†意識の記録† 理解のブログ

私の私の視点による私の経験の記録。私の視点で見る限り誤りのない認識で記事を書いている。一切の苦情は受け付けない。

気象庁のスーパーコンピュータ

2024-02-22 23:59:59 | Diary
こんばんは。

先日、気象庁のスーパーコンピュータが更新された、という記事を目にしました。
何年か毎に見る記事ですが、最近は特にその性能向上が著しいと感じています。

少し気になったので、公表されている情報から、過去の気象庁のコンピュータの性能向上の歴史を調べました。

先に結果を貼ります。

参考に、スーパーコンピュータ「京」と「富岳」も載せました。

縦軸は対数でとっており、1マス上に行くと性能が 10 倍になります。
ですので、概ね 5 年毎に性能 10 倍のコンピュータに入れ替えている、という形ですね。
最近の 2 機種に関しては、それぞれ、京と富岳の民生用バージョンを導入しているようです。


コンピュータの計算能力ですが、 FLOPS (フロップス)という単位で表します。
ざっくり言えば、1秒間に何回計算できますか?という単位です。
先ほどのグラフの縦軸は MFLOPS (メガフロップス)なので、 100 万回毎秒が単位ということになりますね。

まあ、コンピュータなんだから計算早くて当たり前という気もしますけれど、それにしても物凄く速い。
「京」は、1秒間に1京回の計算ができる、というところから名付けられたわけですが、これを数字で書くと、 10000000000000000 回毎秒ということになります。
最新の気象庁のスーパーコンピュータは、更にその 3 倍計算できますし、日本最速の富岳に至っては、その 44 倍の計算ができます。

ちなみに、皆さんが使っているパソコンの計算速度はどのくらいなのか?と気になると思います。
最新で高価なゲーミングパソコンに入っている GeForce RTX4090 の理論上の最高速度が 1.29TFLOPS (by Wikipedia) らしいです。
数字で書くと、 1290000000000 回毎秒です。結構速いですが、富岳とは 5 桁も違いますね。


気象庁がどうして、このように超高速のコンピュータを必要としているのでしょうか?
それは、もちろん天気予報の為です。

つい昔まで、天気予報と言ったら、せいぜい朝昼晩で、地域も主要都市の真ん中ぐらいしかサポートされていませんでしたね。
でも、今は、数時間毎の天気の移り変わり、気温、降水確率が出ていますし、自分の住んでいる細かい地域によって、天気予報が出ています。

例えば、世界を一辺 100km の四角形(大凡、県の単位)で区切っていって、そのそれぞれについて、朝昼晩の天気を予報していたとしましょう。
これを、一辺 10km (大凡、市の単位)に、天気を 4 時間毎にするとしたら、計算能力は何倍になるでしょう?
単純計算ですが、 200 倍です。
こういうことを、実際に気象庁は行っていて、現在の予報精度は一辺 5km だそうです。今回の更新でこれが 2km 毎になると言いますから、ほぼ町内会レベルの予報が見えてきていると言っても過言ではないでしょう。

更に、予報の間隔が狭くなるということは、突発的な事象への対処能力が向上するということです。
最近、線状降水帯による大雨被害がたびたび報じられているのはご存じかと思います。
こういった事態に対処する為には、数十分単位での、そして非常に狭い範囲での未来予測が必要になってくるわけです。


今でも Yahoo! とかのアプリから、そろそろ今居る地域で雨が降りますよ~とか連絡が来るので、ますます便利になっていきますね。


以上。
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生物の基礎的な話

2023-12-16 19:32:35 | Diary
こんばんは。

今日は少し、生物の話をしましょうか。

小学校や中学校、或いは高校で、生物の大きな分類というと何を学びましたか。
単細胞生物と多細胞生物とか、動物と植物とかでしょうか?
或いは、原核生物と真核生物という分け方も聞いたことがあるかも知れません。

今回は、その辺りの復習をしつつ、雑学を紹介したいと思います。


先ず、単細胞生物と多細胞生物に大きく分かれることはご存じでしょう。

シュワン、及びシュライデンが、生物の細胞説、即ち、生物は全て、細胞からできているのである、という説を提唱し、現在では広く受け入れられています。
正確に言うと、ウイルスやウイロイドのような、そもそも生物なのかどうか怪しく、細胞とも呼べなそうなものもありますが、今回はそのようなものは除いて考えていきましょう。

