2039年へのカウントダウン!2

人類滅亡の年という2039年まで思い出の食や未邦訳の文献で不定期にカウントダウンする!!

ある合理的な企業に憑依した便所霊

2011-12-08 01:12:02 | Weblog
さる企業重役より伺った話。
ある合理主義的経営で躍進を続けていたコンサルティング会社で、将来の社長候補とも目されていた事業部長がある日、会社の中をさらに合理化するために自身の打ち合わせ卓を備えたオフィスを見てこうつぶやいたという。
「これなら俺はトイレに行くために移動しなくてはならないじゃないか・・」
そこから事業部長の狂気が始まった。
まず事業部長は自身の業務用エリアを12台の小便器と6台のウォシュレット付大便器が備わった共同便所中央に移転させることを指示した。一部の企画部門の社員は事業部長がおかしくなったことを直感したが、多くの社員は自身のディスプレイを覗きこむ人間が一人減ることに満足し、また、上司の合理的判断であると考えて、この指示に従った。
レンタルのオフィスビルへの強硬な工事を伴って、部長はついにトイレ中央にデスクを構え、自身の大小便の為にトイレに行くことはなくなり、さらに部下たちが大小便に来るごとに、親愛の情を感じさせることを目的として積極的なコミュニケーションをとるようになった。副次的な効果として、仕事をサボる目的でトイレにこもる社員も一掃された。
この部長の次なる目標は、コスト削減のための各社員のトイレ利用回数低減と自身の部の営業成績向上だった。
まず12台の小便器は4台まで削減、大便器は2台とし自身はそのうちの1台に腰かけて業務を開始した。そしてトイレの壁には、「ウンチはお客様先でしよう!」と積極的に営業活動するよう促すビラが貼られた。
しかしあまりにもトイレにこだわり過ぎたために、そしてトイレが権力のシンボルと化したために、この部署ではトイレに行くことが恐怖となり、便秘となる社員、膀胱炎を発症する社員が続出した。
ある日、部長の椅子替わりにしていた便器にタール状の糞便が残されている事件が発生した。明らかにトイレに間に合わなかった社員によるものだった。部長は自身の便器が汚されたことに腹を立て、外出もせず遂にオフィスに立てこもるようになったという。
早朝、出社した社員が、部長が全裸でトイレの水で体を洗う姿を目撃するようになり、その異常性は遂に衆目の知れるところとなり、部長は停職処分となり、数か月後、辞表を提出したという。
「あんなに合理的だった人がどうしたんだろう?」多くの社員は不審に思い、原因は便所に何か霊的なものがいたからではないかとか、トイレに何かこの会社の秘密のカギがあったのではないかなど憶測を呼んだが、未だに原因不明のままという。しかし社員に一時的にせよ、強制された便所カルチャーは、家庭でも発揮され、その企業に勤める社員の子息の多くが友人宅または学校や塾で大便をする習慣ができていたのだそうだ。