「文藝春秋」H12.10~H15.12月号の
巻頭随筆(エッセイ)をまとめた本のタイトルが
「人やさき犬やさき」です。
当時数え歳85歳の著者が飼っている
ゴールデンの太郎は十歳半の老犬。
随筆から
「十年前、うちへやつて来た時、此奴は生後五十日目、実に可愛かつた。ありと凡(あら)ゆるいたずらをするのが困りものだつたが、やがてそれもをさまり、仔犬は文字通り大人しい大犬に成長し、他の犬に吠えられても知らん顔だし、人間とちがつてよけいな口、一切きかないし、大袈裟に言ふと我が晩年の「人生の好伴侶」、家族の一員にして暮らしてゐた。」
最初この本のタイトルを見た時、?が一杯だった。
人だから犬だから?と思ったが、さきは先で
自分と太郎どちらが先(逝く)と読める。
夕方から朝まで排尿排便が我慢
出来なくなった太郎を深夜外に連れ出し、
太郎に話し掛けている。
「人やさき犬やさき。こら、太郎。お前だつて同じなんだぜ。けふとも知らずあすとも知らず。有難い白骨の御文、ちやんと心得てろよ」
お休みなさい。