さて、多細胞生物は、単細胞生物から勿論進化して出現しました。
その中間状態を取る生物が、単細胞生物が集合した状態である、群体です。
クンショウモやアミミドロなどを、小学校の頃に観察した方も居られるのではないでしょうか。

群体では、基本的には、単細胞生物が沢山集まっているだけで、各細胞の機能的分化がありません。
つまり、全てが同じ機能のみを果たしており、食事をする細胞とか、排泄をする細胞とかが分かれていないわけです。

ここから、細胞の機能分化が生じて、多細胞生物へと進化したのであろう、というのが定説です。

尚、最も細胞数の少ない多細胞生物は、僅か4細胞からなるシアワセモです。


さて、次に動物と植物ですが、この分類はかなり恣意的なものです。
例えば、ミドリムシは、鞭毛によって運動性を持ちますが、葉緑体を持っていて植物的性質を持ちます。
なので、光合成をおこなうから植物、動くから動物、というような分類は、学術的には意味がありません。
とは言え、そのような中間的な生物は少数派ですから、葉緑体を持っていて光合成をするなら植物、運動性を有しているなら動物、と分けるのは、世界を大まかに捉える上では有用です。

これは、イルカやクジラを魚だと捉えるのに似ています。勿論、彼らは哺乳類であって、魚類ではありませんけれども、海を泳ぐものは魚である、と捉えることに意味が無いとは言えないでしょう。
問題になるのは、それが法的意味や伝統的意味を持つ場合ぐらいです。

ところで、運動性を持たず、そして勿論、葉緑体も持たない、細菌というのは存在しているわけです。
彼らは勿論、単細胞生物ですが、動物でも植物でもありませんよね。
なので、昔の生物学では、菌、植物、動物、という3つに大きく分かれるのだ、という説も唱えられておりました。
これを三界説と言います。小学生ぐらいの子供に大きな分類を教える時は、先ずこのような単純な説明を為さるのがよろしいでしょう。


次に、原核生物と真核生物です。
恐らく、高校で生物を履修すれば学ぶ?と思います。

細胞の構造自体は小学校で学びますよね。細胞小器官と呼ばれる、ゴルジ体とか、ミトコンドリアとかが、細胞の中にはあるんだ、と学んだことと思います。
このうち、核(DNA が入っているところ)があるかないか、で、原核生物と真核生物が分かれます。

つまり、世界を大きく二つに分けるならば、核を持つ真核生物と、核を持たない原核生物に分かれるわけです。
一般に、菌と呼ばれるものは、原核生物だと思えばよいでしょう。
原核生物は、核は勿論ですが、細胞小器官も基本的に持っていません。つまり、真核生物よりも原始的な生物だと言えます。

というより、原核生物から、真核生物が進化して産まれた、更にそこから植物や動物へと進化していった、と捉えると宜しいかと思います。


原核生物には、大きく分けて、細菌と、古細菌があります。このうち、真核生物は、(名前のイメージと違って)古細菌から進化したと考えられています。
我々の周りに居る菌は、どちらかと言えば、殆どが細菌であり、古細菌ではありません。

細菌と古細菌をどう分けるかを説明するのは難しいので省きますけれども、現代に於いて、古細菌の生き残りは殆ど居ません。細菌がありとあらゆる場所に生息しているのと対照的ですね。
古細菌は、熱水噴出孔など、生物の生存に適さない環境で見付かることが多く、極限環境微生物とも呼ばれます。
種に依りますが、物凄く熱いとか、酸性とか、アルカリ性とか、極端な環境に生息しているからです。むしろ、通常の環境では増殖できない種も少なくありません。
そういった、現代では特殊な環境でしか見付からない生物こそが、我々(人間も真核生物なので)の祖先というのは少し不思議な感じが致しますね。


真核生物には、細胞小器官がある、という話をしました。
細胞小器官には、その起源が、ある種の原核生物にある、と言われているものがあります。
どういう事かというと、原核生物には、真核生物(主に単細胞生物)の細胞内に寄生するものが居り、それが結果として、共生関係になり、最終的に細胞小器官になった、という考え方です。
これを、細胞内共生説と言い、ミトコンドリアや葉緑体の起源だと言われています。

少し気色悪い言い方をしますと、我々人間の細胞にも沢山あるミトコンドリアは、ある種の菌が共生した状態である、ということです。
実際、我々の細胞は核に DNA を持っていますが、ミトコンドリアはミトコンドリアで、独自の DNA (mtDNA)を持っているのです。
人間は持っていませんけれども、葉緑体も独自の DNA を持っており、光合成を行う原核生物を、真核生物が取り込んだ結果だろうと言われています。

