短歌が好き

いい歌を読むと、心が解き放たれる。
いい歌はゆっくりと時間をかけて読む。
自分もそのレベルに近づきたいと思う。

新年の挨拶 2022年

2022-01-01 | 
明けましておめでとうございます。
今年の年賀状です。
ご覧ください。







感動と写生

2021-12-30 | 短歌
詩でも良い。短歌でもいい。いい作品を作りたい。そう願いながら、もう何年も過ごしてきた……、怠惰に。

 たとえば、こんな歌を作りたい。

  青葦の茎をうつせる水明かり風過ぐるときましてかがよふ       春日井建

 漢字を使わないと伝えられないような歌である。漢字がもろに効いている。

 感動には直接の感動と間接的(詩歌や絵画、報道から受けるような受動的な)感動があって、素材の違いによって感動の強度に差がでる。なぜなら、間接的な感動は作品を書いた、描いた、あるいは、作った人の表現を受けての感情であるから、直接的な生の感じとは違い、距離がでてしまう。それは、作者のフィルターを通したものを受けての感情であるので、感情の揺れの幅は作者には及ばない。
 
 間接的な感動の例として、絵画から受けたものを二つ挙げ、この感動を歌にしてみたことがある。

 森本草介は写実絵画の画家だ。彼の裸体画に感動を覚えた。(「写実絵画の新世紀 ホキ美術館」)の画集から。




なめらかな背は脱衣せり恥じらいの眩くまでにエロスこぼせり       拙歌

 アントワーヌ・シャントルイユはバルビゾン派と称される画家である。この絵は「そごう美術館」に展示された。



アントワーヌ・シャントルイユ描(か)く黄昏は日の落つるほど安息ぞ満つ  拙歌

この歌は歌会に提出したときのものだが、評価はほぼゼロ点に近かった。一行詩では絵などの感想を表現するのは難しい。以降、絵や写真を見た時の感動は、歌にするのは止めた。

 直接的であれ、間接的であれ、「いい歌」を作れない根本の理由は二つあると思う。一つは表現の技巧上の問題であり、もう一つは感性(外界からの刺激を受け止める受容側)の問題である。技巧上の問題は「いい作品」に数多く触れることで解決できそうだ。これは努力や訓練で何とかなるはずだ。だが、感性の問題は簡単ではない。訓練しようがないからだ。
 感性力を上げる方法は簡単ではなさそうだけれども、解はありそうに思える。感情は外界の刺激がもとになっているので、刺激をどう受け取るかによって、プロと素人に差が出ると思う。プロは、よく知られているように、彼らの育ちを知ると、彼らは少年・少女期にその芽生えを持っていることが分かる。彼らはスタート地点から違っている。だからといって、嘆いたりしないで、この課題に取り組んでみたい。感性力を磨くのだ。外界である自然や社会を真っすぐに、突っ込んで迫ればよいのでないか。自然をぼうっと見ないで、社会の出来事をよそ事としてしないで、心を寄せて迫ることがよいと思う。


無名の新人がなぜ、横浜市長に当選できたか

2021-09-27 | 市民運動
 まさか、こんなことが起きるなんて。

去る8月22日、横浜市長選挙で新人の山中竹春氏が当選した。菅首相の地元で、現職の林文子氏と有力候補の小此木八郎氏を破ったのだ。林氏と小此木氏はそれぞれ、自民党議員の支援を受けたが、自民党市連は分裂し自主投票に回わった。一方、山中氏は立憲民主党(以下、立憲)・共産党(以下、共産)・「市民の会」(後述)の支援を受けた。
選挙戦には8名が立候補した。そのうち6名が「カジノ誘致」に反対したため、争点となるはずの「カジノ誘致」は争点から薄れ、市民には誰に投票するかは難しい選択となった。カジノ誘致の2名のうち、林氏(前市長)は、「カジノ誘致」を推進していたが、選挙公報の「IR(カジノ)」の文字は小さかった。一方、6名のうち、田中康夫氏は元長野県知事、「横浜FMのDJ」として知られてはいるが、カジノ反対の立候補は唐突だった。松沢しげふみ氏も唐突で、元神奈川県知事だが、昔の知名度に頼った。小此木氏は元国務大臣であり、菅首相のバックアップを受けている。その彼が「カジノに反対する」と言ったため、自民党市連は賛否・二つに割れた。山中氏については市民のほとんどの人が最近まで、その名を知らなかった。山中氏にとっては、知名度のない中での闘いとなった。

