しい時によく口にした冗談のことも

私は他人事のように言う

「今もどこかに 焼き付いている」などと


誰かの日常は 誰かの感傷と共にある

それぞれの主観で 歴史を刻めばいい

ご無沙汰していますが 皆様お元気ですか

間違い探しも 楽しんでみませんか

深呼吸して 窓の外へ

もう一度見に行こう

予測できない

2020-03-27 17:15:57 | something
君の服のにおいが恋しい

ずっと洗わないで 抱きしめていたい

こんな風に 自分らしくなくなることも

自分らしいのと同じくらい意味があると思った

涙が出るのは 誰かのせいじゃない

私が寂しいのはいつも私のせい

洗濯機に投げ込んで

私ごと全部 なかったことにしたい

Another Story

2016-11-06 23:11:37 | something
さよなら三角 またきて四角

待ちきれないと 泣いていた

白い夕焼け 赤いくも

坂道かけおり 透明になる

いつかは三角 オレンジの丸

とおくへ消えた 銀の羽

Sofa

2016-11-06 23:03:42 | something
ソファーに横向きになって
ちいさく丸まってみると
鼻のうえをかすめて
右の目から左の頬に
あたたかい感触がつながる
それなりに寂しかった
誰かをあいせないということも

わたしのはじめての涙は
あの両腕で受け止められたのだろうか
彼女の記憶はいつも
やみくもに抱きしめる目の
焦点があっていない

My diary from that day

2016-11-06 18:52:24 | something
明かりの色も わからずに舞台へ躍り出ることが
わたしにもできたら良かった
今日まで生きてきたことは
強さなのか 弱さなのかと時々考える
答えはわからない
もしかしたら
誰かの優しさかもしれない
変化できる人を羨み
変わらない人を 尊敬して 途方にくれる
あなたがこれから先 守っていくであろう 人やものが
心から哀れで 心から羨ましくて
いつも喜び 嘆き 驚き ためらった 私のすべてが
今はただ ひたすらに悲しいだけだ
それだけのことで景色は変わり果てた

sing me something new

2016-07-31 08:15:46 | something
約束は やぶられなくともしんでしまう
「ハムスターを飼うより 難しいことだよ」
ばかみいに笑おうとする
果たされない約束であふれているのだ
守る義務などないことを何度も何度も忘れて
いつも 驚いて
眉間に皺を寄せて
もう一度驚いて
空中に浮かぶ嘘を 恨めしそうに眺める

ある瞬間の愛を
実在した優しさを
紛れもない真実と思い込みを

震えながら握りつぶす時
あの子が挫けた禁煙に少し似ているといつも思う

解毒

2016-07-06 00:09:45 | something
どこからどこまでが嘘で

どこからどこまでが本当で

どれが愛情で 優しさで 同情で 弱さで

冷酷さは どこで私を見ていたんだろう

ひとつのボウルでかきまぜると

ひとつも思い出せない色になる

まぶたの奥まで 塗りつぶされていくみたい

幸せなことかもしれない

忘れることと 思い出すことは似てるから

あの手に付いている 毒の色が

いまならわかる

針千本 飲まされたみたい

からだ中をめぐって いつか心臓をブスリと刺しにくる

おかしな色の毒

あなたはもうわたしを

許せないのだろう

Last Note

2016-05-03 21:52:25 | something
もっと欲しいなんてことじゃない
ここにある分を
できるだけ感じたいだけ
ないものねだりだなんて言わないで
見たことないものは欲しがらない
もともとはここにあったんだから

それは 脳に染み付いた香りのよう
側を素通りするたびに
ふいに立ち止まって探してしまうけど
いつもわからない

ないものねだりだなんて
言えてはいけないはずだな
本当にここにあったんだから
大体君が持ってきたものでしょう?

2016-05-02 00:34:35 | something
聞きたい声が聞こえない


絶妙に違った声が好き勝手に話すから

私の渦巻き管がひとり遊びしてたよ

鼓膜はたまに震えてた

エアコンが きついって


この瓶がいちばん好きだった

この瓶のなかは温かかった


薄情だね


少しずつ 忘れてしまいそう