いろんなことがありすぎて

今日の昼　ちょっと木陰を歩いたら
セミと虫の鳴き声がせめぎ合っていた
秋と夏　どちらに行くこともできずとどまっている時間
今の私の　気持ちのように・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

とうとうグループホームの担当があと二回になった
ご利用者さんの顔を見る時の　自分の気持ちが動揺している
私がいなくなったら　
この人たちの心のこの辺りを支えていた部分はどうなっちゃうんだろう
二年間　私なりに私の心のこの場所で　彼らを支えていた自負がある
ぎゅっと強く握るてとか　投げかけられる視線とか
私が受け止めてきた彼らのその部分を私は愛してきた
とても「やめる」なんて言えない自分がいる

でも　ふと思う
それは　私のおごりで
私がいなくなっても　彼らは生きていくわけだし
心の居場所を求めていくだろう
流れるように　時も心も流れていくのだ

ただ小さな後悔があるとすれば
それは　私の自信のなさ
もう少し自信があれば　もっと構えて
やめることなく　ここにとどまれたのにと思う

いつか　この場所に戻りたい
ここの人たちが
Ａ君がＹちゃんが　ＫさんがＳさんが
ＨちゃんがＩちゃんが好きだから

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

長男が北海道から戻るらしい
いろんな勉強をしているのかな
先日一時帰京していつかは　一人事業主になりたいと語った
小さな夢を持ったみたいだ

娘はとてもしなやかな女性になった
いつもたおやかに流れるように生きている
流れるようだけれど　いつも流れる先を見据えている

次男が長らくのバイトを辞めて
とりあえず契約社員から正社員への道を歩き出す
まだなんとなく　心もとないけれど・・・
うん　彼なりのステップをゆっくりと踏んでいる


私は彼らの最強のサポーターだって　思っている
いつだって　応援して　いつだって愛している

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

一番最初にヘルパーをやらせてもらったＨさんの訃報を知った
４年間ヘルパーをしたが最後は施設に入ることとなり私の務めは終わったのだった
別れに涙してしまった私に「思い出さずに　忘れましょう」と　
私の目を見て話してくださった・・・なんて　気丈な方なんだろうと思った
その別れは昨年末だった

その三か月後　彼女はこの世を去ったのだった

女々しい私は　誰かと別れる時は必ず
忘れないでね　時折は思い出してねと思ってしまう

本当はその思いを胸にいっぱい持ちながらも
彼女は前に進むために「思い出さず忘れましょう」といったのだろう

今でも　彼女といろいろなことを話したことを思い出す
思いを寄せ合っていた人が戦場でなくなったこと
離婚する原因となったお舅様とのこと
ある信仰をお持ちで　それについて話してくださったこと

ご利用者様で　私の家族の写真などをみてもらったのは彼女だけだ
子供もお孫さんもいない彼女は　私の家族の写真を喜んで見てくれた

訃報を知ったのは夏のはじめだったけれど
なぜか　今日　彼女を思い出して　なんかせつなくなってしまった

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

友人の娘さんが亡くなった
長男と同じ年だから26歳
彼女の人生を思うとつらくて　胸が痛くなる
小学校の高学年から拒食が始まり
何度もドクターストップで入院を繰り返した
その病床の壮絶さを　母である友人から聞いてきた
複雑な家庭で　いろいろなしわ寄せが彼女にいったのだろう
夫との確執　もう一人の障害のある娘のこと　などなど・・・
母としてそのことに罪悪感を感じながらも　意地を張って
すべてを捨てて　家を出た友人・・・

そして　結果として　はなちゃんは逝った
葬儀もなく　訪れる人も少なく　
火葬場でひっそりと荼毘にふされる日をまっているはなちゃん
あまりに悲しくて　つらい

明日私は　ひとりではなちゃんに会えないという彼女に付き添おうと思う


母として許されることではなかった
でも　あえて私は彼女の側に　今　立とうと思う


言葉に出さなくても　彼女は娘に申し訳ないと思っている
彼女が　家族を捨てて家を出た時
多くの共通の仲間が　そんな母としての彼女を批判した
私ともう一人の友人だけが　彼女の話を聞く相手となった
ある一面から見れば　ひどい母親と言われても仕方なかった
でも彼女の側から考えれば　「すてた」ことは
致し方ないことだと認める人がいなければならなかった

あした　私は　はなちゃんと友人の再会を見届けよう
友人のつらさを　はなちゃんの無念さを
いや　うんとかわいがりたかった気持ち　うんと甘えたかった気持ち
そのふたつの気持ちに寄り添ってこようと思う