第2の青春時代 My70's

日常生活の楽しみ

『3千枚の金貨』 宮本 輝

2017-03-23 11:06:16 | 日記
宮本輝は好きな作家の1人です。

『流転の海』シリーズはとても楽しみにしています。

この本は2010年に出版された上下2巻です。

文具会社に勤務する主人公が入院中に病院のロビーで

余命いくばくもない男性から3000枚の金貨を和歌山県の桜の木の下に埋めたと

言われる。「見つけられたらどうぞ差し上げる」と。

そこから物語が始まり男性の生い立ちやその後の人生等を、

主人公とその友人が知り、金貨の埋蔵場所を突き止める。

亡くなった男性が幼いころ孤児となり

すさまじい虐待を受けて育った。

この男性のその後の人生がとても興味深い物語です。

同時に主人公の穏やかで紳士的なところも魅力です。

推理小説の様な要素があり、読みやすい本でした。


『いちばん長い夜に』 乃南 アサ

2017-03-20 14:23:01 | 日記




この小説はテレビドラマにもなりましたが、

『いつか陽のあたる場所で』と『すれ違う背中を』の完結編です。

刑務所で親しくなった女性二人の出所後の生活が書かれています。

女子大生で強盗で服役7年の芭子と,12歳年長で家庭内暴力に耐えられず

夫殺人で5年服役した綾香の二人が主人公です。

細々と人目を避け、身寄りもなく二人だけで日々を過ごしていました。

前作までで色々な事がおきます。

そして本作ではやっと7年経ち少しずつ生活していけるようになった時に、

東日本大震災が起きます。芭子は綾香の生活していた仙台に行って、

彼女の子供の行方を捜していた時に地震に遭遇します。

沢山の犠牲者が出て、ボランティアに毎週参加していた綾香は、

自分の罪の重さを改めて感じるのです。

人間の命の重さをです。

そして改めて一生償いの人生を送ることを決意するのです。

あとがきで作者も取材で東日本大震災の時仙台にいて、

その経験をそのまま小説にしたそうです。

この二人のこれからのが気になります。

これが完結編ですが、是非又書いて欲しいと思う本です。

映画 『家族の肖像』

2017-03-04 15:08:02 | 日記
デジタル完全復旧版が岩波ホールで上映されていたので、

見に行きました。

お茶の水から徒歩で行きましたが、完全に迷い2度ほど人に尋ねて結構歩き、

やっとたどり着きました。

監督がかの有名なルキノ・ヴィスコンティだけに、満席に近い状態でした。

映画はローマで優雅に名画と共に暮らす教授のもとに家を貸してほしいとやって来た、

ファシズムの指導者夫人、娘、息子、夫人の愛人。

そこから許可もなく部屋の改装をしたり、食事の招待を反故にしたり、

一人でさびしくも静かな暮らしをしていた教授の生活が乱されてしまう。

私にとってはよく判らない映画でした。

そしてなんと途中で眠くなって寝てしまいました。(ごめん)

大好きな映画を見ていて寝たのは初めてでした。

監督が体が不自由で部屋の中の撮影だけでできる映画にしたそうです。

何だか暗く名画の良さも判らず、バート・ランカスターがウロウロ迷う場面ばかりで、

こちらがストレスを感じてしまいました。

名画と言われるものは、深いのでしょうかね。


岩波ホール 公式サイトより