六角オセロ & 右・石田流 & 目くらまし戦法

六角オセロ と 六角碁 と 将棋の浮き飛車めくらまし戦法 の考案者です

ポップコーンをほうばって♪

2021-03-24 09:07:42 | Weblog
SF傷だらけの天使 19話



「兄貴、芋が無くなっちゃったよ」
「明日の朝、また調達に行こう」
「うん、そうだね」
「兄貴、ここは歩道が無いので怖いねえ」
「そうだなあ」
白いジープが前方の路肩に止まった。
「よう子ちゃん、何してるの?」
「犬丸さ~~ん、仕事の帰りよ」
「仕事って?」
「このリアカーで、石焼き芋を売ってるの」
「へ~~~え、で、ドームハウスまで運んでるんだ?」
「そうなの~~」
「じゃあ、引っ張ってあげるよ」
「ええ、いいの?」
「お安い御用で、まかしんしゃい、まかしんしゃい!」
福岡弁だった。
ショーケンは挨拶した。
「はじめまして、あたらしくドームハウスに来た、八番の萩原健一です。よろしくおねがいします」
「一番の犬丸勝です。よろしく!」
「悪いわねえ、犬丸さん」
「そんなことは、気にせんで、よかたい」
「ありがとう」
「萩原健一さんって、ショーケンと同じ名前。顔も似てるし、ひょっとして本物?」
「はい、ショーケンです」
「ええ~~~、そうなの!びっくり!なんで、こんなところに?」
「程塚さんに会いにね・・」
人の心が読める彼は、それ以上のことは尋ねなかった。
「甲斐バンドの薬師寺ライブを見て来たんですよ」
「薬師寺でですか。そいつは凄いなあ~~。甲斐、頑張ってるなあ~~」


三人は、彼の御蔭で楽ちんでドームハウスまで帰ることができた。
「犬丸さん、どうもありがとう!」
彼は「まだちょっと、他に用があるんだ」と言って去って行った。
直観力のあるアキラが尋ねた。
「あの人、普通の人じゃないでしょう?」
「超能力者です、どうして分かりました?」
「目を見れば分かるんですよ」
「人の心が読める超能力者です」
ショーケンが言った。
「アキラも読めるんですよ」
「だから分かったんですね」
ショーケンは、よう子に頭を下げた。
「よう子ちゃん、今日はどうもありがとう。今日の給金、二万五千円です」
「うわ~~あ、こんなに頂いちゃっていいんですか?」
「よう子ちゃんがいなかったら、こんなには売れなかったから」
「どうもありがとうございます。明日も頑張りま~~す」
「明日は、九時に出かける」
「じゃあ、お弁当を作ってきてあげるわ」
「そんなの、悪いよ」
「じゃあ、二人分、千円で」
「千円、安いねえ~~、じゃあ頼みます」


篠原英子が、公園のベンチで泣いていた。よう子は声をかけた。
「ひでちゃん、どうしたの?」
「なんでもない」
「何でも言ってよ」
「なんでもないの~~~!」
「ほんとにどうしたの?」
英子は泣き出した。
「面接に行ったら、病人は要らないって言われたの」
「それはひどいわ~~」
「くやしくって!」
「詳しく話して」
「聞いてくれる?」
「もちろんよ」
「家に帰って泣いてると、お母さんを心配させるから、ここで泣いてたの」
ショーケンも英子の話を聞いていた。
「ひでちゃん、ひでちゃんの大好きな甲斐バンドの歌を歌ってあげるから、元気を出しなよ」
「えっ、ショーケンさんが、甲斐くんの歌を?」
「ポップコーンをほうばって、しか知らないけどね」
「わたしの大好きな歌」「知ってるよ」「歌って~~」
ショーケンは歌いだした。
英子も歌いだした。

僕らは飛べない鳥じゃあなかったはず♪ 翼を広げたら きっと飛べたんだ♪

英子は元気になってきた。

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12甲斐バンド LIVE in 薬師寺 ポップコーンをほうばって

空戦・袖飛車 & 空戦・石田流



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