共生と言うだけありまして、我々はミトコンドリアなしに生きることは出来ません。
ミトコンドリアは、私たちが呼吸によって取り込んだ酸素を使って、糖からエネルギーを作っているからです。これを、好気性呼吸と言います。
酸素を使わないで、糖からエネルギーを作る、嫌気性呼吸というものもありますが、エネルギー効率が 20 倍弱違います。
だから、ミトコンドリアと我々は切っては切れない関係ですし、実を言うと、我々の体重の1割程度はミトコンドリアだと言われていますから、我々は無数のミトコンドリアによって生かされているとも言えるでしょう。

葉緑体の方は、実はもう少し複雑です。
真核生物が、光合成を行う原核生物を取り込んだものを、一次植物と言います。
実はこれだけではなく、一次植物である真核生物を、他の真核生物が取り込んだ、二次植物や、更に取り込んだ三次植物というものもあります。
二次・三次植物では、葉緑体が核を持っていることも稀にあります。これは、細胞小器官化がまだ途中であると捉えることもできるかも知れませんね。



少し長くなりましたが、今回は簡単に、生物について書いてみました。
興味のある単語を拾うことができたのであれば、是非、それをキーワードにして知識を深めていってください。


以上。
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スマートフォン

2023-11-30 23:59:59 | Diary
こんばんは。

私が一眼カメラを愛用していることは以前に述べました。
最近は特に写真を見せることはしておりませんが、仕事のある日でもほぼ毎日、一眼カメラでの撮影を行っています。
それは、例えば昼休みの散歩がてらだったり、会社への行き帰りの道中で何かを見付けた時だったりします。

元々は、 Pentax の一眼レフカメラから始まった趣味ですが、途中で Panasonic GX7 を購入したり、 SIGMA DP2 Merrill を購入したりして、普段からカメラを持ち歩く、という状態に至りました。
最近は、 SIGMA fp を主に持ち歩き、休日のお出掛け時は Panasonic S5II を持ち歩いています。

SIGMA fp を購入するまでは、 Pentax の一眼レフに、 SIGMA 18-35mm F1.8 を主に使っていました。
APS-C サイズですので、フルサイズ画角に換算すると、概ね 27-48mm になります。
この広角端は、最近のスマートフォンとほぼ同一の画角になります。

私は 3 眼のスマートフォンを使用しています。つまり、超広角、広角、望遠の 3 眼です。
画角で言うと、以下のよう。
・ 超広角 : 14.3mm
・ 広角 : 26.6mm
・ 望遠 : 80mm

少し古い機種なので、センササイズが小さく、拡大するとスマートフォンらしい塗り絵になっています。
然し、広角レンズで撮影する行為に対する、何というか、苦手意識の克服や、慣れを齎しました。

特に、超広角の 14.3mm を持ち歩ける、という点は非常に大きいです。
一眼カメラで 14mm に相当する画角を持ち歩くのは気楽ではありません。
私は L マウントを利用しているので、例えば LUMIX S 14-28 F4-5.6 MACRO などが選択肢になります。これは超広角ズームとしてはかなりコンパクトですが、それでも大きいです。
https://panasonic.jp/dc/products/s_series_lens/lumix_s_14-28.html
普段のレンズに加えて、これを 1 本追加で持ち歩き、更に、必要に応じて着脱しなければなりません。
※ 普段のレンズは LUMIX S 24-105mm F4 です。

従って、最近の休日、例えば新宿のビル群なんか撮りに行くと、一眼の 24mm では入らなくて、仕方なくスマートフォンの超広角という場面が出てきます。
正直、悔しいです。


そんな折、ヨドバシカメラで Google Pixel8 pro をいじったんですが、カメラ性能にビックリ。
18 万円ぐらいだったと思いますが、普段のレンズやボディの価格を思えば、そこまで高くないのでは?と思ってしまいました。
純粋にスマートフォンとして捉えると、明らかに高すぎると思いますけれども、携帯性の高いカメラと思えば許せる価格。

Pixel8 pro は 3 眼で、以下の 3 つ。(何れもライカ判換算。)
・ 超広角 : 12mm F1.68
・ 広角 : 24mm F1.95
・ 望遠 : 110mm F2.8 (Tele?)

