インタビュー “ren-ren九十九里” アーティストの横顔

九十九里エリアで芸術、芸能分野のユニークな活動をしている人々の横顔をインタビュー。公演取材記事も。

◆インタービュー◆ 音楽家 KATSUさん(東金市で定期公演)

2007年03月28日 | インタビュー

美術家の宮下昌也さんのライブペインティングでギリシャの弦楽器・ブズーキなどを演奏されているKATSUさん。美しい色彩が放たれるキャンバスの傍らで彼が奏でる音色と響きには心を揺り動かされます。カフェ「ルバーブ」(東金市)で毎年春に公演を開き、心の琴線に触れる音楽を人々に与えてくれる彼の横顔に迫ってみました。
「十代後半、ロックに熱中し、以来ずっと音楽に携わってきました。現在、音楽を通じ、人はそれぞれの違いを超え、心を通わせることができるのではないかと考え、各地で様々なコンサート活動を展開しています」KATSUさんはそう語ります。
今回のライブ(2007.3.23)で彼は民族楽器演奏の他、東ティモールのお祭りソングとでもいうべき曲に歌詞をつけた「絆」、ロック風日本民謡「こきりこ節」などをギターで歌い上げました。神聖なネイティブアメリカンの詩の朗読では、聞き手の心を打ちました。最後は鳴り物の民族楽器を観客全員に配り、一緒に合奏。場をひとつにして盛り上げました。
宮下さんのペインティングと音との絡みについてたずねてみると、「そのへんは阿吽の呼吸ですね。ずっと絵を見ながら、演奏しているわけではありませんから。打ち合わせで決めたライブの構成が大幅に変わることはありません。ですが、宮下さんの刷毛の音が音楽に聞こえてくることもあり、それが音に影響していくということはあると思います」
――アーティストがとらえる音の世界では、私たちが気に留めない音にまでもイメージが与えられ、豊かな音色の源になるのかもしれません。

*2005年、2006年の公演ではグループKURI(KATSU&MIHO)として宮下さんとコラボ。今回MIHOさんがアイルランドでの演奏活動のため、KATSUさん単独での演奏となった。

〔プロフィール〕
ギリシャの弦楽器・ブズーキなど様々な民族楽器の音色や響きを取り入れた独自の音の世界を作り出す音の旅人。2000年ヨーロッパ5カ国横断ツアー、2003年フィリピン北部山岳地域ツアー、2005年愛・地球博出演、2006年国連60周年・別府国際平和映画祭出演など国内外にて活動。 グループKURIとして「風の舞」「遠い記憶」の2枚のCDを制作。オムニバスCD「しおのみち」にも参加。



◆インタビュー◆ 美術家 宮下昌也さん (東金市で定期公演)

2007年03月28日 | インタビュー

東金市のカフェ「ルバーブ」で毎年、ライブペインティングをされている宮下昌也さん。今回の「精霊の歌 ライブペインティング」(2007.3.23)では、大きな丸い月をバックに次々と現れる精霊たちを色彩豊かに表現されました。KATSUさんの弦楽器の音色と共に物語性のある絵をキャンバスに繰り広げていく様相は人々に夢見のような深い感動を与えます。宮下さんにとってライブペインティングというのは、どういったものなのでしょう。そのあたりについてたずねてみました。
「初めは音楽に合わせて全て即興でやるライブをやっていました。前もって何も考えない、おもむくまま、バトルのような感じで」。けれど次第に自分だけが気持ちよくなってしまうようなライブに疑問を感じ、試行錯誤の末、現在のようなテーマが明確な「最後に着地する」絵を描くライブになっていったとその過程を話されます。
ライブペインティングの即興性についてはこう語ります。「すべてが予定調和のように固定されたものでもありません。『音色』ってよく言いますけど、音から影響を受けてその場その場で出てくる色があります。来ている人たちの影響を受けて出てくる色もあります。今はテーマをしっかり保ちながら、シンクロしてくる様々な不確定要素を絡めるライブペインティングにしています」
観客からの質問にも丁寧に答える宮下さん。「どうして静止した形で見せる絵画だけでなくライブもやるようになったのか」についてはこう答えられます。「一人でずっと描いていると、どうしてもマンネリ化する部分があるのです。ライブというのは時間などの様々な制約があります。ですからライブをやることによって、今までになかったパターンを発見することができるのです」――日々、新しい作風を展開していこうとする宮下さんのアートに対する姿勢が感じられる回答でした。

〔プロフィール〕
3歳より絵を描き始めて20歳より展覧会で作品発表を始める。20代のアジア放浪後、1990年に南房総に移住。その後、美術家としての活動を本格的に開始。イラスト、クラフト、デザイン、壁画、ライブペインティング等、多岐にわたって活動中。個展、グループ展、イベントへの参加展示多数。東京芸大デザイン科卒。著書に「なつみかんの きの はなし」(こどものくに・鈴木出版)


◆インタビュー◆ 版画家 日詰満博さん(東金市・家徳在住)

2007年03月19日 | インタビュー

3月18日(日)、ステンシル版画家・日詰満博さんの画廊(東金市・家徳)で、お話をうかがわせていただいた。「ステンシル」とは切り抜いた型紙の上から、切り抜いた部分にスポンジや刷毛で色をつける手法。ローラーを使って色塗りするが、乾かしては塗り、乾かしては塗る作業は根気を必要とする。「東京芸大・版画科で聴講生として学んだ後、1985年にステンシル版画を始めた」と気さくにお話をしてくださる日詰さんだが、試行錯誤しながら、コツコツと芸術活動を続けてきた情熱も同時に伝わってくる。上野の森美術館での<日本の自然を描く展>で2005年に「八鶴館」、2006年に「白川郷」が入選した。作品は鴨川の「大山千枚田」、御宿の「月の砂漠」など千葉の風景をテーマにしたものも多い。現在、「八鶴亭」を制作中。作品の値段は、手間やサイズにより異なるが、千円ぐらいから5万円くらい。スペースがない、それほどお金をかけられないという人でも飾れる小さなサイズの版画もある。画廊は土・日曜のみ受付(要予約 電話・FAX 0475-58-6723)。8月には東金サンピア・アートギャラリーで「第4回芸夢・夏の6人展」を予定している。