完走報告 行方祐美

今年も完走できました。
ありがとうございました。

100:終 行方祐美

終りとはきっと愉快さ今すぐに君の前から消えたとしても

099:茶 行方祐美

くれないに千日紅のひらくなり工芸茶ゆるりと夜のポットに

098:ベッド 行方祐美

ベッドサイド斜めに腰掛けいつの朝も君は語りき病気の未来

097:話 行方祐美

話など無いのですからしわくちゃな私にしたのは貴方ですから

096:模様 行方祐美

どようびは花柄模様の傘を差すモネの絵葉書出すために差す

095:裏 行方祐美

裏木戸を開けておきます一葉やみすずに似合うてがみ言葉は

094:社会 行方祐美

社会学の教授の声は何色と春にちようのメールに問われ

093:祝 行方祐美

祝賀会にいつでも湯気を生んでいた煮込みビーフのレシピ知らぬか

092:ホテル 行方祐美

ホテルマンは白く立ちいつ南国の朝しずかな海と向き合い

091:命 行方祐美

命令は雨より寒しユーモアは創るものだと言ってしまえば

090:質問 行方祐美

質問とてのひらわれに向けたなら勝てるときっと思っているな

089:こころ 行方祐美

漱石の「こころ」は夏の読み物と決めて一人は逝ってしまえり

088:暗 行方祐美

恐竜の影の動ける暗室は引っ越ししてもやっぱり二階

087:テープ 行方祐美

セロテープの好きな五月の少年よあたらしく創れ明日の言葉は