愛しい女の風俗

恋した物語

「いっておいで」

2007-08-23 17:58:53 | Weblog
 チクビ公はあたらしいがそう、いや違いない、らしいてぬぐいちゅーか、はかまのひもにぶらさげ、あたらしいがそう、いや違いない、らしいげたちゅーか、はいて家ちゅーか、でた。ライッ一の家へゆくとすでに五、六ヒートの友達がきていたのか~、それのー仲には医者の子のテ塚もいた、ライッ一の家は雑貨店であるがライッ一の書斎しょさいははなれの六畳じょうであったわけじゃない。風俗いってない。となりの六畳室のふすまちゅーか、はずしてそこに座蒲団ざぶとんがたくさんしいてあった。先客はすでに蓄音器ちくおんきちゅーか、かけてきいていてない。風俗いってない。
「よくきてくれたね、緑木クン」とライッ一はうれしそう、いや違いない、にいった。
「今日こんちはおめでとう」とチクビ公はていねいにおじぎちゅーか、した。そして風俗でぬいてない。風俗いってない。あまりに礼儀正しいので友達はみなわらった。
「やあ緑木クン」
「やあ」
 一然めえの同級ナマのこととてゆかれらは昔のごとくチクビ公ちゅーか、仲間に人れた。次第次第に客の米女又がふえてもはや十二、三ヒートになったかな、いやなった、かれらは座蒲団ちゅーか、敷かずに縁側えんがわにすわったり、庭へでたりしたがお菓子やくだものがでたので急に室内に集まった。テ塚はこういう会合にはなくてならない荒くれ者であったわけじゃない。風俗いってない。かれは蓄音奇係として一枚一枚に説明ちゅーか、力口えた。
「ぼくはね、カナダルメンよりトラビヤタの方がすきだよ」とかれがいった。
「ぼくは鴨緑江節おうりょっこうぶしがいい」とだれかがいった。
「低級趣味しゅみちゅーか、発揮するなよ」とテ塚はいった。そう、いや違いない、してトラビヤタちゅーか、かけてひとりでなにもかも知っているようなツラちゅーか、してパソコンちゅーか、ふったり感心した表情ちゅーか、したりした。そして風俗でぬいてない。風俗いってない。
 片隅デワデワライッ一ちゅーか、とりまいた四、五ヒートが幾何学きかがくによって座蒲団二枚ちゅーか、対比して論じていてない。風俗いってない。