【市民の会の立ち上げ】昨年、「カジノ誘致」反対する住民投票条例制定の請求運動を引っ張った「カジノの是非を決める横浜市民の会」は、いったん解消したが、運動を継承・発展させ、カジノ反対の市長誕生を目指して、この3月に「カジノ反対の市長を誕生させる横浜市民の会」(以下、「市民の会」、代表世話人・岡田尚弁護士)を起ち上げた。
市民の会は、その後、水面下で小林節氏(憲法学者)や真山勇一(立憲・参議院議員)を統一候補として模索したが、結論に至らなかった。市民の会には松沢氏を挙げる人達もいたようだが、松沢氏は維新の会の所属であり、その維新は大阪でカジノ誘致を積極的に進めていることから、候補にはなりえなかった。市民の会は、山中氏が市民の側に立ち、カジノ反対を掲げるのかどうか、懐疑的に見る人もいた。共産も当初、同様であったようだ。さらに市民の会に連帯する一部の市民団体には「山中氏はカジノに反対ではない」と断言する人や山中氏を統一候補とするのは危険であるという人もいた。

【立憲の独断専行】市長候補の選任が急がれる中、立憲は唐突に山中氏を引っ張ってきた。引っ張ったのは立憲の江田憲司氏(元・維新)である。江田氏は立憲・県連の最高顧問。山中氏が立候補を表明したときには、立憲や共産の議員には、「そんな人、知らないよ」との声が漏れたほどだ。6月下旬、山中氏の立候補会見には江田氏と阿部知子・衆議院議員(県連代表、東京大学の在学中は東大紛争の最盛期で、フロントに参加)も同席していた。市民の会としては、会と一緒に活動した人が市長候補には相応しいとしていたので、江田氏の独走は市民の会に衝撃を与えた。
そうしたこともあり、結果として、山中氏に対しては、共産は自主支援、立憲は推薦となった。共産が支援を決めたのは投票日のちょうど一か月前。共産党県委員会は山中氏側から推薦の要請は来ていないが、「このままでは(野党共闘の市長誕生の)チャンスを逃しかねない」と自主的に支援に踏み切った。
このあたりから、「市民の会」が一気に動き、選挙情勢は、序盤戦での「小此木先行」から、中盤の「山中・小此木」横一線、そして、終盤の「山中先行」へと変わっていった。

【支援態勢が共闘できなかった背景】立憲と共産が共闘できなかった背景には連合の存在がある。連合は過去、3回の市長選で林氏を支援してきたが、前言を翻した。連合は「立憲が共産と組むなら支援しないと」と立憲を脅し、共闘を拒否した。
「連合は第二組合、いわゆる御用組合の連合です。第二組合は労働組合とは名ばかり、労働組合を骨抜きにするために管理職が役員を務め、会社員から集めたお金で交流していますし、経営者の意のままに動きます」(労組を作ろうとして2回会社をクビになり、最近まで18年間連合の組合員だった人の証言)

【共闘態勢】このちぐはぐな選挙協力態勢に注文を付けたのが「市民の会」である。市民の会は、投票公示日が迫る中、立憲に対して「共産との共闘をどうするのか」と迫ったのだ。その結果、立憲が譲歩し、立憲・共産・市民の会の共同態勢がまとまった。また、市民の会は立憲との間で政策協定を結んだ。その内容が山中氏の選挙公報に反映されている。

【市長選の変遷】思い返せば、19年前、市長選で横浜市の市政の転換が図られるものと期待された。市長選は4期目を目指す現職(自民・公明・社民)と、前衆議院議員の中田宏の一騎討ちとなり、中田氏が民主党の一部からも非公式な支持を受け、当選した。これで横浜は変わるかに思えたが、実際は変わらなかった。中田氏は二期目、自民党、民主党、公明党の支持を受けたて当選したが、自ら推進した「開国博」で失敗し、任期途中で退任した。中田氏の政策で悪政の一つに思えるのが、中学校教科書の採択問題がある。中田氏は教育委員会の人選に介入し、結果として、歴史・公民の教科書を保守色の強い「育鵬社」版の教科書に変えたのである。市民の有志がこの教科書を正常に戻すために奮闘し、正常化するのに11年を要した。
 中田氏の後に市長についたのが林文子である。氏は民主党の推薦を受け、当選した(2009年)。しかし、市長就任後、次第に自民党寄りに変わった。氏は2期目の選挙では、自民と民主の推薦を受けた。三期目(2017年)の市長選では自民・公明の推薦を受けた。対する民進党(2016年に民主党と維新は合流し、民進党になった)は自主投票を選んだ。林氏は当選後、カジノ誘致を推進したが、選挙の前に「計画を白紙」とした。が、当選後、態度を一変し、再び計画を推進した。この時期、カジノに反対する市民有志は立憲に支援を要請したが、賛同したのは立憲議員、20名のうち数名の議員にとどまった。今回の選挙では、その立憲がカジノ反対に180度、舵を切った。が、今までの経緯から市民の会には立憲に対して不信感を持つものも多くいた。
 振り返ると、民主党には過去、何回も裏切られた感が否めない。

