「サハラの歳月」 2019年12月20日 刊
著者 三毛(サンマウ) 台湾人
1991年47歳 自死
スペイン領西サハラに移り住み旦那ホセと砂漠の民サハラウィと砂漠の出来事や結婚生活など。
決して平穏な生活ではないけれど徐々に独立運動の波に翻弄されていく。
読み終えるのが忍びない良い訳文だ。
亡くなる前に著者に会ってみたかった。
著者と夫のホセ
砂漠の民サハラウィは今でも奴隷を持っているのか?
隣国モーリタニアでは1981年奴隷制は廃止されている様ですがまだ残っているというのが実情でしょう。
西サハラも依然として残っていると考えた方がよいのだろう。
本文より
「サンマウ、ちょっと」ホセがてまねきした
「あの子はね、奴隷なんだ」
「奴隷がどうやって来たの?」私は仏頂面でアリに聞いた。
「代々伝わってきたんだよ。生まれながらに奴隷なんだ」
「最初に生まれてきた黒人の顔に書いてあるとあるとでも言うのーー私は奴隷ですって?」
「勿論そうじゃないよ、捕まえてくるんだ。砂漠に黒人が住んでいるのを見ると、行って捕まえるのだ。なぐって気絶させて、縄で縛ってひと月もすると、もう逃げなくなる。…家族ごと捕まえてくると、ますます逃げない。そうやって代々伝えていくうちに財産になるんだ。今でも売買できるよ」
日本語翻訳本はこの1冊だけらしい。