主に広角の画質を確認したのですが、今の(私の)スマートフォンの残念塗り絵と比して、明らかな画質向上。
というか、拡大せず、ボカシて撮影とかしないのであれば、もうこれで良いだろう、というレベルに達していました。
普段、一眼カメラで撮っているような、被写体を浮きたたせるようなボケは得られませんけれども、パンフォーカスや、風景撮影なら、完全に実用域です。
少し古いエンジンを積んでる一眼カメラ相手なら優っているとまで言えるのではないでしょうか。

レンズ交換式カメラの存在価値が、現状、スマートフォンでは撮影不可能な、超望遠域や、滑らかにぼかしたポートレートなどにシフトする理由が良く分かります。
また、切り出しに対する耐性や、ノイズ感は、圧倒的に一眼カメラが優ります。センサーサイズの余裕はやはり大きいです。
Raw 画像からいじれる、所謂、レタッチ耐性も、レンズ交換式カメラが圧倒的です。


というところで、
今後はより一層の、お散歩用と本気撮影用の分化が進んでいくのではないかと思いました。



以上。
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パソコン2

2023-09-21 21:33:07 | Diary
こんばんは。

パソコン新調しました。何のパーツを買ったか自分で分からなくなるので備忘のための記事です。
以前の記事で書きましたように、 Ryzen5 7600, RTX4060Ti の組み合わせです。

CPU: AMD Ryzen 5 7600
Cooler: Scythe 虎徹 Mark3 SCKTT-3000
M/B: MSI MAG B650M MORTAR WIFI (AM5, B650, MicroATX)
RAM: Crucial CT2K16G48C40U5 (DDR5-4800, 16GBx2)
ROM: Western Digical WDS200T3X0E (2TB, M.2 NVMe, PCIe Gen4x4)
GPU: ASUS TUF Gaming GeForce RTX 4060 Ti 8GB GDDR6 OC Edition (RTX4060Ti, GDDR6 8GB)
Power: ADATA XPG PYLON PYLON750B-BKCJP (750W, 80PLUS BRONZE)

これ以外にケースや OS などを含めて約 18 万円でした。
先代のパソコンに比べると、円安を感じざるを得ません。
後は単純に、マザーボードに5千円みたいな安いものが存在しなくなったというのもありますね。

久々の自作でしたが、トラブルは一切なく、すんなり組み上がり、起動しました。
パソコンの自作は、予算内で望む性能を持ったパーツを選ぶまでが主で、組むこと自体は難しくないものです。

性能については、以前の記事で passmark のスコアを載せましたので割愛しますが、少しゲームをやったところ、読み込みがグンバツに早くて、ストレスフリーになりました。
何をやるにもパッと起動します。

また、家の環境が変わって、メイン PC (今、この記事を書いている PC )はミニ PC で、新調した方はゲーム機や raw 現像や動画編集用です。
使っている時間と言いますか、起動している時間で言えば、メイン PC は電源入れっぱなしです。
raw 現像はガッツリ撮影に行かない限りやりませんし、ゲームも毎日何時間とプレイするような生活ではなくなりました。
その辺りの事情もあって、高性能な方がサブ PC として偶に電源を入れる、低性能な方がメイン PC として電源入れっぱなし、という運用になります。

アイドル時の消費電力で言っても、その方が遥かに安く済みますし、地球環境にも優しいですね。
※ このミニ PC の消費電力は最大でも 36W のはずで、 CPU の TDP は僅か 6W です。恐らくゲーム PC のアイドル時より最大値が低いと思います。

ところで、先代のメイン PC ですが、 GTX1070 とか Ryzen5 1600 とか DDR4 16GBx2 とか、普通に使う分には全く申し分ない性能ではあります。
というか、普通にモンスターハンターライズとかやってましたからね。
なので、売れるうちに売ってしまう、というのが良いと思っています。売却方法は検討中。


以上。
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映画「メッセージ」

2023-09-19 22:20:14 | Diary
こんばんは。

偶には、観た映画の感想でも書いてみようかと思います。
ご存じの通り、私は多少ユニークな人間ですので、皆さんとは異なる感想を持っているかも知れません。
また、今回紹介する作品については、酷評しますと共に、一部ネタバレを含みますことを事前に書いておきたいと思います。

映画「メッセージ」を観ました。
謎の宇宙船が突如、各国に現れ、未知の言語を話す宇宙人とやり取りをする、というのが基本の話です。

主人公は、女性言語学者。
ですので、基本は、未知の言語を解読していく、という話が展開されます。
ただ、その描写は非常に滑稽で、言語学者とは思えない内容です。
また、全く言語とは関係のない物理学者も同席させられ、解読の協力をしています。

