楽山人日記

『ひたち楽山会』会員の日記です。登山・里山歩き・キノコ山菜・釣り・酒など活発に楽しむ会の会員の一言多い日記です。

山男の料理 プロローグ

2011-04-07 17:54:32 | Weblog
                      山男の料理         中さん

 楽山会が山登りに行く時は、必ず料理道具一式が車のトランクに乗せられる。そのトランクにはコンテナが二個、
大鍋から小鍋、フライパン、食器人数分、俎板、包丁、お玉、網お玉、バーナー類等‥、もう一個のコンテナには
味噌、塩、醤油、油、出汁、味醂、砂糖、酒、鰹節等‥。娘を嫁に出す時の料理用具充実よりも優れているかもし
れない。
 日本、西洋、中華料理なんでもござれの「山男の料理」なのである。

              プロローグ:岩魚の骨酒を超えて

 那須の山行きは毎年の恒例で、那須連峰の一部を縦走し、ホームページ管理人山ちゃんの山荘へ一泊となる。
この年は山登りの後に岩魚を釣ることになった。冷たい川へ入り3時間、上流へと遡上しながらも釣れない。
釣れたのは言い出しっぺの「うっちゃん」だけの超小型岩魚と普通より小さい岩魚。五人の目が岩魚に集中する。
別荘で骨酒を堪能する筈だった。

 小振りのスパーマーケットに行く。還暦越えの我々には肉は重すぎる、豆腐三丁、野菜はほうれん草、魚に目
をやる。
「丁度旨い秋刀魚あるよ」
「よし、五匹ね、それから大根、カボスあるかな」
「カボスは丁度切らしてるな、申しわけない」
「鮭の中辛6本と明太子それ、・・うん」
 
 山荘に付いて、まずは乾杯!
 「うっちゃん」は秋刀魚係、「ますさん」と「こびちゃん」は大根の皮剥きと大根すりおろし係、「やまちゃん」は
山荘チェック係、俺は薬缶と中鍋にお湯を沸かす。これが俺たちの分担。
 二匹のちっぽけな岩魚の腹腸を取り出し、きれいに洗い更に載せ塩をふる。
 外の七輪から炭の焼ける臭いがして、山荘が息を吹き返し我々を向かい入れて呉れるようだ。俺は豆腐を良い加減に切り、
ねぎを切り、皿に盛った豆腐の上にねぎ、鰹節を山ほど掛けテーブルへ載せる。小皿、すり生姜、醤油が用意され、外の
「うっちゃんへ」へ運ぼうと誰ともなしに運ばれる。直ぐにほうれん草が茹であがり、立ち上がった俺は、山荘の冷たい水」
の中にほうれん草を入れ、グーット絞る。胡麻ダレを作り、添える。山ちゃんの洗った米が炊飯器からフーと立ち上がる。
 これで今晩の段取りは完了。

 大根おろし添え秋刀魚、胡麻添えほうれん草でビール、焼酎を頂く。途中明太子に行きそうになる「こびちゃん」に
「それは明日の握り飯の具材」と教える。

 儀式が始まる

火の付いた七輪の上のきれいに洗った焼網の上に二匹の岩魚を載せる。
十個の目が岩魚を見つめる。
焼きあがる。
「うっちゃん」と「こびちゃん」が大きい岩魚の身を食べる。
「ますさん」と「やまちゃん」が小さい岩魚の身を食べる。
骨に付いた身の状況を俺が調べ、頭を落とし七輪に載せる。
小鍋に酒を注ぎ、焼きあがるのを待つ。
焼きあがった岩魚の骨の臭いを嗅ぎその香ばしさに圧倒される。
小鍋を七輪に掛ける。山荘の周りは香ばしさと酒の匂い、そして岩魚の骨を温まった酒にを入れる。
「うっちゃん」に茶碗へ小分けして渡す。「旨い」という。
小鍋を回す。「こびちゃん」も「旨い」という。「やまちゃん」「ますさん」も「旨い」。鍋の中に骨酒がほんの少し、
無いに等しい。「ばかやろう・・・・」

中ちゃんの骨酒が無いようだから秋刀魚の骨酒を作ろう、ということになった。一番多く飲んだ「こびちゃん」からの提案
だった。
 七輪に秋刀魚の骨を載せる。
 こんがりと焼く。
 酒を七輪にのせ、温める。
 骨を入れる。
 酒を再度温める。

 俺は茶碗に小分けし、飲んだ。
 美味しい、旨い。

 皆 で飲んだ、旨かった。
 秋刀魚の骨酒を更に作った。

 岩魚、岩魚の骨酒さんよ
 秋刀魚・秋刀魚の屁で飛ばす、ようい、ようい、デッカンショ
 
 那須の山荘でのほろ酔いパーティは空の中に吸い込まれてゆく。

「こびちゃん」の秋刀魚骨酒は「飲んベル―賞ものだなや」の大笑いが
更に那須高原の夜空に響きわたる。


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