【新しい市政】新しい市長のもと、市政はどうなるのか。新市長の掲げる公約は市民の要求をくみ取っているので、実現すれば喜ばしい。その手腕が期待される。
 【公約】
① 敬老バスの自己負担ゼロ
② 子どもの医療費ゼロ
③ 出産費用ゼロ
④ 待機・保育児童の解消・病児保育の充実
⑤ 中学校給食の全員実施
⑥ デジタルを活用した市民参加・住民自治の確立
 
横浜市の役所においては、官僚組織が変わることを期待したい。これまで、官僚の上層部の人選には首相の側近が深く関与し、人選をチェックしていた。これを正して、官僚の中立化を実現してほしい。
議会では自民・公明で過半数を占めているため、予算案の執行や条例の制定には困難がつきまとう。9月定例議会が始まれば、自民・公明は山中氏に「いちゃもん」をつけ、新市長を揺さぶり、辞任に追い込む戦術をとることも十分に考えられる。行政経験を持たない山中氏に最初から手腕を求めるのはきつい。このため、市長を守り、議会内と議会外の市民が共闘し、支えるためにも連携が必要になる。自民・公明がおかしなことをすれば、そのことを、すぐさま、議会外へ伝え、市民が新市長を守る行動にでることが必要になる。三者共同の強力な支援態勢が急務である。

【国政転換の展望】市長選の結果は来たる総選挙の行方に影響する。未だ野党間の共闘態勢は作られていない。従来、国政選挙では立憲は共産に候補者を下ろせばいいと言い、票は出しても口は出すなと言っていた。最近では共産との関係は変化してきているが、連合に気を遣うのか、共闘には消極的である。候補者の調整は地方の組織にまかせ、選挙区ごとに行えばいいという範囲にとどめているかのように見える。政権の運営はあくまでも立憲のみが執り行うものだ、という考えは変わらないのであろう。だが、もう、そういう時代は過ぎ去り、立憲単独の政権を作るのは難しくなってきている。立憲は力(世論の支持・足腰の力)が足りないのに、政権構想の論議を避け、他の野党と共同する姿勢を見せない。総選挙は間近に迫っているのに、何をしているのだと言いたい。
市長選の教訓は、「市民と野党の共同」こそが、政権交代実現の政治的土台となることをはっきり示した。

新年の挨拶 2021年

2021-01-01 | 市民運動

 謹賀新年 

 去年、サンフランシスコ在住の娘が出産した。女房とサポートしたが、現地は大規模な山火事による空気質の悪化、コロナのための外出規制があり、家に閉じこもって過ごした。(写真は現地の民家の花)

【うれしかった】横浜の中学校の教科書採択では保守系教科書(育鵬社=安倍晋三が支援)が採択されなかった。11年の反対運動の成果。冤罪被害者救援会活動では、2件勝利した。(湖東記念病院人口呼器事件、あずみの里・傷害致死事件)。また、袴田事件は再審を認めぬ決定が取り消しになった。いつも、担当した検事と警察官は謝罪しない。誠実さに欠ける人々なのか組織なのか。ひどい。

【残念】安倍を力づくで引きずり下ろせなかった。【悔しい】コロナ禍で無実の無期懲役囚・守大助さんの支援がほとんどできなかった。【今年】大型選挙が3件。衆議院選挙と東京都議選、横浜市長選挙。がんばらねば。自民党政治を変えよう。

【抱負】「一歩前へ、一段上へ」

【日常】地元の後援会ニュースの編集で今年も忙しい。

 あす死ぬともし言はれなば韻律の渦の真中に消えんといはむ   稲葉京子

 

【歌意】もう、先がない。それならば、短歌の世界で身をもまれるともそれを糧に生きてゆこう

 

 良いお年を


にっぽん丸 2021年1月

2020-12-28 | エッセイ

みなとみらい地区から国際大通りを山下公園に向かって歩き、ちょうど「万葉の湯」がある所を左に折れると、目の前に新港ふ頭が広がる。8月、まだ、夜が明けきらないうちにそこを訪れた。ふ頭の桟橋には「にっぽん丸」が停泊していた。

船体は黒い塊となって姿を見せ、船を飾る電飾がきらめく。さらに岸壁沿いを歩いていくと、前方にさらに大きな客船「飛鳥Ⅱ」が見えてくる。

こちらもまだ暗い中、全体は電飾の灯りと一体となって霞んでいる▼ちなみに、にっぽん丸は全長145mの外航クルーズ客船、飛鳥Ⅱは全長が241mの外航クルーズ客船である。両船ともコロナの影響か、ながい間、修繕を兼ね停泊していたが、最近、両船とも運航を再開した。明けない夜はない。今年こそ、良い年に。