ある本の中に商社マンの覚え書きのメモが紹介されていた。それは、「東欧との取引上注意すべき点」と題するもので、彼が自分の体験と苦労に基づいて記した、後任者へのアドバイスである。発展途上国との関係で心すべき大切な教えが含まれていた。その中に「彼らは困難に耐え、家庭を守り、国づくりをしているわけで、いたずらに派手な言動、買い物は、彼らの前では慎むべきだろう」と言ったくだりがあった。一般の観光客にとっても大切な心がけといえる点だと思う。
そして、筆者は次のように続ける。「私たちは経済大国、経済大国といい暮らしをしている内に、いつの間にか、カネの多少で人物や国家を測る、情けない成金根性が染みついてしまった。しかし、たとえ、ある国が経済的な困難を抱えていたとしても、だからこそかえって、その困難に打ち勝とうとする、高貴な魂も、生きている誇りも、その国ごとにある。豊かな歴史や伝統、文化もある。その肝心なところに無関心で、貧しい国の人達を前に「安い」「安い」を連発して札びらを切り、これ見よがしに買いまくったらどうなるか。・・・
自分の身に振り返って考えて見ると、この様な気持ちが全くなかったと言えるだろうか。あるフィリピンの貧しい家庭を訪問したときの事を思い出した。ほとんど家財道具などない小さな借家に11人もの家族で暮らしていた。なんでこんなに貧しいのかと半ば怒りのような感情も感じたが、それは私の身勝手な思いでしかなく、会社と家の往復で一日が終わってしまう私の生活などよりずっと幸せに暮らしているのではないかといった思いが強く湧いてきた。その時の姉妹が仲良くはしゃいでいた笑顔が懐かしい。また会えるだろうか。
そして、筆者は次のように続ける。「私たちは経済大国、経済大国といい暮らしをしている内に、いつの間にか、カネの多少で人物や国家を測る、情けない成金根性が染みついてしまった。しかし、たとえ、ある国が経済的な困難を抱えていたとしても、だからこそかえって、その困難に打ち勝とうとする、高貴な魂も、生きている誇りも、その国ごとにある。豊かな歴史や伝統、文化もある。その肝心なところに無関心で、貧しい国の人達を前に「安い」「安い」を連発して札びらを切り、これ見よがしに買いまくったらどうなるか。・・・
自分の身に振り返って考えて見ると、この様な気持ちが全くなかったと言えるだろうか。あるフィリピンの貧しい家庭を訪問したときの事を思い出した。ほとんど家財道具などない小さな借家に11人もの家族で暮らしていた。なんでこんなに貧しいのかと半ば怒りのような感情も感じたが、それは私の身勝手な思いでしかなく、会社と家の往復で一日が終わってしまう私の生活などよりずっと幸せに暮らしているのではないかといった思いが強く湧いてきた。その時の姉妹が仲良くはしゃいでいた笑顔が懐かしい。また会えるだろうか。