アナフィラキシーで使う薬と言えば?
と聞くと、研修医の先生からは良く、ステロイド!と返ってくる。
そうだね、ステロイドは使うけれど、一番大事なのはアドレナリンだよ。
これを使うのはABCDの患者さんだよね、などと話をしてアナフィラキシーの臨床は進んでいく。
Ann Emerg Med. 2015 Oct;66(4):381-9. doi: 10.1016/j.annemergmed.2015.03.003. Epub 2015 Mar 25.
Emergency Department Corticosteroid Use for Allergy or Anaphylaxis Is Not Associated With Decreased Relapses.
Grunau BE, et al.
ステロイドは使用に対するエビデンスは欠如しているにも関わらず、アレルギー反応で救急外来に搬送された患者のセカンドアタック予防目的で使用される。
2都市の救急外来に5年間で来院したアレルギー関連患者を調べ、アナフィラキシーとアレルギー反応に分類した。プライマリアウトカムはステロイド使用の可否に関わらず、アレルギー関連で7日以内に救急外来を再受診する事ととした。セカンダリアウトカムは臨床的に重要な2相性の反応と死亡とした。
473人のアナフィラキシーを含む2701人が救急外来に搬送された。48%はステロイドが投与された。救急外来の際受診はステロイド使用群で5.8%、ステロイド非使用群で6.7%(OR 0.91)であり、NNTは176であった。死亡はなかった。
結論として、アレルギーやアナフィラキシーで救急外来を受診した患者に対してステロイドを投与する事は7日以内の追加治療と関係性は乏しい。
基本的に、Sampson分類でGrade4以上の患者では2ndアタックに対する対応が必要とされており、監視目的での入院が推奨される。
最も重要な治療はアドレナリンであり、アドレナリンの投与が遅れると死亡率が上がる事は報告されています。ただ、アドレナリンを投与する、しないのRCTは倫理的に組むことが出来ず、明確なエビデンスではありません。
では、ステロイドはどうか。
J Allergy Clin Immunol Pract. 2014 May-Jun;2(3):281-7
この論文では541人のアナフィラキシーのうち、21人に2ndアタックが起こり、2ndアタックのなかった群の85%はステロイド投与を受けており、2ndアタックを起こした群の100%がステロイド投与を受けていた、となっている。
Ann Allergy Asthma Immunol. 2007 Jan;98(1):64-9.
この論文では20例の2ndアタックを起こした症例を検討しており、2ndアタックを起こさなかった群の55%がステロイド投与を受けていた一方で2ndアタックを起こした群では35%しかステロイド投与を受けていなかった、としている。
ステロイド投与は有効と信じている人たちと無効と信じている人たちの戦いのようになっている。
今後もステロイド投与をするかどうか。
短期投与なんで、副作用もそんなにある訳ではないけれど。。。