お薬通信・薬局日記

サカエ薬局

SARS-CoV-2の長距離空中伝播

2022-07-05 13:47:31 | 日記

SARS-CoV-2の長距離空中伝播

いっときおさまったように見えた新型コロナウイルス感染がじわじわと増えてきました。

2m以上離れた距離であっても新型コロナウイルス感染が発生した事例の解析結果が、論文化されました。

このことから、今一度、自分たちの環境について気を付けることを考えてみたいと思います。

この論文の目的は、屋内コミュニティ環境でのSARS-CoV-2の長距離空中伝播の可能性を評価し、伝播に影響を与える可能性のある要因を調査することです。



引用文献:SARS-CoV-2の長距離空中伝播:18の論文の系統的レビュー

BMJ 2022 ; 377 doi:https ://doi.org/10.1136/bmj-2021-068743 (2022年6月29日公開)



〇フィットネスクラブ

2020年6月と7月に3つの異なる施設で教えられたクラスで2人のフィットネスインストラクターが関与したアウトブレイクについて報告されました。長距離空中伝播が起こったかもしれないクラスは、自転車が少なくとも1.8 m離れて配置され、ドアと窓が閉じられ、3つの大きなファンがクラスの参加者に向けられた1時間の静的サイクリングクラスでした。

参加者と向き合いながら指示を叫んだインストラクターは、主要な症例であると特定され(翌日症状が現れた)、10人のクラス参加者全員が、3〜6日後にSARS-CoV-2の検査で陽性でした。授業中はマスクは使用していませんでした。

 

〇スイスの法廷での発生

2020年9月30日に開催された3時間のヒアリングで10人の参加者のうち5人が、検査でSARS-CoV-2について陽性であるとされました。建物ではマスクの使用が義務付けられていましたが、着席時は義務付けられておらず、各座席間の距離は1.5m以上の社会的距離対策が講じられていました。

長距離空中伝播(1.5〜3 m)は、一次症例(その日に症状が現れた)と3人の二次症例の間で発生した可能性があります。空気交換の欠如(ドアと窓が閉じられ、機械的換気がなかった)が長距離空中伝達を促進したかもしれないという仮説は、現場測定によって裏付けられました。

 

〇イタリアのオフィスでの発生

6人の同僚のうち5人が症例として特定されました。5人の同僚のうちの1人が主要な症例として特定され、症状が現れる前に感染がおこっていました。感染していない6人目の同僚は、初発患者の発症前の2日間はオフィスにいませんでした。

この感染は、社会的距離、机の間のアクリルパネル、手指衛生、机に座っている場合を除いてマスクの使用などの緩和策が実施された2020年11月と12月に発生しました。オフィスは風通しが悪く(エアコンがなく、窓が閉まっていた)、長距離の空気感染が促進された可能性があります。

 

個別の事例にはそれぞれ、いずれも、その場面以外での感染者の行動、他の要因について除外できるものではないとの注釈がつけられています。

このレビューでは、確認されたすべての感染事象は、次の3つが主に感染に寄与したとされています。

・空気の入れ替えの欠如(新鮮な空気による換気がない、または少ない)

・空気の流れの一定の方向性(主に空気循環システムによる)

・大声をあげる(エアロゾルの放出が増加する)

 

手洗い、必要な場面でのマスク着用、密をさけて空気の入れ替えをしっかりと。

自分たちが働く環境、家庭の状況を再度みなおして、リスクを下げるようにしましょう。     

                                   換気をしているイラスト(女性)