名作「未知との遭遇」では、音階を利用した言語で、未知の UFO と交信するシーンが終盤に描かれています。
あれは完全な人工言語で、未知の宇宙人と会話するのに適しているとは言えませんが、彼らがもしそういった言語を事前に調べていたとしたら、あの場面は十分にあり得るものでしょう。

駄作「インディペンデンス・デイ」では、 UFO に対して、意味があるのかないのか分からない発光信号を送ったヘリコプターが撃墜されるという無意味なシーンがあります。
この映画では、なぜかアメリカ大統領が、エイリアンのテレパシー攻撃を受けた結果、エイリアンの意識を読み、行動原理を理解するという、これまた意味不明なシーンがあります。

このように、過去、名作、駄作を含め、様々な遭遇シーンは描かれてきたわけです。
実際、未知の地球外文明と出会ったとして、どのようにコミュニケーションを取っていくか、ということは、研究されています。
それは、例え遠くの宇宙であっても、我々と同じ物理法則を以て物事が進行しているという事実がありますから、物理法則や2進数など、単位系や文化に依らない、完全にアプリオリな言語を用いて交信を行えばよいということですね。

話を戻してメッセージですが。
女性言語学者は、エイリアンに対して英語を教えて、それに対して返ってくる、未知の文字を解読することによって交信を試みます。
この時点で、正直あり得ないアプローチだと思います。どうして英語を教えるのでしょうか・・・。
しかも、世界各国でエイリアンとの交信はバラバラに行われていて、情報の共有が適切に為されていません。なのに、他国と情報共有を切るなんて!というようなシーンがあり、良く分かりません。

また、最近のハリウッド映画ではありがちですが、中国が存在感を持っていて、物語は何故か、中国がエイリアンを攻撃しそうだから止めないと!という方向に行きます。
中国は中国で、中国の言語学者がエイリアンと交信した結果、エイリアンが地球人に武器を提供しようとしていると判り、それは地球人同士の争いをエイリアンが望んでいるからだ、平和の為に中国はエイリアンを排除する、という理屈で動くのです。
実は、この武器を提供する、というのは、正しい解読でした。ただ、武器を提供する理由を中国は誤解しているだけなのですね。
それならそう言えばよいのに、何故かアメリカ政府は全く中国を説得しようとしません。理由は不明。
中国は、同調する幾つかの国(権威主義的な国、ロシアなど)と共に、エイリアンを攻撃しようとするわけです。

終盤は中国を止めようとする女性言語学者と、なぜか女性言語学者を止めようとするアメリカ軍という意味不明な構図になります。
言語を解読するって話は何処行ったんだ、と思いつつ見ていると、実は女性言語学者には未来視の超能力があり、それを使って中国の将軍に直接電話を掛けて説得して事なきを得る、という最低の展開で終わりました。

いやその、超能力を持っているのは良いのですよ。
それが起承転結の転に当たる要素なのは確かだからです。観客をずっと騙してきたことを少しずつ明かしていくので。
でも、話の軸はあくまで、言語学の知識を以て、エイリアンと交信することにあったはず。なのに、最後は超能力で解決してハッピーエンドというのは、納得できないですね。

この映画はミステリーではありませんけれども、 SF であっても、超能力を以て物語を締めくくるのは如何なものでしょうか。

もう一つ、この作品は明らかに低予算ですけれども、言語学の単語に対する明らかな誤認がある。
作中、“サピア=ウォーフの仮説”という言葉が出てきますけれど、典型的な曲解をしていて、それを言語学者が認めてしまうのですよね。
こういうそれっぽい単語を使うっていうのは、ハリウッド映画では偶にあるんですが、悉く間違っていて嫌になります。

ハリウッド映画っていうか、アメリカの連続ドラマとかでも良くありますね。
NUMBERS という数学者が事件を解決する、サスペンス物がありましたけれども、天体物理学に対する議論をしている場面で、それっぽい単語をめちゃくちゃに並べているだけという大変残念なシーンとかありました。
それで白けてしまいましたね。まあ、それ以外も色々無理やりな理屈が多くて詰まらない作品でしたが。
(でも、実際に数学者などから監修を受けているらしい。本当かよ。)

日本でも、ガリレオでしたっけ、意味不明なこと並べているのは。
見ている人たちは勿論、私も含めて基本的にトーシロなのは確かなのですけれど、物語を作る以上はある程度、正しい描写というものを行ってほしいものです。


以上。
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